Customer Success Cafe ~カスタマーサクセス組織の成長を支援する「サクセスキャリア・マネジメント」~ に行ってきた!
最近、自社のCSの採用に関与するなかで、「どんな人を採用したら良いんだろう?」とか「CS組織のありかたとは?」とか、CSの人事・教育にまつわる疑問が増えてきました。今日は、そんな疑問を解消してくれそうなCustomerSuccessCafe ~カスタマーサクセス組織の成長を支援する「サクセスキャリア・マネジメント」~に行ってきたのでレポートします!
■概要
日時:2020/02/12(水)19:00〜
場所:TECH PLAY SHIBUYA(東京都渋谷区宇田川町20-17 NMF渋谷公園通りビル 8F)
詳細:https://techplay.jp/event/761709
■登壇者
株式会社キープレイヤーズ 代表取締役 高野 秀敏さん @keyplayers
株式会社SmartHR 人事グループ 新井田 久美子さん
株式会社スタディスト カスタマーサクセス部 サポートグループ/エクスパンショングループ(兼務) マネージャー 原 瑞穂子さん
Sansan株式会社 カスタマーサクセス部 Customer Marketing コミュニティマネジャー 内藤 雅美さん @mnaito_33
モデレーター
HiCustomer株式会社 高橋 歩 @ayumut
スタディセッション
カスタマーサクセスキャリアの「不都合な真実」
登壇者:株式会社キープレイヤーズ 代表取締役 高野 秀敏さん
本日の目的
カスタマーサクセス職の方々への気付きを与えること。
不都合な真実
・経営者やエージェントがCSを理解していない
・カスタマーサポートとの違いがあまりわかっていない
・経営者は新規受注を重視しがち 古いタイプの経営者は特に新規受注大好き。
・CSのミッションや業務範囲は会社によってかなり異なる
・CS職は顕在ニーズではなく潜在ニーズであることも多い。業務フローを構築することに不得手な経営者も結構多い。
・給与水準が割と安い。
・運用者は多いが責任者とのスキルの乖離がかなりある。ギャップがありそう
・ポストCSキャリアがまだない。ロールモデルになれるというチャンスとも言える。
どうすればいいか?
経営者、上司から期待された仕事の結果を出す。
経営者と何をやるべきか、詳細まで詰めるべき。
→期待役割が曖昧な場合は経営者や上司と細部まですり合わせをすること
→専門家になる、経営を目指す、他社に良い条件で転職する
例えばCFOはあるが、ChiefCustomerOfficerはまだない。
ワークライフバランス、ワークライフハーモニー、キャリアアップだけがゴールでもない。経営者、資本家、人事、エージェントなどもまだ知見が足りていない。それだけに、逆に言えばチャンスが大きい。自分次第で道を切り拓く、可能性拡大。激アツ。
事例セッション(1) ~カスタマーサクセスと出会う~
カスタマーサクセスの採用戦略
登壇者:株式会社SmartHR 人事グループ 新井田 久美子さん
元々は営業で入社→Sales Enablement→Upsell Sales →人事
Upsell SalesとしてCSと一緒に働いていた
SmartHRの採用工程(中途採用)
今日の主な話=現場の巻き込みの部分
中途採用において大事なこと=選考に関わる全ての人の認識が合っていること
課題=CSは思うように採用活動に割く時間がとれない
→現場メンバーの納得感、採用活動を自分ごと化してもらうことを大事にしている
CSMの役割
NRRとチャーンレートにコミット出来る人
ペルソナの設定
採用定例MTG(週次30分定例)
普段の選考活動で感じていること、課題を洗い出し
そのための施策=グロースファインダー
CSMの強み、特徴を洗い出し、ペルソナを設定
面接での評価項目を設定
ATSの評価項目をカスタマイズし、判断基準を明確化。「なんか良かった」ではなく、定量的に判断、話し合いが出来るようにした。
採用基準
SMB CSMの基準
オンラインでのコミュニケーション力を重視
エンタープライズ CSMの基準
個社ごとに対応するため、ディレクション能力を重視
CS Ops
200個ほどのSaaSを利用しているため、システム、データ活用に長けた人
母集団形成
エージェント、媒体、リファラル、自己応募、等
ミスマッチが起きないよう、選考ステップごとに定常的に見直しを実施
チーム構成やニーズの変化に合わせてチューニングを実施
各種施策実施の結果、CS組織の倍増に成功。
11名→20名に。
事例セッション(2) ~カスタマーサクセスを学ぶ~
カスタマーサクセスが成長するための環境づくり
登壇者:株式会社スタディスト カスタマーサクセス部 サポートグループ/エクスパンショングループ(兼務) マネージャー 原 瑞穂子さん
Teach me Bizとは
SOPをビジュアルベースで作れる。見る人にも、作る人にも簡単。
SOPとは
「標準作業手順書」のこと
カスタマーサクセス部の体制
・カスタマーサポート
・オンボーディング
・フライトグループ(リテンション担当)
・エクスパンション
他部署、他職種からの異動が多く、CS経験者は1名
教育体制
3週間程度のブートキャンプで初期教育を実施。
全コンテンツにSOPが紐付いている。
自習するものとそうでないものを用意し、教える側が楽になること、内容の統一を図っている。
人が介入することと、SOPだけで完結するものを分けている
CSとしては検定合格が合格ライン。
ビジネスサイドのブートキャンプ、CSとしての検定とを分けて運用。
業務内容はすべてSOP化
コンテンツが大量に用意されているため、自習しやすい・学習内容の均質化ができてる。
アウトプットのハードルを下げる
初期教育の段階からSOPにふれることで、業務プロセスや手順をSOPに落としていく、文化づくりができている。100点のものをつくる前に、80点でもまず作る。
学習のステップを5段階にわけ、ステップUPが図れるように設計
文化・環境をつくるポイント
SOPを使うメリットを体感→使いやすいツールを用意しておく→アウトプットのハードルを下げる
全員が改善を回す人、アウトプットする人になれる環境を用意する
アウトプットすることでフィードバックを貰えることでサイクルが回る
CSが育つ上で一番大事なこと
自社サービスの一番のユーザーになること。それによって顧客目線が培われ、顧客に提案がしやすくなる。説得力をもたせることができる。
事例セッション(3) ~カスタマーサクセスで活躍する~
あなたがカスタマーサクセスで活躍するための3つの条件
登壇者:Sansan株式会社 カスタマーサクセス部 Customer Marketing コミュニティマネジャー 内藤 雅美さん
キャリアチャート
法人営業→サービス企画→カスタマーサクセス
CSが天職だと思っている
カスタマーサクセスで活躍するための3つの法則
スキル×マインド×それを活かすための環境
スキル
そもそもどんな業務でどんなスキルが必要になるか?
例・トレーニング:どういうユーザーであれば、どういう使い方ができるか?
例・プロダクトフィードバック:CSはプロダクトとユーザーの橋渡しになることが重要な役割
結局なんのスキルが必要?
・調整力(バランス力)
・実行力・リーダーシップ
・顧客志向
・好奇心・探究心・学習欲
全部出来るスーパーマンはなかなかいない。
全部できる必要はなく、自分の強みがどこに活きるかを把握することが大事。
マインドで大事なこと=自分よがりにならないこと
自分が取り組んでいることを疑ってみる。自分がやったことが出来るようになると、結果、もう一段上のトライが出来るようになる
スキル/マインドを最大化するための環境
フィードバック文化
表彰や、バッチやUniposで称賛
CS基礎研修
座学・筆記・ロープレがふんだんに盛り込まれている
座学:CSの歴史
筆記:テスト
ロープレ:外部から講師を招いてやっていたりする
マネジメント=機会を与える
顧客対応以外に施策実施のチャンスを与える。
利用チャートは、CSMが顧客対応をやりながら、あったら良いと思ったことを実施して出来上がった。
制度
環境のチェックポイントまとめ。
まとめ
スキル×マインド×環境 掛け合わせが大事。
パネルディスカッション
Q:皆さんのカスタマーサクセスチームの構成を教えて下さい
SmartHR
CS Ops:3名、エンタープライズCSM:10名、SMB CSM:6名、関西支社:1名
スタディスト
オンボーディングG:4名、フライトG:コールセンター2名・東京4名、エクスパンションG:4名、サポート:4名
Sansan
ECS、MCS、テクニカルサポート、カスタマーマーケティング、それぞれ10名程度
Q:「Sansanご利用状況スコアチャート」って何で作ってるんですかね?めちゃくちゃ良さそう…
Sansan
エクセルで作っている。顧客の利用状況データを貼り付けると関数がチャートを吐き出してくれるようになっている。クライアントにはPDFで展開。
スタディスト
社内共有用に、週イチで作成している。同じくエクセルマクロ。あまり顧客には展開していない。顧客に危機感をもたせたいときにだけ共有している
SmartHR
ルッカー?で作っている。詳しくは会場にいる担当者まで。
Q:Sansanさんの教育プログラムはどのくらいの期間をかけて、誰が作成しましたか?素晴らしいのですが、自社で作るとしたらどのくらいかかるのかなと、、
Sansan
2016年に入社したころから、五月雨式に作っていたものを、昨年の12月頃から専任のCSEnablementがまとめ、教育プログラムを作った
SmartHR
アソシエイト(即戦力ではないポジション)を採用し、各CSMに配属し、同行等のOJTなど、小さなチームを通じて教育を実施
スタディスト
思いが入る部分や説明が必要なところは人が介入。
Q:エージェントや経営者に理解を促すためにはどうすればいいのか考えをお聞きしたいです!理解がなければCSの評価も上がらず、優秀な人材も増えないのでは?と思いまして。
高野さん
エージェント側は、今日の様な話をYou TubeにUPして説明資料にすればよい。そうでもしないと伝わらない。わかりにくい。求職者に伝えるためにも動画だと伝えやすい。
経営者については、数字がすべて。社長は数字しか見ない。社長が特に重視している数字に紐付けて説明する必要がある。
Sansan
人事から相談を受け、パネルディスカッション形式のエージェント向け説明会を実施。CSMメンバーから自らのキャリアパスや仕事の内容を説明してもらう。
SmartHR
エージェント向け説明会を先日実施。その場でSlidoを使って質疑応答をしたら普段聞かないような質問が出たが、懇親会は全然参加されなかった
Q:カスタマーサクセスの組織(メンバー)を評価する際の指標は、どのようなものがありますか?(SaaSサービス)
Sansan
会社全体でジョブグレードがあり、それのCS版がある。個人の評価はその軸でされる。
スタディスト
部署でKPIは追っている。部署で追っているヘルススコア対して、個人でどうするか目標を設定する
SmartHR
スタディストと同じ、個人で目標設定し、上長とすり合わせて決定。
Q:CSが天職!と思ったエピソードあれば教えてください
Sansan
顧客が変わる場面を目の前で見た。年配の方が、Sansanを使ってスマホで地図を見るようになった
スタディスト
営業の頃と根本は変わっていない。顧客のサクセスのために何が出来るかを追求。
SmartHR
顧客が継続して使ってくれないと意味がない。SaaS業界にいる身としては非常にやりがいを感じる。
Q:もしもイチからカスタマーサクセスチームを作るとしたら、まず何から取り組みますか?
SmartHR
人事の観点では、どんな人を採用するか、から考える。提供しているプロダクトなどからペルソナを策定
スタディスト
カスタマーサクセスという名前にしない。CSは全社の文化であるべきで、一つの部署が担う役割ではないため。部署名をすごく考えそう。
Sansan
人集め。自分事感をもって進められる人を仲間に加えることから始める。
まとめ・感想
オンボーディング、というCSで最も大事だと言われるプロセス・言葉は、もともとは採用後の人事研修を指す言葉らしい。今回のセミナーのテーマが、オンボーディングを大事にするCSの採用後の”オンボーディング”に関連するからなのか、CSのトップランナーである各社、採用・教育・評価にめちゃくちゃ力を入れてると感じた。
今日の内容を自社に活かそうと考える際に、組織やプロダクトのフェーズにものすごく左右されると思っていて、PMF達成後、採用担当人事とか評価制度がある程度整ったフェーズであれば、明日にでも丸パクリ出来ることが沢山ありそう。一方で、PMF達成前、人事も制度も何もなく、一人CSM孤軍奮闘状態のフェーズであれば、将来、登壇各社と同じ状況になることを見据えて、徹底的にCS業務や採用基準の型化に取り組むと共に、先行するメガベンチャー(?)が既に型化を終え、経験者採用&オンボーディングではなく、未経験者の戦力化に採用・教育の軸をシフトしていること、それによって自社にCSM適任者が回って来る可能性が知らないうちに減っている、ということに危機感を覚えた方が良さそう。
とは言え、「いい人いたら〜」とか「経験者じゃないと〜」とか言ってる場合じゃないですよ!社長!!って、CSの評価、給与水準が低い会社じゃ言っても中々伝わらないだろうなぁ。。
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