『迷えるリーダーがいますぐ持つべき1枚の未来地図』を読んでみた
本書は、「賢者の知恵」と「成功者の事例」を「1枚の地図」に凝縮をテーマにまとめられた1冊です。リーダーは、絶対に迷ってはならないものですが、実際のところ、迷わないリーダーはいません。過去に経験のない状況で判断を迫られたら、どんなリーダーも迷いをかかえてしまうものです。
では、どうしたら正しい判断を下せるのか──。
その方法が「1枚の地図」を描くことから始まります。
著者は、数多くの経営者と接し、戦略立案や商品開発を手掛けてきた人気コンサルタントである横田伊佐男氏。
「賢者の知恵」として、クリステンセン、キム&モボルニュ、コトラー、アンゾフ、ミンツバーグ、チャンドラー、ポーター、ドラッカー、ケープルズ、コリアーを引用。
「成功者の事例」として、Google、NETFLIX、富士フイルム、マイクロソフト、デアゴスティーニ、日本一の行商人、サイバーエージェントの事例を紹介。
世界の経営学の知恵と、競争を勝ち抜いてきた企業の成功事例を織り交ぜながら、6ステップで「1枚の地図」に落とし込んでいく、迷えるリーダーの課題や問題を今すぐ解決できる1冊です。
■書籍の紹介
迷えるリーダーがいますぐもつべき1枚の未来地図
横田伊佐男
未来の地図とは
本書でいう未来の地図とは、6つのマスで構成されたリーダーが迷わないための地図を指します。地図の機能は一般的に全体を見渡すことが挙げられますが、この地図は、以下の機能がメインとなります。
・現在地を知ること:From
・未来の行き先を描くこと:Goal
・上記両者を結ぶ道筋:Road Map
リーダーがすべき役割とは、今の商売がどうなっているのか、どこが課題なのかという現在地の把握。そして、こうなりたい、という将来像にあたる行き先の把握。そして両者を結ぶ戦略。その3つが分かっていないからこそ、迷ってしまうのです。
そこでこの1枚の地図に明記することで、迷うことをなくし、適切な判断をおこなっていきます。
未来の地図の構成
未来の地図は、以下のStepを6つのマスで表現しています。戦略と戦術が分かれ、例えば戦略で言えば、Step1→Step3にかけて、具体的→概念的に変化します。
また、戦術で言えば、Step4→Step6にかけて、具体的→概念的へと変化していきます。
■戦略
Step1:目標設定「高みをめざせ」
Step2:市場把握「風をよめ」
Step3:戦略決定「方角を決めよ」
■戦術
Step4:価値伝達「惹きつけ、押し込め」
Step5:目標具体化「コミットせよ」
Step6:戦術検討「細かく砕け」
まず、ポイントとして、戦略と戦術を分けることが重要です。
戦略は、何をするか、方向性・目的を決めることになります。そして、注目べきは、この主語は「リーダー」であるということです。
一方で戦術は、どうやるかという手段になります。戦術はリーダーではなく、スタッフ主体でおこないます。そのため、主語は「スタッフ」ということです。
陥りがちなミスとして、戦術にリーダーが介入しがちであるということで、そうしてしまうと、リーダーの戦略立案の時間がおざなりになり、スタッフは主体性や思考力を失っていくという問題が起きます。
ヨコの軸は行ったり来たりで考える
未来の地図の横軸、これは戦略でいうとStep1→Step3の軸、戦術でいうとStep4→Step6の軸となります。ここでのポイントとして、横の軸は行ったり来たりで考えるということです。
思考の順番を具体的→概念的に考え、そしてまた、具体的に考えていきます、。具体的思考は物事がはっきりしていて説明しやすいですが、思考が硬直化しやすいデメリットがあります。一方で、概念的思考は柔軟に発想しやすい反面、曖昧で説明責任を果たさない場合があるのです。
両者を行ったり来たりで考えることで、思考に厚みが出てきます。
リーダーとスタッフの役割を分ける
まず前提として、戦略がリーダー、戦術がスタッフであるということを意識化においてください。その際の思考法は下記になります。
・リーダーとスタッフでは役割が異なる
・リーダーは「戦略を決める」
・スタッフは「戦術を実行する」
・軍隊ではリーダーは「将校」、スタッフは「兵士」
・「兵士」の命は「将校」の決断次第
Step1~Step3の役割として、リーダーが方向性を決めることに重きを置いています。そのため、方向性の意思決定を行うのがリーダーであるため、リーダーにはしなくてよいアクションが存在しているのです。リーダーがしなくていいこと、これを決めることも大切です。
リーダーは経験したことがない環境変化に対し、適切な戦略が分からなくなる
人は一定の経験までは適切な決断ができるが、その経験を超えると、結d何ができなくなります。本書では、これはリーダーのジレンマと呼んでいます。このジレンマはなぜ起きるというと、多くは以下の内容に帰結します。
・人は一定の経験ないでは決断できるが、その経験を超えると判断ができなくなる。
・リーダーは迷ってはいけないが、経験を超える状況にばかり直面する
・変化する環境に戦略をフィットさせることが難しい
行き先を数値化することが重要
市場は常に変化していきます。例えば、今までの売上の大部分を占めていた大口クライアントとの取引が中断してしまったりなどです。
そのため、変化する環境を暴くために目標設定を先に決定することが重要です。目標設定は固有名称で特定し、数値化することで明確化することができます。
熊と鹿どちらをターゲットとするか
本書では熊と鹿を対比させて、どの市場に商品・サービスを売り出すかを考えています。なぜ熊なのかと言えば、熊は数自体が少なく、的が大きく鈍重だが、襲われるリスクが高いといえます。なぜ鹿なのかと言えば、数自体が多く、的が小さく素早いが、こちらが襲われるリスクが低いといえます。まとめると以下です。
■熊の情報
・数が少ない
・的が大きい
・鈍重
・襲われるリスクが高い
・減少中
■鹿の情報
・数が多い
・的が小さい
・素早い
・襲われるリスクは低い
・激増中
高い目標設定は、10Xから生まれる
10Xの思考法は、世界的企業であるGoogleが生み出したものです。なぜ10Xかとえば、10倍で考えると、仕事がルーティーンにならず、10倍にするためには、とびぬけた発想をする必要があるからです。
例えば、既存のビジネスの進め方で、10倍の売上をつくることができるか?と考えると、ほとんどの経営者の答えはNoとなるはずです。10倍の売上をつくるためには、新規の発想で新しい市場に参画することや、新規の商品やサービスをマーケットに合わせて、作り出すことが必要です。
そして、これは売上だけに言えることではなく、現在のビジネスフローや、社内制度など、今のビジネス構造そのものを改革するための発想の転換にもつながります。
明日に成功するであろう事業は、昨日今日の顧客意見を聞くのではなく、破壊的に考える必要があるのです。10倍目標「10X」は破壊的目標設定だと言えることができます。
10Xを達成する人の特徴
1.先の予見する:サイクル、トレンド、パターンを探す
2.相手の立場になる:相手のニーズや夢を知り、サポートする
3.見解を明らかにする:情報収集をおこたらず、洞察を深めておく
4.空気を読んで空気を壊す:時には人の言わないことをいう
5.自分から責任を負う
6.参加する:電話でも雑談でも責任をもって関わっていく
7.ハートに耳を傾ける:洞察力を磨き、繊細な信号に耳を澄ませる
8.常識を破る:無関係なものを関係づける
9.前向きに失敗する:自分の苦手なことをして、早く失敗する
10.問いかけを続ける:好奇心を持って洞察を常に探求する
11.視点を変える:全体から細部へ、未来視点、ライバル視点など
Step1で高い目標設定をした後で、どの市場を狙うか策定する
Step1で10Xの目標を立てたあとで、実際にその売上を作ることができる市場を模索していきます。1億の売上であれば10憶達成するためには、どの市場をとりにいけば良いか、市場把握していくのです。その上で、目標達成できる市場の選択肢を検討していきます。
まとめ
本書を選定した理由は、直近リーダーとして判断に迷う機会が多くあり、その解決方法のヒントと、具体的なアクションについて学びたいと考えたからです。
実際に本書を読んで、基本的には商品企画の責任者や経営者が読むべき1冊であり、今の自分にはぴったりの内容でした。読書レポートではStep1をメインに記載しましたが、今の自分は決断も判断もすごく具体的なものに落とし込もうとしていて、逆に発想が狭くなっていると感じました。
長橋さんから10憶という数値を掲げられた時に、今のビジネスフローではその数値を達成できないとすぐに判断ができましたし、目標設定の数値の高さから生まれる発想力の必要性に気づきました。
本書でも10Xという目標が指標としてでてきますが、やはり高い目標設定とそのための発想力をリーダーとして、考える必要がある。そして具体的と概念的の横の思考軸をもっと持つようにしていきます。