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人生を賭けたいと思える起業テーマとの出会い方
こんにちは。LabBase代表 加茂です。
「研究の力を、人類の力に。」をパーパスに掲げ、研究者をエンパワーして科学と社会の発展を加速するスタートアップを経営しています。
この「研究」という事業テーマに、本当に幸いなことに人生を賭けたいと思えており、その想いや覚悟は創業から8年超経った今でも色褪せるどころか益々燃え上がっています。
「いかにそう思える起業テーマに出会ったのか。」
起業準備中の方からよく聞かれる問いでもあり、思考整理含め書いてみます。参考になれば嬉しい限りです。
起業テーマを探すためにやっていたこと
先日公開した20代振り返りのnoteでも書いた通り、自分にも起業テーマが定まっておらず模索していた時期がありました。
その頃、ベットする起業テーマに出会うためにやっていた行動を思い返すと、以下のような感じです。
思いついたビジネスアイデアや課題をiPhoneのメモ帳に書き溜めていた。随時派生アイデアを書き加えていた。
海外の成長スタートアップを調べ、「どんな課題を解決しているのか」「なぜ今盛り上がっているのか」「日本でも刺さるか」などを考えて言語化していた。
ビジコンに出て、事業アイデアを短期間でぎゅっと考える経験を繰り返していた。
純粋に好きなテーマ(自分の場合は「音楽」etc.)について、産業構造などを調べていた。
そんな中で思いついて最初に取り組んだアイデアが、「起業家と投資家のマッチングサービス」でした。
海外の成長スタートアップを調べる際に、AngelListというUSのサービスをよく使っており、「これの日本版があったらいいんじゃないか」と考え始めたのがきっかけです。
そして、リクルート社のサマーインターンで同じチームだった友達とお茶した時にその話をしたら「面白いね、具体的に進めてみよう」となり、「うちの彼氏エンジニアやし巻き込むわ〜」となり。笑
サービス名を「findseed」と名付け、企画し始めました。
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1. 自分がやる必然性、自分がなぜ勝てるのか
実際に投資家やスタートアップCEOの方々にヒアリングしていったのですが、その中の1人から、「加茂くんたちがやる意味は?」「他の人(例えば既に起業してEXITしてエンジェル投資をやってる人とか)が立ち上げる方がうまくいくんじゃない?」という鋭い意見をもらい。これが、その後に繋がる重要な問いでした。
つまり、起業テーマを見つける上では、「良いアイデアを見つける」のではなく、「"自分にとって"良いアイデアを見つける」必要があるということです。
その後検証を進める中で、「日本とアメリカとでエンジェル投資の市場規模が2桁違う」「こうしたサービスを使ってまで能動的に投資先を探したいプロエンジェルはさらに少ない(2016年当時)」などという、うまくいかない理由が徐々に見つかったこともあり、ピボットを検討するようになりました。
(自分がやる必然性が弱かったから、こうしたうまくいかない理由の発見に耐えられなかった、とも言えるかもしれません。)
でもこの時の活動は全く無駄ではなく、むしろそこから、後の共同創業者となる吉田さんとの出会いや、LabBaseに繋がるインスピレーションが生まれました。最初のアイデアが成功に直結せずとも、その後の成功に必ずや繋がるものだと思います。
2. 誰かの行動や声への違和感が事業の起点
その後、引き続き課題発見のアンテナを立てながら日々を過ごしていた中で、大学院で研究を頑張っていた先輩と話す機会があり、その時に彼が
「研究が忙しくて、就活に時間を割けないし割きたくない。推薦でいけるあの会社でいいかな〜」
と言っていて、それが妙に心に引っかかりました。
「こんな優秀な彼が、そんな感じでキャリアを決めるのはおかしくないか…?」
「研究を頑張っている人ほどキャリアの選択肢が狭いのはおかしくないか…?」
「そもそも企業側もどの大学にどんな研究室があり中にどんな人がいるか見えづらいだろうな…」
そこから解決策を考える中で、
「研究室とその中にいる学生/研究者のデータベースを構築し、企業とマッチングする。企業はこのサービスを通して採用したり共同研究先を探したりできる。」という、LabBaseの原型となるアイデアが生まれました。
誰かの行動や声への違和感は、重要な事業の種です。その不合理さ/課題を解決することが事業になるのだと思います。
日々過ごす中で、違和感のある言動というのは身の回りに溢れていると思います。そうしたものを流さずに捉えるアンテナを立てておくことが大事なのだと思います。
また、findseedを進める中で、大学発スタートアップや研究室の持つ無限の可能性も感じており。この事業が、研究者のポテンシャルを拓き、研究を加速し、そこからイノベーションがどんどん生まれていくプラットフォームへと進化していくという構想も、すぐに膨らみました。
しかも(当時)現役の理系学生で研究室にも出入りしやすい自分自身が立ち上げる意味や優位性もあるということで、よしやってみよう!と。
そしてすぐにプレスリリースを打ち、100社ほどから事前登録の引き合いがあり、手応えを感じて開発して進めていった、というのがLabBaseの立ち上がりです。立ち上げの際の戦略はまた別途どこかで書ければと思います。
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3. 直感も、後から必然だったと言語化できる
そうしてLabBaseを創業して6年が経った2022年。
事業と組織の成長に伴うコミュニケーションコストを下げるため、社名変更(元々はPOLという社名でした)と、パーパス策定をしました。
(その背景や内容こちらのnoteに書いています。)
その際に、改めて深く「自分は本当に何をしたいのか」について自問自答した(一時期は親と定例1on1を入れて幼少期を深掘ったりしていました。笑)のですが。
そこで、なぜ自分がこの研究領域で起業したのかについて、後から言語化できる気づきが沢山ありました。
・幼少期から大学教授の父親に数学の問題を出してもらい考えるのが好きだった。
・小学校の卒業文集で「誰にも解けない問題を解ける数学者になりたい」と書いていた。
・進学校である灘に入学後、身の回りに数学や物理の天才がいて、強いリスペクトを持っていた。
・同時に彼らには敵わないな…とも考え始め、自分は違う軸(クリエイティビティ)で戦っていこうと思っていた。
などなど。
数学者を含む研究者への強い憧れとリスペクトが根からあり、また自分が1研究者としてやるよりもユニークなポジショニングを取りたい、みたいなことだったんだと思います。
おそらく、創業当時や事業開始時には、なぜ自分がそれをやりたいのかを全ては言語化できず、そこには直感が働いていて、そしてその直感も、後から振り返ると必然だったとも思えるような言語化ができるようになる、というものなんだと思います。
つまり、何かやりたいと思ったり、誰かの行動や声に違和感を持った時は、その直感を信じてまずやってみるのが良いんじゃないかと思います。
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4. とはいえ、最初は小さな火からでOK
ここまで、いかにして人生を賭けたいと思える起業テーマに出会うかという話をしてきましたが。
一方で、「そんなにハードル高く考えなくていい(考えない方がいい)」という話を最後にしたいと思います。
自分自身の創業当時のLabBaseのパーパスへの熱量や覚悟感を1とすると、今は1000ぐらいだと思います。最初から「人生を賭けられる」とまで強く思っていた訳ではないです。
身の回りの経営者やその他業界で活躍されている方に聞いても、同様の話をされる方が多かったです。
じゃあなぜ後から1000の熱量/覚悟になっていったかと言うと、そこには3つのフィードバックループが効いているからのように思います。
①ユーザーさんやお客様からの感謝の声
②同じ志を持つ仲間の声や姿
③繰り返しビジョンを話す経験(自分の口に一番近いのは自分の耳)
これらを受けて、経営していく中でどんどん熱量/覚悟が大きくなっていくように思います。
多くの場合、最初からこれに人生を賭けるんだという大きな炎が最初からある/見つかる訳ではなく、小さな火から始まり、それに従って行動する中で、上記のフィードバックループを経てしだいに大きな炎になっていく、ということです。
またその火にも、いろんなタイプの火があると思います。
確かIncubate Fundの和田さんがいつぞやのセミナーで
起業家には3タイプある。
①Product Driven(自分が良いと思うプロダクトを作ってそれが事業に)
②Market Driven(伸びそうなマーケットを見定め戦略的に参入)
③Purpose Driven(大義/パーパスを掲げ、対象領域の課題解決にコミット)
最終的には3点いずれも高く両立する必要があるが、最初の原点はこの3ついずれかに分類できる。
のようなことをおっしゃっていた記憶があります。
どんなタイプの火かは1人1人違うと思いますが、いずれにせよ、大きな炎が見つかるのを待つのではなく、小さな火に従ってまずは行動してみるのが良いと思います。
最後に
ここまで読んでくださってありがとうございました。
自分自身の経験談が多く、あくまで1人の事例なので全てがその限りではないと思いますが、少しでも参考になれば嬉しいです。
起業含め(起業に限らず)挑戦されようとしているあなたが、自分の中にある小さな火に従って一歩を踏み出されることを、心から応援しています!
P.S.
LabBase、全ポジション積極採用中ですので、少しでも興味を持っていただけた方は僕のXにDMいただけると嬉しいです!!