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【5分で読める】気になるスポーツニュースを掘り下げてみました!

皆さん、こんにちは。神村です。

前回はOffthePitchTalkの放送100回記念ということで、ガイナーレ鳥取の高島さんにゲスト参加いただきながら、地方で働く醍醐味やクラブの実情を語り合いました。
今回は、いつもリスナー・Noteの文章作成を担当してもらっている神田さんが最近気になったテーマを取り上げてディスカッションします。答えのない議論にはなりますが、読者の皆さんも一緒に考えながら読み進めてもらえたら嬉しいです。
(本稿は「Off the pitch talk 」第105~107回の放送内容のまとめです。今回はインタビュー&文責:神田さんでお届けします)

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#105 : https://stand.fm/episodes/60c72086307e660006126899
#106 : https://stand.fm/episodes/60c9c2b5307e660006129aff
#107 : https://stand.fm/episodes/60cc6354efc85e000685cd9b

大坂なおみ選手の”一件”について

(神田):実は最近、僕がスポーツ界でとても気になるニュースがあるんです。
(神村):そうなんだ!何のニュースかな?
(神田):女子テニスの大坂なおみ選手が、テニスの四大大会の一つである全仏オープンを欠場したニュースが先日報道されました。あのニュースの経緯も含めて凄く考えることがあったんです。
(神村):なるほどね。何で印象に残ったの?
(神田):元々大坂なおみ選手といえば、テニスの技術もさることながら、チャーミングなインタビューや性格などで国内外問わず人気です。今回の欠場に関しては、選手のメンタル不調という報道もありましたが、僕はメディアの報道のあり方そのものが影響しているのでは?と感じたんです。そこで、まずは「スポーツとメディアの関係性」についてお話できればと思います。
(神村):結構難しそうだし、なかなか際どいテーマだから言葉選びには気を付けないとね。笑 
(神田):よろしくお願いします。笑 私たちのような一般人でも、最近はスポーツ選手の情報を SNS 等を通じて簡単に入手できます。これまでの新聞やテレビとは異なり、 例えば Twitter では、選手に対して誰でもコメントを送ることができます。これには選手とファンの双方向でのコミュニケーションが可能になるメリットがあるのと同時に、批判的なコメントやバッシングも書けてしまうデメリットも存在します。そちらについてはどのようにお考えですか?
(神村):まず認識すべきなのは、「スポーツ選手とメディアの関係」と、「メディアの情報を受け取る我々一般人とアスリートとの関係」があるように思います。例えば、大坂なおみ選手の一件について考えると、まず彼女が記者会見を拒否した事実については、僕も何となく分かるような気がするんですよ。個人的に最近思うのは、メディアの質問の「質」に対して目に余るものがある点です。トップアスリートの試合直後にも関わらず、試合に全く関係ないプライベートな質問や、非常に表面的で浅い質問をよく耳にするような気がします。おそらく、大坂なおみ選手はそういった類の質問に対して、「そもそも何で答えなきゃいけないの?」と疑問が浮かんだかもしれませんし、メディアに対する拒絶反応、いや強烈なストレスを抱えるようになったのではないのかなと感じました。これは何も、大坂選手に限った話ではなく、 過去を遡ればサッカーの中田英寿さんだってマスコミ嫌いで有名でしたし、ゴルフの松山英樹選手もメディアの前では多くを語りません。個人の性格も起因すると思いますが、そういう状態に追い込むメディアの力量不足とも捉えられます。諸々の結果として、アスリートが自分で SNS で発信する時代になったのかなと思います。
(神田):たしかにそうかもしれないですね。僕が小学生だった頃と比べると、最近スポーツ選手の名言や、選手ならではの言葉が最近減ってきたと思います。 (例:水泳の北島康介選手の「超気持ちいい」、「何も言えねぇ」)当然、選手個人に付くスポンサーの影響もあると思いますが、インタビュー中の制約や決まり事が多すぎて、インタビューの時間そのものが緊張感を生む要因になっているかもしれません。
(神村):前提として、本来プロとアマチュアは線引きがなければいけません。オリンピックはアマチュアの選手も多くいるので多少の制約は外れるにせよ、記者側の姿勢は同じな訳です。プライベートに踏み込んだ質問などは、それこそ何で今そんなことを聞くのか、どういう意図で聞いてるのかという方に意識が向いてしまいます。前にイチローさんの引退会見をフルで見た時も、いくつかの質問に対して、「その質問くだらないよ」って言ってましたよね。イチローだから言えるんだけど、選手・アスリート全員がそういう訳じゃないからね。
(神田):なるほど、神村さんの意見を聞いて、僕の中で腑に落ちました。ありがとうございます。
(神村):あとは、プロの選手の場合記者会見を拒否する行為が正当なのか、正当な理由は何なのかについては、大会主催者・スポンサー側の調整やルール化は必要だろうね。単に公の場で話たくないからという理由だけでは、なかなか認めてもらいづらいんじゃないかな。
(神田):そうですね。今回の騒動は唐突だったので主催者側もかなり焦ったと思いますが、 今後スポーツ大会を主催する組織は本件を踏まえ、事前にルール化する必要性が生まれたという意味で大きな影響があったと言えますね。

日本代表アスリートの多民族化

(神田):ところで、大坂なおみ選手はハーフの選手であることは皆さんもご存知だと思います。 彼女は日本国籍なので、間近に迫る東京オリンピックも日本代表として出場予定です。大坂選手に限らず、他競技でもハーフの選手が少しずつ目立ち始めていると思いませんか?
(神村):うん、それは間違いないね。
(神田):陸上のサニブラウン選手、バスケットの八村塁選手、 サッカーでもオナイウ阿道選手など、枚挙にいとまがありません。ただその活躍とは裏腹に、メディアでも競技そのものとは別の角度で報道がなされていると感じます。こちらについては如何ですか?
(神村):全くの同感です。まず、ハーフの選手を紹介するときに、なぜお母さん/お父さんが〇〇人で~、人種が~、と報道するのか第一の疑問です。単純に珍しいからなのかもしれませんが、トップアスリートに限らずハーフの人ってたくさんいる筈ですよね。人種が原因で差別や起こり得る中で、わざわざ肌の色が違うことを強調しなくて良いのにと思います。また、中国人・韓国人とのハーフは言わなければ気付かないことが多いですが、事実として、いじめや差別が社会で起きていることの裏には何があるのか、とても気になります。
(神田):現に、スポーツに限らずアメリカでも黒人差別の事件が今でも起きていますよね。
(神村):人種に対する偏見や差別意識を完全になくすことは難しいのだろうと思います。この問題はそれくらい大きな問題なのだと認識しています。僕自身も正直、偏見や差別意識がゼロかと聞かれたら自信がありません。実際アメリカ駐在時に様々な気づきを得た経験もあります。だからこそ、偏見や差別意識があることを前提として、それを理性でコントロールすることが大切だと感じます。SDGsでも全ての人の公正や平等を訴えているのは、それが世界的な課題として認識されている証左でもあります。
(神田):僕も学生時代フランスに留学していた時、民族・人種に対する寛容性と差別がどちらもあると感じました。留学中、僕が”アジア人”というレッテルを貼られたり、何か差別を受けたりすることはなかったですが、海外に出るとより”日本人”であることが色濃く映る場面が出てくるかもしれません。
(神村):将来の社会を見据えると、日本に永住する外国人も今後増えていき、自然とハーフの子供達も増えると思います。日本で生まれた外国人同士の結婚も出てくるでしょう。そういう人たちが、日本の国籍を取らない限り”日本人”と言われないのか、スポーツで日本代表になれるのかとか様々な議論が交わされると思います。角界だって、ここ最近は白鵬とかモンゴル勢が圧倒的に強いです。彼らは若くして来日して、日本人以上に日本語が堪能だし、日本的なマインドを持っています。それなのに、いざとなると「モンゴル帝国」みたいな形で揶揄されたりするのはとても残念です。

スポーツにおける『外国人枠』

(神田):もう一歩、論点を掘り下げていきたいのですが、神村さんはJリーグの外国人枠ついて、どのように捉えていらっしゃいますか?
(神村):外国人枠の要否という観点では、ある方がよいと思います。リーグ全体を盛り上げるために有名な外国人選手が来ることは経済的にもプラスであることは間違いないのですが、それによって日本人選手の出場機会が奪われていくことは、日本サッカー発展のためには弊害になるのではないかと思います。素晴らしい外国人選手が日本選手のレベル向上と経済的効果双方に寄与できるのが理想だと思います。イニエスタ選手の例は非常にわかりやすいでしょう。ただ、こういったルールは時代の変化とともに変わっていくものだと思います。
(神田):現在も、一部のアジア国籍の選手を外国人枠に含めない規定が既にありますが、競技面の公平性だけでなく、アジア各国のサッカー市場の拡大や普及という意味でも、Jリーグの価値が増してきていますね。
(神村):リーグ全体の発展、ビジネス観点で可能性が広がるのは良いことだと思います。
(神田):はい。Jリーグとは対照的に、オリンピックでは外国人枠の概念ではなく、国籍が重要となってきます。競技によっては、国籍を躊躇なく変える、つまり国を背負って戦うことよりもオリンピックに出場することを優先させる選手が出てきているのも面白い点です。
(神村):東南アジアの卓球選手の多くが中国系だったり、中東地域の陸上選手がアフリカ系なのは、よくある話だよね。そもそも、一昔前までは、オリンピックの意義として、国のプレゼンスを高める(≒国威発揚)意味合いもあったと思います。今でも、大会期間中は必ず金メダルの数が毎日のように報道されるけど、果たしてオリンピックは国同士の戦いなのか?って思う瞬間もあるよね。
(神田):ありますね。特に日韓戦なんかは、競技の枠を超えて国同士のプライドがぶつかり合うって空気感が出ます。時に政治面での対立がスポーツに置き換えられるのは、見ていて心苦しいなと感じます。
(神村):ライバル国との関係性は、日本と韓国に限らず、歴史上の出来事に紐づいた国家間(フォークランド紛争でのアルゼンチンとイングランド等)では往々にして話題になりやすいです。政治とスポーツが切り離さなければならないという主張はありつつも、きちんと歴史上の出来事を知ったうえでスポーツを楽しむのも結構大事だと思います
(神田):事実を認識しても、むやみに相手国を攻撃・非難するのは避けた方が良いですね。オリンピックは、平和の祭典と謳われているので尚更です。

まとめ:あるべき論を語る前に、、

(神田):今回は個人的に気になるニュースを取り上げてみましたが、神村さんから読者の方にメッセージをお願いします。
(神村):今回は、テーマ自体が少しセンシティブな内容も含まれていましたが、これからの日本あるいは世界を考えるうえでは大事な論点だったと思います。もちろん、今回のテーマにも明確な正解は無いし、読者の皆さんに「こう考えるべき」という”べき論”を押し付けるつもりは毛頭ありません。むしろ、今回のようなテーマについて自らの意見を持ちつつ他者と議論を重ねていくことで、知見を広げてもらえたらうれしいです。
(神田):ありがとうございます!是非また気になるテーマが出てきたら、この場以外でも神村さんのご意見を聞かせてください。
(神村):もちろん、喜んで!

(文責:神田)

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