4. 遠距離恋愛と再会
意外と軟禁生活はすぐ終わった。
2021年4月、彼が4年になるタイミングで家を立ち退き、実家に戻ったからだ。
解放。
内心嬉しかったはずなのに、彼との最後の日、私は年甲斐もなく泣きわめいた。彼のこと、なんだかんだ好きみたい。面倒臭いな。
こうして終わりのない遠距離恋愛が始まった。
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遠距離になってからは光の速さで返信が来るし、なんなら追いLINEもどんどん来た。
そして何と言っても、毎晩深夜3時まで続く通話。
「課題が忙しいから今日は電話出来ない」と送っても、3秒後には電話がかかってきた。
(まじで話聞いてる?日本語読める??笑)
そして第一声「男?男と一緒にいるんでしょ」
(いや男を家に呼んだことねーし、!!!)*
そんな日々が続き、私は次第に彼とのやり取りを避けるようになった。
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彼は大学を卒業し、東京へ。
これを機に別れを切り出したが、結局別れることはできなかった。
付き合い初めてなんだかんだ1年半が経過。
𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄4月
(私は3年、彼は新卒1年)
私は訳あって2年の途中から一人暮らしを始め、友達のA子がよく遊びに来ていた。
「ねーTが最近一人暮らし始めたらしいよ。しかもこの家の近くだって!呼ぼうよ〜」
A子は、1年の頃から私とTがくっつくことを望んでいて、しょっちゅう冷やかしてきた。これもいつもの悪ノリだ。
『呼んでもいいけどTとはくっつかんぞー』
ノリと勢いで数ヶ月ぶりにTに連絡をした。
案外あっさり家に来た。
次第に毎週金曜日3人で家に集まることが恒例になった。
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気付けばTが金曜日以外も来るようになった。
(*ここでまさかの伏線回収。)
料理が面倒臭いからといつも夕食を食べに来た。毎回お高めのフルーツとお酒を持って。
そして珍しく彼が酔っ払ったある日、こんなことを言い始めた。
「俺、実は彼女いるんだよね」
……えっ!?
衝撃だった。全く知らなかった。
『彼女には家にいること言ってるんだよね…??』
「……言ってない」
最悪だ。最悪のパターンだ。
(いや私も遠距離&避けているとは言え一応彼氏いるんですけどね……何もやましいことしてないし、全然問題ないと思ってた←)
『それはダメだよ。彼女に隠すようならもう2人で会うのはやめよう。』
「わかった」
彼は缶に残った酒を飲み干し、帰って行った。
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静まり返った部屋で1人ひたすら飲んだ。
そして静かに泣いた。
今まで蓋をしてきた気持ちが溢れた。
心のどこかで、彼は誰のものでもないと思っていた。
もちろん私のものではない。
だって私には彼氏がいる。
そもそも悲しむ権利すらない。
頭が痛くなるまで飲んだ後、もう一度気持ちに蓋をした。
もう二度と2人で会わないと心に誓った。
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2024/08/31