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論理的思考を育てる子育て。「ねえ、おかあさん。『むしあつい』って、……っていうこと?」

あれは、母と3人で暮らしていたとき。
今のように、とにかく蒸し暑い日だった。

エアコンはがんがんかけていたのだけど、あんまり効かなくて、

「ああー、蒸し暑い、蒸し暑い!」


とばかり、母と言い合っていたときのことだ。

息子、3歳。
すごく、もじもじしながら、恥ずかしそうに、こんなことを聞いてくる。

「ねえおかあさん。」
「何?」

「あのさ……。『むしあつい』って、虫が出てきちゃうくらい暑いっていうこと?」


ぐっ。

かわいい。

でも、ここで笑ってはいけない。
バカにされたと思って、二度と、こんなかわいい考えを言ってくれなくなる。

わたしたちが言っている「蒸し暑い」に興味を持ち、自分なりに意味を考えて、聞いてきたのだろう。

「ううん。えーっとね……。」

「うん。」

「目に見えないんだけど、今、空気の中にお水がたくさんあるの。そうするとすぐ汗をかいてベタベタしちゃうでしょ。そういう状態を蒸す、って言うの。蒸していて、暑いから、蒸し暑いって言うんだよ。」

「そうなんだ。」

「でも、虫が出てくるくらい暑い、なんて、おもしろい考えを思いついたね。さすが息子だ。えらい、すごい!」


てへへ、と笑う息子。

どんな考えでも、自分で疑問を持ち、考えたことを言ったのなら、ほめるのが「論理的思考」を育てるコツだ!


と、つねづね考え、実行してきた。
そして、そのとおりの子どもに育った。


いつも、

「ぼくはこう考えたよ。なぜかというと、〇〇だから!」


と、根拠をもとに、意見を言える子に育った。

そういうことを考えるのを、楽しんでいた。

だから、子どもが、へんてこでかわいいことを言ったとき、絶対に笑っちゃいけない。「自分の考え」を言えたことを、ほめたたえなくてはいけない。


とっても、とっても、笑うのをこらえるのは大変なんだけど(笑)。

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