敬礼が、好きだ
じいちゃん、父の職業柄、子どもの頃から、敬礼に憧れを抱いていた。
そして、何かと敬礼する姿を真似するのが好きだった。
きりりとした凛々しさは、何物にも代えがたい。
無駄な感情を消し、与えられた指示にすっと従う。
ある意味、精神的な美しさがあると思う。
個人的には、「気をつけ」「前へならえ」の号令も嫌いではなかった。
行進も好きだったし、鼓笛隊で演奏チームを率いる指揮者にも憧れていた。
己を出さずに、調和を重んじる。
己の立ち位置と役割を認識し、行動する。
その精神に憧れがあったのかもしれない。
その心は、行動で示すことは、なかなかに難しいものだけれども、実は、自己主張が求められ、評価される現代社会において、実は、特に尊重されるべき精神なのかもしれない。
自己を抑制できるからこそ、自分がわかる。
自分がわかるからこそ、魅力を表現できる。
自分をコントロールできるからこそ、自己主張に意味がある。
敬礼が教えてくれる、自分と社会との向き合い方。
ときにひとり、敬礼して、
ふと思い出すのも、悪くない。