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鼻にソーセージをぶら下げたおじいさんの謎。あなたがおばあさんだったらどうする?

 ―ここは、〇×大学の「童話研究会」の部室だ。入学したてなので、皆まだ方言が残ったまま。しかしそんなことは関係なく、みんな仲良く活動している。

標準波子「あ、京ちゃん!」

京都子「ごめーん、遅なってー。南ちゃんとそこで会うたんやー。」

南部紗季「そごで会ったすけ一緒さ来だのー。どう? 今日の研究ぁ?」

標準波子「うーん、なかなか難しいわねー。切り口を探すのって。みんな、今、どんな話してたの?」

土佐好美「えーと。魔法らあで願いが叶うのって、憧れるよね。そがなお話、よけあるよねって。」


京都子「そうやな。いちばんすごい『願いを叶えるお話』ってなんやろう?」

薩摩涼子「外国んおはなしん「三つん願い」じゃろうな。」



津軽一美「あ! 魔法使いがではできて、老夫婦にいきなり『三つの願い』ば叶えでけるろって言いだすやつね。」

標準波子「あの夫婦はほんとにラッキーだよね。」

広田浩美「何かええことしたわけでものう、戦うてものう、助けてものう。なんにもしとらんのに、願いが三つももらえるなんて納得できん。」


南部紗季「はっきりど『叶えでける』って断言されでらんだすけ。んだども、なんだが逆におっかねえな。」

薩摩涼子「先によか思いさせっせぇ、あとから悪かことを始むっとか? オレオレ詐欺んごたっな。」

津軽一美「ふふふ。だばって、なすて『願いばかなえでける』ど言わいでらのに、おじいさんどおばあさんは論理的かつ合理的に、『三つの願いば何にすが』つ会議ば開がねがったのかしらの。」


標準波子「人生のものすごく大変な転機なのにねえ!」

広田浩美「1週間くらいは考えてもよかったじゃろうに。」


土佐好美「やけんど、おじいさんのうっかりで、一つ目の願いを叶えてしもうた……。」


南部紗季「食事中断して、二人で話し合うべぎだったえ。食いながら話聞いでらすけあったごどが起ごってまった……。」

津軽一美「食事ば続けだもんだはんで、おじいさんがつい、
『でったらだソーセージがくいて。』
って言ってまったんず。あーあ。」


薩摩涼子「ボワンと大きなソーセージが出てきてしもてさ、そりゃあ、ばっばんじゃなくても怒っわ。三つのうちんひとつん願いを、ソーセージ一本に使うちまったんじゃでなあ。」


京都子「そやけど、おばあさんもすごいわなあ……。ふだんどないな悪口を言うてるんやろうな。」

「そないなソーセージは、おまえの鼻にでもぶらさげときーな!」



って日本ではなかなか聞かへん、ファンキーな罵り方やわぁ。まったく。」


標準波子「でも、具体的過ぎたから、ソーセージはおじいさんの鼻にぶら下がってしまったと。」


南部紗季「どったにひっぱっても、取れね。だすけ三づ目の願いで、
「じっちゃの鼻がらソーセージ取ってけせ。」
となった、という話だよね。」

広田浩美「おじいさんの鼻先を切っちゃればええのに!」

津軽一美「ねえねえ、実はここが、むかしからたげ謎だんずばってさあ。

おじいさんの鼻ぎりぎりのところまでソーセージばくって、あとはおじいさん、今後はソーセージの最後の皮ばくっつけで生きでけ、とは考えねがったのかの。

そしたら、願いは一つばし残るんだばって。」



標準波子「一橋?」
津軽一美「いやいや、ひとつだけって意味。」


津軽一美「ねえねえ、なががおばあさんだったら、どす〜? お話通り、ソーセージがとれだ、ちゃんちゃん、と終わりにしてまる?」


標準波子「なかが? ああ、あなたが、ね。」


薩摩涼子「あたいやったら……ソーセージなんていうようなお爺どんとは離婚!

鼻にソーセージをぶら下げちょっお爺どんを追い出しっせぇ、

「お爺どんよりよか男―!」


っておらぼうかな(笑)。わーうそうそ、冗談~!」


「それもありーありー!」
「やけんどそれもだねー」
「えいアイデアやねや」
「っちゅうか、みんな実は本音はこれかいな?」
「キャーキャー。」


 
 方言は違ってもみんなだいたい理解している。楽しい時間が過ぎていく。




引用:BAPPERチャンネル 恋する方言返還

津軽弁にする:ねこいりねこ


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