モノ・トキ・イミ消費からのエモ消費
誰しも消費者であり、「価値を感じるもの」に対して消費行動を起こす。
何に「価値を感じる」かは、個人の状態や時代とともに変化する。
さらに価値を「魅力」と言い換えるとイメージが分かりやすく、
何に「魅力を感じる」かは、時代や個人の状態とともに変化する。
例えば、服について。
■時代の変化
これまで、「リアルな動物の毛皮」こそ希少で高級な”本物”であり、
化学繊維でそれを真似た「エコファー」は量産で安価な”偽物”でした。
しかし、動物福祉の観点を重視するようになり、
動物を犠牲にする毛皮に魅力を感じないどころか反対する消費者が増え、
動物福祉に反する製品を作るブランドに対し投資家が向ける目も変わり、
今や「リアルな動物の毛皮」は”本物”であることが”悪”とみなされつつある。
それに合わせて、多くの高級ブランドが”偽物”であるエコファーに魅力を見出し、事実、毛皮の使用をやめてエコファーにシフトすると宣言。
(例)ドルチェ&ガッバーナ、アルマーニ、グッチ、カナダグース
■個人の変化
去年のお気に入りだった春服を今年取り出してみると、
「なんかこれ去年毎日のように着ていたな」と今年はあまり魅力を感じないことがよくある。変わったのは服ではなく、その服を見つめる自分・・。
着れる服はたくさん持っているのに、
「似合う」「流行」「気分」等々の基準でコロコロ変わる今の自分の状態にベストフィットする服に対して魅力を感じ、過去のベストフィットには魅力を感じない。
モノ・トキ・イミ消費からのエモ消費
そうした、何に「魅力を感じる」か、が変わりゆく中、
様々な消費観が誕生。
・モノ→トキ→イミのように変化しているとも言えるが、
新しい価値観が出たことによって従来の価値観がなくなるわけではない。
・同じ「映画」でも、映画を観る行為(コト)に価値を置く人もいれば、
年に一度家族で映画を観るイベント(トキ)に価値を置く人もいる。
・特に若い世代において、
エモ消費などのふんわりした価値観が軸になっている。
提供側は、
同じ商品・サービスでも、
それを通してどんな価値を消費者に与えるのか、
今相手が魅力に感じやすい(求めている)ものは何か、
都度しっかりと整理して提供する必要があります。
今の「安いニッポン」では、価格優位性が重視される傾向があるけれど、
値段よりも他の消費観が優先する時代になった時でも魅力を感じるか。
また、消費観が変わっても選び続けてくれるファンを作れるか。
軸と柔軟性のバランスが大切だと感じます。
消費者側は、
なぜその商品に魅力を感じるのかを無意識のままにしていることが多い。
自分が魅力に感じている理由を明確にしていけば、
衝動買いや無駄遣いを防げることに加えて、
「なんで去年こんな派手な服買ったんだろう」
「なんであんなにライブ行きまくってたんだろう」ではなく
「去年は冬にアースカラーが流行った反動で春は派手な色が目に止まったんだよな」「あのアーティストの〇〇が好きだったんだよな」と、
ささやかながら過去の自分の行動の肯定に繋がるのではないでしょうか。
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