Jクラブはオフシーズンこそ正念場!挑戦を厭わない組織にするために。(Off the pitch talk 第33回〜第35回まとめ)
皆さん、こんにちは。神村です。
前回は「スポーツ× SDGs 」というテーマで、普段の生活の中にSDGsは溢れているという話をしました。
今回は、学生や若手社会人からよく聞かれる「Jクラブってシーズン中はチームに帯同したり、試合の興行などがあるけど、オフシーズンはどんなことをやっているのですか?」というテーマについて取り上げます。
「プロクラブで働きたい」と思っている方や「スポーツビジネスのリアルを知りたい」という方にも有益な情報をお伝えできれば幸いです。
(本稿は「Off the pitch talk 」第33~35回の放送内容のまとめです。今回はインタビュー:(@Twitter)、文責:神田さん(@Twitter)でお届けします)
↓↓音声で聞けるstand.fmはこちらから↓↓
#33: https://stand.fm/episodes/5ffc218c6e04f7b308a0c093
#34: https://stand.fm/episodes/5ffec612288f4d3699a8b62a
#35: https://stand.fm/episodes/600167be6e04f72bb4a12387
次年度の目標達成には、オフシーズンの準備が不可欠
我々クラブスタッフにとって、シーズンオフの期間はシーズン中と同等か、それ以上に重要です。
Jリーグのほとんどのクラブは1月決算で、新年度は2月から始まります。
主要収入の一つである「法人スポンサー営業」はオフである12~2月の3ヶ月間でその大半を確定しておかねばならないのです。
クラブによって考え方は違うかもしれませんが、私たちは
・2月末までに昨年実績水準の確保のめどを立てる
・3月以降に対前年アップ分から上積みする
をイメージして戦略・KPIを立てています。
個別スポンサーの増減はあるにしても、総額としてのめどはこの時期にたてておくことが経営の肝となります。Jリーグのシーズンスケジュールが変わらない限り、毎年このサイクルは基本的に変わらないでしょう。
以前のnote投稿でも、予算策定について取り上げた回がありましたが、オフシーズン中に、どれだけ早く準備できていたかが勝負を決めるポイントだと言っても過言ではありません。チームのスケジュールとは別の、前倒ししたスケジュール設定をクラブのルールとしていくことで、翌シーズンの選手補強にも大きな影響が出てきます。この辺りを強く意識した経営をしているかどうかは外からはわかりづらいかもしれませんが、中堅以下のクラブにとっては非常に重要なポイントと言っていいでしょう。
コロナ禍でオフシーズンを迎えた今、コロナがあることを前提の上で、不確定要素をどれだけ予算に組み込めるのか、経営の手腕が問われています。「正解のない時代の経営」です。私自身は、やりがいで溢れていると感じています。
コロナ禍で迎えたオフシーズン、モンテディオが取り組んでいること
我々モンテディオ山形も昨年11月頃から、クラブとして何を目指すのかということについて、日夜考えてきました。そのおかげか、今ではコロナ禍を言い訳にしないという雰囲気が会社に浸透していますし、2020年を超える明確な数値目標を定めています。ここでいう目標とは、法人営業に限った話ではなく、 試合ごとの観客動員数やグッズの売上も当然ながら含まれます。そして、それらの目標をどのように達成できるかということを逆算しています。”どこまで出来るか”ではなく、”ここまでやり切る”と決めることで、周りの本気度も変わってきます。
例えば、入場者数について来期の目標を立てるときに、過去の数値とどれだけ真剣に向き合えたかが大事になります。ご存知の通り、昨シーズンはJリーグではスタジアムに入場制限がかかっていたり、5,000人を上限とした時期などがありました。しかし実態は、それらの上限数に届いた試合は他クラブを見渡しても、ほとんどありませんでした。
「なぜ、お客さんが来なくなってしまったのか?」という問の原因を探る上で、単に「コロナが怖いから」、「声を出して応援できず、見に行ってもつまらないから」などの仮説はいくらでも浮かびます。しかし、これらの仮説を客観的に立証するために、例えばアンケートを取ったりしてデータ化できたかどうかが、コロナがある状態でも実績を上げるためには非常に重要なのです。そこで得られたデータに基づいて施策を固めていくことが、シーズン開幕までに求められています。
さらに、営業の観点では、オフシーズンはスポンサーである企業様の今期の業績などについて会話しやすい時期です。大半の企業がコロナの影響で業績が厳しいということは聞かなくても想像がつくので、そのようなお客様にどのような付加価値・サービスを提供できるのかを徹底的に考え抜くことが大切です。
チャレンジングな組織にするには?あなたの提案を通しやすくするコツとは?
オフの話から少し脱線しますが、よく「身の丈に合った経営をしなさい」と言われることがあります。この言葉は、捉え方次第で良くも悪くも組織を変える魔力を持っています。
プラスに捉えると”堅実に”や”しっかり”という意味合いがありますが、マイナスに捉えると”今の出来る範囲でしか経営しない”という解釈もできます。
新たなチャレンジや、難しいかもしれないけれどやってみようというメッセージが伝わりづらいというデメリットがあります。
私は個人的にこの言葉が非常に嫌いです。そもそも「身の丈って何?」と思っていますし、経営者がこの言葉を発することで、従業員たちは無意識のうちにチャレンジしない空気に流れていってしまうと感じています。(経営者自身の「挑戦しない姿勢」を「身の丈」という言葉でごまかしてはいけません)
では、チャレンジしやすい雰囲気・社風を醸成するために、そして特に若手の皆さんが上司に提案を通しやすくするには、どのように提案すればよいのでしょうか。
そもそも、若手社員から新しい提案が出なければ、それはチャレンジングな組織とは呼べませんが、だからと言って、提案する側が何でもかんでも上司に提案すれば良いかというと、そうでもありません。
ポイントは、「何をやるのか」、「何故それをやるのか」、そして「それを実現したらどうなるのか」を深く考え、根拠を数値で裏付けることです。
提案が通らない例としては、「何をやるのか」という要素は沢山アイディアが出てくるのに、「そもそも何故やるのか」、「それを実現したらどうなるのか」という部分が抜け落ちていることが多いです。
この定性的な「思いとビジョンのない提案」は魅力に欠けると感じます。
何か新しい事業を行うには必ずコストが伴います。コスト(投資)に見合ったリターンが得られる確からしさを数値をもって証明していくことが重要なのは言うまでもありません。
一方で、提案される側(上司)の意識も変わる必要があります。上長というのは「提案の吟味役」でありません。
若い人からの企画・提案を一緒になって成功させてあげることが、上司の責任なのです。なぜなら、これによって事業も部下も、そして自分自身も成長するからです。
この双方のマインドセットが、上司と部下が適切な信頼関係を築いていき、強さにつながっていくのです。
まとめ:コロナ禍の今こそ、恐れずチャレンジしよう!
皮肉にも、一部の経営者から「最近の若手はチャレンジしない」、「若手社員の積極性が足りない」といった声を時々耳にします。ですが、そういう組織ほど制度が減点評価的で、そもそもチャレンジし辛い環境だったりします。その結果、誰も挑戦しない環境になってしまいます。
コロナを経て不確実性が増す昨今において、個人・組織を問わずチャレンジを恐れず一歩を踏み出せるかは、重要なカギとなります。
今こそ、人事評価面においても「チャレンジを評価する=加点主義」にかじを切るべきだと思っています。
モンテディオにとっても、2021シーズンは非常にチャレンジングになると予想しています。目標達成への気概と覚悟を持ち、万全を期して臨みます。
是非、皆さんもご自身や組織目標を達成し、昨年以上に良かったと言える一年にしていきましょう!
(文責:神田(@Twitter))
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