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ハローキティ展にリベンジした24歳がトキメキを取り戻した話
ハローキティ。それは日本の「カワイイ」を代表する国民的キャラクターと言っても過言ではないだろう。そんなハローキティ50周年を記念して、上野の東京国立博物館表慶館でハローキティ展が開催されている。
ほぼ同時期に上野の国立西洋美術館でモネ展が開催されておりそちらも気になったが、最近は竹久夢二展やさくらももこ展など、乙女心を刺激する日本作品の展覧会がブームの私はハローキティ展を選んだ。
2月11日建国記念の日。どうしても朝起きることができず夕方上野に向かった私は、そこで初めて90分待ちという事実を知らされ愕然とする。周りの友人やSNSのTL上でハローキティ展に行ったという話は一度も見聞きしていなかったので、むしろ穴場くらいに思っていたのだ。仕事が繁忙期で体力も精神力もギリギリだった私は、その日ハローキティ展を諦めることにした。
しかし、2000円もするチケットは既に購入してしまっている。交通費等を考えれば諦める方が賢明かもしれないという考えが頭をかすめたが、わざわざチケットまで買った展覧会を諦めるという判断はそう簡単にできるものではない。
というわけで次の休みである本日10時30分、私は再び上野公園にいた。本当は9時には到着して開館まで待機する意気込みだったが、またもや朝起きることができなかったのだ。午前中に到着できただけでも及第点と言えよう。
私が列に加わったとき、待ち時間は50分と表示されていた。前回よりは短くて胸を撫でおろす。列に並んでいる間、周囲の人を見てみると多くの人がキティグッズを身につけていた。
今まで鬼滅の刃や名探偵コナンのイベントには何度か行ったことがあるが、それと同じ熱気に驚く。あまりにも身近だからか、実はハローキティにそこまで熱狂的なファンがいるイメージがなかったのだ。国民的アイドルのハローキティ舐めてましたすみません。そりゃ90分待ちにもなりますわな。特にキティに執着のない自分が来ているのが少し申し訳ない気持ちになった。
列に並んだときは50分待ちと表示されていたが、実際は30〜40分くらいで入ることができた。天候に恵まれたので並んでいる間もそこまで苦にならなかったように思う。もしこれからハローキティ展に行く人は、必ずその日の天気をチェックされたし。外に並ぶので雨だったら地獄です。
展示の内容は歴代のハローキティグッズが主である。こういうの見たことある!からこんなの初めて見た!まで、様々なキティが楽しめた。また、どんなデザインにもキティは溶け込んでおり、その多様性に驚かされる。それはキティというキャラクター自体が揺るがない何かを確立しているからなのだろう(そんなようなことが展示に書いてあった気がする)。シンプルなデザインはなかなかに奥深い。
当たり前だが展示されたグッズはどれもかわいく、鑑賞中はトキメキの連続だった。仕事に忙殺されて干からびかけていた心が潤いを取り戻す。
展示の構造は写真を撮ってくれと言わんばかりだったが、今回はあえて写真を撮らなかった。別に展覧会では絶対に写真を撮らない!と宣言するほどのこだわりもない。しかし、写真を撮ろうとするとどうしても角度や影が気になってしまう。今日はそういったものにトキメキを邪魔されたくなかった。また、混み具合的に無理に写真を撮ろうとしたら周りの迷惑になるだろうなと思ったのもある。単純にね(笑)だからこの記事に展示の写真は出てきません。
展示の終盤には、30人のアーティストが「わたしとキティ」という題材で描いたイラストが展示されていた。アーティスト一人ひとりがキティを愛しているのが伝わってくる。こうやってキティを大切に思っている人がたくさんいるんだろうなぁ、「わたしとキティ」という物語は世界中に溢れているんだなぁと思ったら思わず涙ぐんでしまった。
感無量で鑑賞を終え、グッズ購入列へ。今度は30分待ちとなっていた。ほとんどのグッズが売り切れと聞いていたので、もし残っていれば図録と、お土産として配るお菓子だけ購入しよう。そう思っていた。
グッズ購入は10分入れ替え制。当初の予定では余裕で購入を終えられるはずだった。が、しかし……意外とグッズがある。そして、衝撃の押し合いへし合い。売り場はみっちりと人で埋め尽くされていて、身動きすらままならない状態だったのだ。これで10分?売り場を1周することすらできないのでは??私の理性が吹き飛ばされていく。
もう買うか買わないかは瞬時に判断するしかない。一番入り口に近いところにあった図録とお菓子をまず籠にいれ、あとは死に物狂いである。このトートバッグはすごくかわいいが実際に使えるか?ビビッと目が合うぬいぐるみはないか?この収納ケースはアパートの狭い部屋に置けるだろうか?一瞬の判断を繰り返していく。焦るあまり周りの迷惑になるような動きをしてしまったのではないかというのが気がかりだ。
さて、そんな私が購入したものは以下の通りである。
①図録
②ヤングドーナツ10袋入
③ネックレス
④バニティケース(収納ケース)
⑤フェイスタオル
⑥ショッパー×2
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フェイスタオルのデザインが派手すぎて部屋の雰囲気に合わないかな……とか、東京国立博物館とのコラボグッズを買えばよかった……などの後悔はなきにしもあらずだが、これはもうご縁というものだろう。
マフラーや帽子、ペットボトルといった荷物は本館のコインロッカーに預けていたのだが、あえて2つ購入したショッパーにそれらもまとめてしまう。ふくらんだキティのショッパー×2を下げている女は周囲からかなりのキティフリークに見えたことだろう。
祝日のあの日、キティのショッパーを下げて歩く人たちを横目に、私は涙を飲んで帰路に着いた。あのとき羨ましくて仕方なかった勝者の証を下げて、今日の私は上野公園を歩く。すれ違い様、「わぁすごいね、みんなキティの袋持ってるね〜」という親子連れの声が聞こえた。