難病治療薬での現在注目企業について(大和証券CMアメリカ シュナイダー恵子氏/モーサテ20230927)
過去10年のS&P500の予想EPSを比較したところ、情報技術とヘルスケアが、他を引き離している。
2023年は、AIブームにより、IT産業に資金が集中したが、リセッションが意識し始めると、景気や金利の影響を受けにくいヘルスケアにも物色が広がる可能性がある。
特に、バーテックスに注目している。現在のマーケットでは巨大市場として肥満症治療薬が脚光を浴びているが、対照的に極めて稀な分野で独占的なポジションにあるのが特徴である。
主力薬であるトリカフタは、遺伝性疾患の一種であり、難病に指定されている膿疱性線維症の治療薬。患者数は欧米で88,000人いると言われ、10年前は38歳だった平均寿命が、本薬剤で83歳まで延長出来る研究結果も報告されている。
売り上げのピークを123億ドルと予想しており、粗利益率は87.7%とフリーキャッシュが積み上がっている。
難病や希少性疾患は、政府の保護が厚く、特許は2037年まで守られており、薬価引き下げ方からも除外されている。
開発中の新薬に関して、2023年末から2024年にかけて次々と重要なイベントを迎える。
2023年12月にはエクサセルの承認が審議される予定にしている。アメリカでは麻薬製鎮痛薬の乱用が社会問題となっているが、麻薬製のない痛み止めであるVX548、そしてトリカフタより高い有効性を目指すバンザカフタートリプルが、2023年末から来年の早い時期に最終臨床試験の結果を発表する予定。
新薬への期待が大きい反面、結果次第で株価は上にも下にも触れる可能性があります。ただ、現在売上の9割を占めるトリカフタが強いため、開発が遅れたとしても、株価の影響は限定的だろう。