続)5️⃣本当にあった恐ろし〜い話❌採血❌ド下手💦
主治医トリオの一人である野比医師、採血は致命的にド下手で、何時間も平気でブッ刺し続ける。しかも、血管に四十度くらいの角度でそのまま血管突き破って奥に針進めるタイプ。
有希は入院時の別件の対応のために電話対応をしており、「いい加減やめてください!」と言いそびれていた。電話を手で動かせないため、一瞬電話を避けて「いい加減やめて下さい」と言いうのが難しい。肩で抑えたその電話を離してしまったら、拾って再度耳に当てることは自力ではできない。それでも、咄嗟にPHSを放し、落ちた時に医者に「やめてください。ちなみに、電話を私の耳に当ててください。」と言うこともできたかもしれない。もっと考えれば、方法があっただろうに。
しかし、もういい加減やめてと言いづらい理由はもう一つある。「患者が緊張しているから、血管が引っ込んじゃっている」と主張するスタッフが必ずいる。現にそう仄めかされた。採血中にわざわざ電話を持てない人間の耳元に置いて対応をさせたのは、本人が直接対応した方が速いし的確なのもあるかもしれない。しかしもう一つ、患者が別のことに集中して恐怖が和らいだ隙に刺して成功させようという意図も少なからず有ったのかもしれない。
別にストレスで血管が引っ込んでいたのではなくて、10年以上滅多刺しにされ続けたから血管がないのだ。しかし、百聞は一見にしかず。こういう説を唱えられた時は争わないのが解決の最短ルートだ。
ある程度身体を張って一度違うと証明することで、あらぬ疑いを払拭するのが手っ取り早い。
「どうぞ、私が電話に集中してリラックスしている時に存分に刺してあなたの仮説を否定してください」と思う時もある。
そうは言っても、滅多刺しにも限度というものがある。1時間でも酷い方ではないかと思うが、3時間は世界新記録ですよ。
有希は電話に集中しすぎて、刺されることも無視してしまっていた。
まぁ、たまには結構深く刺した針に「痛ッ」と声が出た時もあったが。そして、内心「これは流石に酷すぎる」と一瞬絶句した。電話対応も結構時間が掛かってたのね。電話切ったらやめてもらおうと思いながら、時間が随分経過し、その間何度も繰り返し刺され続けたのだろう。後日四肢はあざだらけで、拷問か虐待でもされたかのように変貌していた。
電話を切った直後に礼儀正しく、しかし強い口調で止めるように医師と看護師にお願いした。普通なら、彼らは蹴り飛ばされ、怒鳴りつけられてもいいくらいの悲惨さだろう。
その後、訪れたDr.臼井は「大学病院だから、多少は…」と話し始めた。
有希は流石にそのセンテンスを遮ってでも主張した。「3時間刺し続けて入らないんなら、何度刺しても入りませんよ。大体、海外なら2回刺して入らなければ手を替えるように指導されます。((そう、ここは日本。それでも、非常識にも限度があるでしょうよ!)) 元々難しくて採血も点滴のライン入れるのも苦戦するんです。誰か上手い方にお願いすることはできませんか?」と。三時間滅多刺しにされた患者がさらにモルモットというより針差しにされ続けないように、別の医師に頭を下げ、説得しなければいけないというのはいかがな状況だろうか。
Dr.臼井の叱りつけるような表情は緩み、心なしか同情の光が一瞬差し込んだようにも見えた。「それは流石に酷いな。いいですよ。僕が採血します。僕はハイパーローテーション研修をしているから、昔は朝皆んなの前に病棟に行って採血するのも仕事でした。だから上手いんです。」と無茶苦茶優しく話してくれた。その時のDr.臼井は天使のように見えた。
ただの採血ならば、何時に取っても良いものもある。しかし、腰椎穿刺で脳脊髄液を採った時に対で行われる採血は、穿刺後2時間以内の採血でなければデータが不適切になる検査だ。それを3時間かけても採取できず、自ら助っ人を頼めないのは流石に酷すぎるだろう。まぁ、数週間前に職についた若い男性看護師も目を輝かせて一緒に失敗し続けていたから、同性の声のかけやすい誰かには、一応声をかけたわけだが。何だかなぁ。
患者も直ぐに拒否する必要があるだろう。しかし、「患者は人権などないモルモットで当たり前」という根深い日本医療界独特の文化は訂正されたし。
一度や二度なら快く練習台になる時もありますよ。10年以上快く練習台になり続けた結果が今のボロボロの血管のわけで。でも、人が動けず、反論できない時に刺し続けるのは反則でしょうよ。人が「いい加減にセイヤ、このドアホウ!こっちはモルモットちゃうねんで!」とキレるまで刺し続けるのは甘えや無神経を通り越して拷問だ。
抵抗できない人で練習しまくるから、血管がボロボロになって、今では輸血製剤ですら指から入れる始末。(もっと早くキレろよ!)
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