続・「女」を守るために
クロちゃん、失恋
水曜日のダウンタウンでクロちゃんが失恋した。
残ったのは約165万円のプロポーズリングと、山ほどの思い出のみである。
ただ、今回のクロちゃん失恋を笑い話で終わらせてはならない。
番組でリチちゃんが言った言葉の数々にギクッとなった男性諸君はどれほどおられるだろうか。
リチちゃんの言葉の節々にパートナーとの「対等な関係」や「ありのまま」を求めているように感じた。
パートナーとの関係構築を示す良い教材だと強く感じた。
実際のオンエアやXでの視聴者の声を元に、クロちゃんが反省すべき点を探っていこうと思う。
追い求めすぎた理想
キツイことを言うが、まずクロちゃんは女性に理想を追い求めすぎだと感じた。
「すっぴんは手を抜いているから化粧をしてほしい」
「俺好みのギャルな服装をしてほしい」
「髪は黒髪にしてほしい」
リチちゃんが言われた言葉の数々を見ながら、クロちゃんはまるで彼女を着せ替え人形のように扱っているように感じた。
リチちゃんはあくまで、自らの意思を持ったひとりの人間であって、お人形さんではない。そんなに「理想の彼女」がほしいなら、等身大のマネキンでも買ってきて着せ替え人形ごっこでもしていればよい。
着せ替え人形ごっこを生身の人間で行うのは、さすがに人道的にも良くないように思える。
リチちゃんは当初の髪型や服装、振ったときの発言からして恐らくユニセックスな服装がお好きなタイプのように拝察される。
本当はユニセックスな服装で、すっぴんで、「ありのまま」の自分を見せたかったのだろう。
「本当の自分を全否定された気持ち」
このリチちゃんの発言にすべてが込められているように思える。
しかもこの多様性を認めるご時世、クロちゃんが求める理想像はあまりにも前時代的すぎるように感じた。
ギャル好きと言いながら、黒髪で髪を伸ばして欲しい、はもはやギャルでも何でもないような気がするがまあ、そこは置いておこう。
でもクロちゃんの年齢的にも、もう「女は女らしく」という昔ながらの女性像が植え付けられていて、ここから変わるのはまず不可能だろう。「男らしく・女らしく」は私も大嫌いな言葉である。性の多様化が叫ばれる今の時代に逆行しているように思える。
となると、リチちゃんの世代が求めているような「ありのままを受け入れてほしい」というのは難しいだろうと思う。
あと、やってることは立派な束縛だし、モラハラ。
年下でも恋人なら「対等」な関係では?
もう一つ気になったのは、クロちゃんのリチちゃんに対する対応である。
「私は下に見られているような気がした」
「本音が言えなかった」
この言葉に大いに引っかかった。
普通恋人ならどんなに年齢差があれど「対等」な関係で、「同じ目線」で話し合うべきである。
夫婦ならなおさら同じ土俵に立たなければならない。
山本圭壱さんと西野未姫ちゃんだって、親子以上に年が離れているカトちゃんと綾菜さんでさえ、普通に夫婦喧嘩する。
これは夫婦が「対等」な立場あるから、年が離れても大いに喧嘩できるのだ。
クロちゃんとリチちゃんはその対等に立てなかった。
リチちゃんは自分の言いたいことやりたいことを押し●して、「対等」であることができなかったのだ。
クロちゃんは自覚がなかったと思うけれども、おそらくプライベートで無意識に女性や年下を見下すような言動をしていたと思う。
身近な人で言えば、あれだけこき使って一緒に遊んでいた後輩・菊地は結婚して、家庭を持っている。
たかみなは全盛期のAKBのトップを張っていたハートの強さもあるし、バックにかなり年上の旦那さんがいるからさすがのクロちゃんもあまり強くは出れないと思う。
そんな中で独身で若く、クロちゃんのことが大好きと公言したリチちゃんは格好の的になってしまったのだ。
おそらく付き合っていくうちに主従関係やそれに近い関係がどこかでできていたのかもしれない。
クロちゃんはそんな状況を見て「こいつなら何でも言うことを聞いてくれる」と知らず知らずのうちに思ってしまった。
だから、彼女を着せ替え人形やSNSのネタのように扱うことができたのだろう。
なぜ男性は女性より優位に立ちたがるのか
個人的にクロちゃんがリチちゃんをあそこまで良いように使っていたのはリチちゃんが「女性」だからではないかと感じた。
私はフェミニストでは決してないが、男性が女性より優位に立ちだかっているように見える場面も多くあるような気がする。
よく話題に上がる「カスタマーハラスメント」「ぶつかりおじさん」「痴漢」なんかはその典型だろう。わざと言い返せないような、気弱そうな若い女の子を狙って、力や語気で自分が優位であることを示そうとするのは男として、いや人間として最低である。
男性がここまで優位に立ってきた背景として、私は以下のように考える。
元来、日本は「家長制度」というものがあり、家長(家督)は年長の男性が務めることが多い。
「女性の権利」というのが認められてきたのはここ数十年の話で、それまでは「男は外で働き、金を稼ぐ」「女は家を守り、子(特に男子)を産み育てる」というのがモデルケースであった。
国民的アニメの登場人物が良い例だろう。
波平を筆頭とした絶対的家長制度があり、家事はフネとサザエが分業している磯野家を筆頭に、母親ポジションの女性は専業主婦が多い。
例外はジャイアンの母ちゃんくらいである。
こういう経緯もあり、立場は圧倒的に男性の方が高かったし、今でこそ「女性の人権」が認められつつあるものの、未だに「女は男を立てるもの」という先時代的な考え方が残っている人は少なからずいる。
中高年層はまだその思想が凝り固まっている。
おそらくクロちゃんもその発想の持ち主で、自分は男だからリチちゃんが僕を立てるのは当然だしん!と思っているのだろうか。
自分では自覚はなくとも、自然と女を下に見て接しているのだと思う。
ハラスメントをする人間はまず自分がハラスメントをしているという自覚がない。
第三者の目線から見て、リチちゃんに対してだけでなく、モンスターシリーズでのクロちゃんの言動はかなりハラスメントに抵触する場面があると思う。BPOにも取り上げられたような案件もあるくらい。
このことから、クロちゃんはどこかで若い女性を下に見ている部分は少なからずあると思う。
年下=格下ではない
また、年齢差も大きなネックになっている。
クロちゃんとリチちゃんは20歳ほど歳が離れている。リチちゃんにとって、クロちゃんはパートナーとはいえど、相手は自分の倍近く生きている人生の大先輩である。
人生の大先輩に「対等な関係でいてください」とはそう簡単に言えないだろう。
リチちゃんは年齢差を理由にかなり遠慮していたのではないかと思う。
本当は年下は格下ではない。たまたま生まれるタイミングが遅かっただけで、恋人としては対等である。
夫婦ならなおさら対等でなければならない。
クロちゃんがそこを自覚してプロポーズをしたとは全く思えないのである。
特にクロちゃんが好みである「ギャル」は、タメ口バリバリでより対等を求めてくると思う。
軽自動車1台分くらいの値段もするダイヤの指輪を捨ててまでリチちゃんが振ったのはありのままを見せられない辛さと、モラハラを危惧してだと思う。
こういうのは年上側が遠慮させないムードを作るべきではないか。そういう配慮がクロちゃんには欠けていたように思える。
そして、リチちゃんの求める「ありのまま」を押し潰さざるを得なくなり、それがプロポーズの場面で爆発してしまったのではないか。
そう考えると、西野未姫ちゃんとかは普通に30歳近く年上の山本さんと喧嘩するからハートが強すぎる。
クロちゃんに求めた「ありのまま」
「自分が主人公気質」
「SNSの道具としか思われていない」
「TV用のじゃなくて本音を聞かせてほしい」
クロちゃんの家にはカメラがあり、四六時中モニタリングされているかもしれない生活を送っている。
また、過去のツイッター監視企画などで人に見られる生活を何年もしていく中で、おそらく自然と「視聴者が求めるクロちゃん像」をプライベートでも演じているのだろう。
実際ファンサービスの評判も高い。
でも、リチちゃんが求めていたのはテレビ用の「クロちゃん」ではなく一人の男性である「黒川明人」の本音だったのだ。
リチちゃんは「一人の人間」として彼に向き合っているのにいるのに、クロちゃんは黒川明人になりきれなかったし、リチちゃんのことを一人の人間、女性としてではなく、アクセサリーやお人形と思っていたのではないかとオンエアを見ながら感じた。
中居正広の引退
そして、クロリチ破局をかき消すビッグニュースが中居くんの引退である。
フジテレビの関係者から「上納」されたことが女性とのトラブルが発端ではあるが、この「上納」という書き方には物凄く違和感を感じる。
なぜ「斡旋」「紹介」とかではだめなのか。
そもそも上納というのは「目上の方に米や金などを納める」という意味である。
性的トラブルで「上納」するという書き方をすると、女性をまるでモノのように扱っているような、もはや人として扱っていないような、そういうニュアンスを感じる。
上納という書き方は人権侵害ではないか。
そうでなくとも、女性は男性に尽くすことを求められがちである。
来客対応をされる方は女性が多いし、上司や来客へのお茶くみも事務方の女性がされることが多い。
家族の集まりで男勢が飯やつまみ、酒を片手に大騒ぎしている傍らで奥様方がセカセカと動き回る。
アニメでもドラマでもそういうシーンが多くあり、それを「美」とする風潮もあった。
先程述べた「家長制度」も男性優位の一つである。
中居くんについてどう思っているかは先日述べたので割愛するが、女性を下に見るような言動、報道は男女平等がすすみ、性の多様性が叫ばれる令和の時代にすべき行為ではない。
女性を斡旋するほうもするほうだが、書き方にももっと配慮すべきではないか。