90歳の感性がスゴイ‼️「90歳セツの新聞ちぎり絵」
本(90歳セツの新聞ちぎり絵)
新聞書評欄の「売れてる本」で紹介された本です。面白そうなので買って読んでみると、なるほどと感心した1冊でした。作者の木村セツさんは、夫の死後何もすることがなくなり、翌年の2019年元日の90歳から新聞のちぎり絵を始めたそうです。
内容は「お正月」「春」「夏」「秋」「冬」で構成され、それぞれ季節の素材のちぎり絵が描かれています。お正月はしめ飾り、春はブロッコリー、夏はすいか、秋はぶどう、冬はスルメイカなどなど。
私も個人的には学生時代、雑誌が好きだったので、いろいろ切り取ってコラージュを作ったりしていましたが、切り取るのは普通にカッターナイフやはさみで切っていました。
ただこの画集ともいえる本は、ちぎり絵ですから当然手でちぎって貼り付けます。そのタッチというか質感が何とも絶妙で、勿論新聞紙やチラシから色を選ぶ配色も優れていますが、その構図の大胆さと質感のリアルさが同時にアピールしてくる感じです。
あとがきで長女の木村幸子さんが書いていますが、母は子供の頃から絵が苦手で描くことが嫌いという思い込みがありましたが、ちぎり絵を作ることで吹っ切れたようですとのことでした。
これはもう立派な天賦の才能だと思いますね。筆者のお孫さんによるツイッターでの発信も話題になったとのことですが、確かにSNS映えは十分すぎるぐらいだと思いました。
人生100年時代を迎えつつある現在では、高齢者向けの本が多く出版されていますが、この本などは最も斬新で、有意義な人生を送るための1冊だと思います。
最後に本の序章にあった筆者の言葉を書いておきます。
「ちぎり絵してる時は、なんも考え事してやしません。これ一心。食べさしてもろて、好きなことさしてもろて、なんも気がかりないし、健康やし。今こそこれ、いちばんいいな。」