見出し画像

あなたに会えて ごめんよ

ひとつの季節だけには とまっていられない 風をみつけた男は 
夢を追いかけてく    
『ごめんよ 涙』1989     作詞   松井五郎

以前、上記のフレーズが好きだなと思って引用記載したことがありました。メロディーも好きです。

別れの曲ですよね。自分の夢を追いかけたいから、お互い別の道を歩もうと告げた。今まで楽しかったけど、いつまでも無邪気な子供ではいられない。「夢に向かって一緒に歩んでいけばいいじゃん、今まで支えてもらったのに自分の都合で彼女を捨てるなんて男の身勝手だ」ともいえるけど、「ついてきてほしい」と言えないくらいのリスキーな道を進もうとしたのでしょう。ビッグな夢を掴めるまで待たせるわけにはいかない。叶うかも分からない。彼女にも人生と生活があるわけだから、はっきりとサヨナラを告げるのは、相手のことを思いやっていて潔いとも言えます。

今世間に、とあるカップルの現状と行く末を案じる声があります。私は基本的に関心はなく、別にいいんじゃない?と思っているのですが、確かにトシちゃんが歌っているように、その男性に銀行を辞めてでも追いかけたい夢があったのなら、普通のご令嬢ならともかく、超名門一族の姫にはその時点でいったん「ごめんよ 涙」した方がよかったんじゃないかな、とも思います。でも、もう引き下がれないでしょうね…。

美しい昨日ほど ひとは縛られやすいよ だけどいま それぞれの明日 
ふたり生きてみよう
     田原俊彦  『ごめんよ 涙』1989 

☆彡

サヨナラさえ 上手に言えなかった Ah あなたの愛に答えられず 
逃げてごめんね  
『あなたに会えてよかった』1991 作詞  小泉今日子 

これも以前取り上げた別れの曲で、女の立場を歌ったもの。彼は尽くしてくれたのに、夢を追いかける彼について行こうとはしなかった。はっきりとサヨナラを告げることなく逃げてしまったのが、トシちゃんとの違い。

いつもそばにいて成長を促してくれた。なのに彼の愛を信じられずなんとなく離れていき、新しい人と付き合った。けれど結局別れることになり、その時になって初めて元彼の誠実さを思い出す。あいまいにした不誠実な別れを「ごめんね」と心で詫びるけど、彼の献身に感謝することはなく、「会えてよかった」と自分の歴史を正当化するだけ。

世の女性には人気の詩だけど、男の立場からすると女の幼さ身勝手さの曲。歌われているのは女性にありがちなセンチメンタリズム、かつ過去をキレイに見て自己肯定したいノスタルジー。

でも男の方は、彼女が去っていった後さっぱりした素敵な女性と巡り会い、仕事も忙しく、過去を思い出したりはしないでしょうね。

何も言えず ただ泣いてるだけで 本当の気持ち いつでも言えたなら 
そばにいれたね ずっと  
小泉今日子 『あなたに会えてよかった』 1991

メソメソしているから「どうしたの」と聞くのに「ううんなんでもないの」としか言わないから、内心うっとうしい、脳天唐竹割りだぞぉ、自分はもう御免です、あの子と別れられてよかった、ぐらいに思っているでしょうね。今の恋が世界で一番素敵だと。