再上映された恋愛と反戦映画の金字塔「ひまわり」❗️
映画(ひまわり)
ロシアのウクライナ侵攻で注目され、再上映されている恋愛映画です。恋愛映画ですが反戦色を強く出しており、公開は1970年ですからもう半世紀前で、当時は観ることができずに2番館あたりで観たと思います。
巨匠ヴィットリオ・デ・シーカ監督に、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニの2大スターの競演で、それだけでも話題になった映画です。
あまりにも有名な映画なので、もはやネタバレありの注釈はなしにしますが、結論からいうと3回は泣けます。先ず冒頭の延々と広がるウクライナのひまわり畑、次にロシアで生き残った夫との停車場での再会、最後にその夫との別れのラストシーン。
結婚して幸せ一杯だったイタリア人夫婦は、戦争で夫が戦場に向かい、その戦争によって家族が引き裂かれてしまいます。ラスト近くで、2人の会話シーンがあります。2人がこうなってしまった理由を夫が話しますが、その理由を模索しながら言葉を選び「戦争は残酷だ」と言います。
戦争は物理的な破壊行為だけでなく、社会や家族などの人間関係も破壊してしまいます。施設や建物などは再建できても、人間関係が平和な頃のように、元に戻ることは決してありません。もう元に戻れない状況になってしまっているのです。それは当事者の誰のせいでもなく、残酷な戦争が引き起こしたまぎれもない事実であります。
この映画は夫婦という家族の形態を軸に描きましたが、血を分けた親や子供の家族関係でも、ロシアのウクライナ侵攻を見るまでもなく、実際に戦争による悲惨な状況が繰り返されています。
風にひまわりの花が揺れる広大なひまわり畑と、小高い丘一面に十字架が立ち並ぶ共同墓地、ひまわり畑の土の下には多くのイタリア兵とロシア人捕虜が眠っていると、現地の説明で聞かされます。
ロシア戦線で行方不明になった夫を現地まで探しに行き、ついに見つけ出した夫との再会が思いもよらない結果であった妻にとっても、戦争の残酷さを実感したシーンであったと思います。
ラストにソフィア・ローレンが流した涙は、今もなお愛する夫との別れの悲しさと同時に、不条理にも家族を引き裂かれた残酷で悲惨な現実に対する、怒りや無念さから湧き出た戦争への抗議の涙だったと思いたいです。(写真は公式サイトより引用しました)
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