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中華風家庭料理の名店を撮ったドキュメンタリー映画「キッチンから花束を」

映画(キッチンから花束を)

東京・南青山の中華風家庭料理店「ふーみん」の軌跡を追ったドキュメンタリー映画です。店名は店主の斉風瑞(さいふうみ)さんの名前から取ったもので、斉さんは若い頃美容師をやっていましたが仕事に対する自信がなく、そうした時に家庭で友人に振舞った家庭料理が好評で、「自分たちだけで味わうのは勿体ない」という友人の言葉に押されて、お店を始めたとインタビューで語っていました。

当初は寿司屋の居抜き物件である狭い店舗からスタートしましたが、最初に提供したのは、小腹が空いた時に食べられる中華そば(ラーメン)だったとのことです。その内に事務所が近かったイラストレーターの和田誠氏や絵本作家、ファッションデザイナーなどクリエイターたちが通うようになり、ねぎそばの代わりにワンタンを入れたねぎワンタンや、チャーハンに納豆を入れた納豆チャーハンなど、客からの提案で誕生したメニューもあります。

この映画を観て感じたのは、料理の神髄を極めるのは、洗練された和食や高級な寿司、さらにセレブ御用達のフレンチやイタリアンだけでなく、高級食材を使わない家庭料理でも立派に成し遂げられるということ。料理の価値は決して価格などではないということです。

生涯現役をめざす職人気質の斉さんですが、体力的な限界など姉妹の助言もあって現在は店を後進に譲り、1日1組限定の店で料理を振舞っています。料理店であれば必ず直面する問題ですが、改めて引退のタイミングの難しさを認識したのと同時に、小規模ながらも人生第2のステージで好きな料理を作ることは、これも誇るべき終活ではないかと感じました。
料理に限らず手に職をつけることは、一生の財産になりますし、何より好きな事を生涯やり続けることが生きがいにもつながると思います。

本編では多くの家庭料理が名前入りで登場しますが、上記の納豆チャーハンは、パラパラのチャーハンがもち米のような粘りになります。ただ1食ずつ中華鍋で作らないと粘りが出ないので、体力的にもう無理とのこと。
さらにガーリックチャーハンはにんにくとご飯だけで作る料理で、単純だから逆に奥が深いとのことです。個人的にも経験がありますが、パスタのペペロンチーノはにんにくと唐辛子、麺だけの単純な料理で、それゆえに奥が深いのです。パスタも色々作りましたが、やはりペペロンチーノが簡単ながらも1番難しいと実感しました。

中華からイタリアンへと脇道に逸れてしまいましたが、料理を作る人は勿論、食べるのが好きな人も必見の映画、見終わったら必ず中華料理が食べたくなります。私がそうでしたから(笑)。(写真は公式サイトより引用しました。)

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