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どうしても廃倉庫でドンパチしたい黒沢清。
「蛇の道」でやり足りなかったのか。
今作では存分にやれて良かったですね。

アシスタントの佐野(奥平大兼)が、なんのアシスタントなのかっていう。
吉井(菅田将暉)が殺し屋になっていくようにアシストしていく話なのかなと思った。
倉庫のドンパチシーンでは、わかっていて、わざと狙われるような場所に出ていって吉井がやってくれるのを期待したり、先輩(窪田正孝)の銃を奪ったあとは(さあ、今ですよ)という目で佐野を見た。
滝本(荒川良々)を殺す時もわざと一発で仕留めず、吉井にとどめを刺すよう仕向けたように見える。
吉井がどんどん躊躇なく人を殺していく様が良かった。

佐野は吉井の縄を解く時、最初のひとりだけはお手本のようにとまどいなく殺して見せ、
「この人がどうかしました?知ってる人ですか?知らないならどうでもいいでしょ」
って正当化し、罪悪感を薄めてあげた。
最後の秋子(古川琴音)を殺すときも、わざわざ秋子が撃鉄をおこすところまでは待った。
明確な殺意を待っていることを吉井に確認させて、それから殺した。
全部「教えてあげた」のだ。
洗脳するように。
佐野がいちばん怖かった。

吉井はどんな時もお金のことを考えていて、転売が上手くいくかどうかそればかりが気になっていて、え、今?今それ見るの?逃げた方が良くない??っていうシーン沢山あったんだけど、どんな状況下でも携帯とか気になって見ちゃうのあるあるで、依存的表現がリアルだった。

作中に出てくる「JK刀」は実際にネットで検索すると高額で取引されていたりするのも面白い。

キャスト全員素晴らしかった。
特に奥平大兼がめっちゃ良かった。何者。
どこかで見たなと思ったら「マザー」に出てたわ。
たんたんと人殺すのはまっててとても良かった。
あとは死に方が全員それぞれ秀逸で、時代劇かなと思った。特に岡山天音の死にっぷり、最高過ぎた。
松重豊も「え?あれだけ?」って感じだし、古川琴音の最後の表情も大袈裟なところがとても良かった。

あと「Chime」を見てるからなんだけど、吉岡睦雄よ。
もうあの人が出てきた途端に作品が一気に不穏になってしまうのよね。
あの甲高い声。ひぃっ、ってなる。
三本の中では「Chime」が一番好きかなー。


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