テレビでも話題の幸齢者の本「80歳の壁」(^ ^)
本(80歳の壁)
テレビでも紹介された話題の本です。筆者の和田秀樹さんは高齢者専門の精神科医で、長年高齢者医療の現場で患者に接しています。実は筆者の本を初めて読んだのは、高齢者や医療向けの本ではなく、「東大医学部」という東大学医学部の現状と問題点を説いた本でした。
東大の権威主義に囚われずに、医療現場の医者としてのプライドと信念を読み取った記憶があります。最近多く出版されている高齢者向けの本でも話題性の他に、異色な本としても注目されていると思います。
そういう観点からも、本書は従来の高齢者医療の常識を覆すものが多くあり、高齢者自身にも常識に囚われない意識改革を説いています。
先ず高齢者という老化したイメージからの脱却として、高齢者→「幸齢者」と改称しています。
次に「幸齢」の前提として、老いを受け入れ、できることを大事にする幸せな晩年と説いています。他にも闘病ではなく「共病」という考え方で、病気を受け入れて共に生きる、手なずけながら生きていくという概念です。
文中にもありましたが、85歳以上の場合はほとんどの人に癌が見つかりますが、年を取ると癌の進行が遅くなるので、放っておいても大丈夫なケースが意外と多くあるいうものです。高齢での手術は体力の消耗だけでなく身体機能の低下も招いて、結果的に寿命を縮めてしまう事実があります。
また長生きが大事なのか、残りの人生が大事なのか、どちらを選択するかも問いていますが、若い頃であれば、長生きするために摂生が必要となってきますが、幸齢者では残りの人生を充実させるためには、好きなことをして好きな物を食べる、そうすることでストレスをなくして、精神的にも健康な生活が送れると結論づけています。
持病の定期検診でお世話になる医師についても、ドクターショッピングをして自分の考えを受け入れてくれるかかりつけ医を探す、つまり患者が医師を選ぶという選択で、大きな病院の専門医より地域の町医者が幸齢者向けであると提案しています。
最後の第4章に、80歳の高い壁を低くするヒント50音カルタが載っています。例えば「けー血圧、血糖値は下げなくていい」など、現在60代の私には、これら全てを実践するには少し早い気がしますが、「すー好きなことをする。嫌なことはしない」など多くのことが現在でも参考になりそうです。
今から徐々に実行に移しながら、来るべき80歳の壁が限りなく低くなっているように、身体と心のバランスを取りながら、日々の生活を送って行きたいと考えています。
かつて赤瀬川源平さんが提唱し単行本にもなった、老いることをポジティブに捉えた「老人力」という言葉がありました。この本は専門家の立場から、そうした志向を実証するものであると、改めて感じました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?