次世代ユーザーのメインターゲット「Z世代」
本(Z世代)
次世代の消費者層のメインターゲットとなるZ(ゼット)世代について書かれた本です。筆者の原田曜平氏は博報堂で長年若者の研究をしてきたスペシャリストで、Z世代とは具体的に10代前半から25歳くらいまでの世代を指します。
ミレニアム世代などこれまでも様々な世代が注目されてきましたが、その最新バージョンともいえるものがこのZ世代で、その前の世代である「ゆとり世代」との比較で、その特徴を捉えています。
一番わかりやすいのは、最初に手にした携帯電話がガラケーかスマホかの違いで、Z世代では当然スマホになる訳ですが、デジタルネイティブといわれるこの世代を代表する言葉として、ミー(自分自身)とチル(まったり)という言葉が登場します。
自分自身を大切にし、癒しのまったりした気分が好きな傾向にあるのが特徴です。
さらにミーから派生して自己承認欲求と発信欲求という言葉が登場しますが、これはSNSでのZ世代のスタンスを端的に示したものです。ナルシズムにも通じる自分自身を認めたい欲求と、その自己承認した自分をSNSで発信したいという欲求です。
つまり自己ブランディングのために何を発信するかが重要であり、その方法として様々な発信テクのワードが登場します。
「間接自慢」や「診断シェア」など様々なワードが登場しますが(詳細は本文で確認下さい)、これも全てミー(ミーイズムとも)のためのツールになるのです。
ちなみにFacebookは交流することがメインであるの対し、TwitterやInstagramは発信することがメインのSNSであると言われています。これを裏付けるデータとして、若年層の利用で最も多いのがTwitterで次にInstagram、逆にFacebookはミドル層の利用が若年層よりも多くなっています。
自己承認欲求でSNSに発信しながらも、決して目立つ自己主張はしない。こうしたまったり感のバランス感覚が、このZ世代の特徴でもあります。こうしたZ世代の間でヒットした商品を、様々なジャンルからピックアップしてリスト化しながら、次なる商品開発のヒントにするように筆者も試みています。
ただヒット商品が結果論的に分析されることが多い現代では、この世代の嗜好の傾向をひとつひとつ分析しながら、個々に対応する商品なりサービスを開発していくしかないのではないか、つまり近道はないのではないかとも感じた次第です。