上映時間4時間‼️のドキュメンタリー映画「至福のレストラン 三つ星トロワグロ」
映画(至福のレストラン 三つ星トロワグロ)
ミシュランガイドの三つ星レストランであるフランスの「トロワグロ」の調理や接客の様子を撮ったドキュメンタリー映画です。フレデリック・ワイズマン監督の特徴であるノーナレーションの長時間映画の今回のテーマはレストランで、その上映時間は4時間(240分)にも及ぶ長編で、途中休憩が入ります。
冒頭はフランス中部に位置するロアンヌ駅前の野菜の朝市から始まります。トロワグロのシェフたちが買い出しに来ていて、様々な野菜を物色しながら買い求めていきます。材料の買い出しから始まって、材料の仕込み、調理、開店前のミーティングなど、レストラン内の様々なシーンが、ナレーションなしで登場人物のセリフだけで構成されていきます。登場するのはオーナーシェフ、シェフ、パティシエ、ソムリエなどで、それぞれが現場の生の声を発しています。
映画の中でもメインになるのは厨房での調理のシーンで、オーナーシェフがテニスコートのようだと形容する長方形の厨房はその通りの大きさで、明るい天然光が上部から差し込んでいます。材料の下処理から、焼いたり煮たり炒めたりする調理、味つけを決めるソースの調合、さらに盛り付けと、レストランに来た客に出来たての料理を最善のタイミングで出せるように、厨房でのスタッフ全員の料理作りが続きます。
テーブルに料理を出された客が、まさにアート(芸術)だと言うシーンがありますが、私も厨房でのそれぞれのシェフの俊敏な動きを観ながら、その繊細な作業はまさに職人であり芸術家、出来あがった料理はまさに芸術品だと実感しました。フレンチやイタリアンは美味しいのは勿論ですが、見ため(盛り付け)の美しさも料理の重要な要素となっています。
最近は和食の盛り付けの美しさが世界的にも注目されていますが、オーナーシェフも若い頃来日して、日本食に影響されたと語っていました。映画の中でもシソ(紫蘇)やイキジメ(活き締め)などの日本語が出てきます。紫蘇(大葉)は日本が世界に誇るジャパニーズハーブを言われていますが、本場フランスでも使われていました。醤油も今やフレンチでは、ポピュラーな調味料の1つです。
映画の途中には牛や山羊やチーズ、葡萄やトマトなどそれぞれの生産者との現場での対話も挿入されており、SDGsへの対応も欠かせない使命となっています。三つ星レストランで食にかける探求心は、プライド云々以前のものであるはずですし、テーブルを回って客と談笑するシェフの料理に対する愛情と探求心が、言葉の端々にも表れていました。料理好きには退屈しない長丁場の240分であったと思います。(写真は公式サイトより引用しました。)