【音楽】画面越しに音の渦を見る動画
私が彼の動画に初めて出会ったのは、いつだっただろうか。
眠れぬ夜にInstagramか何かを眺めていて、そこで見かけたのが最初だったような気がする。
素直に、ものすごく感動したことを、よく覚えている。
そんなJacob Collier氏がオーディエンスと作り上げる、「空間の音楽」。
説明するより、見てもらったほうが早いと思うので、まずは次の動画を少し見てみてほしい。
全身で音を感じて、その渦に身を投じる。
私はその心地よさを、よく知っている。懐かしさを伴うそれを知っているからこそ、この動画にひどく惹かれたのだと思う。
その昔、周囲と協調する必要性を見失っていたひねくれ者の私が、そして、別に一人でも生きられると意地を張っていた私が、「合唱」にハマった一番の理由がここにある。
ものすごく当たり前なことをあえていうけれど、「合唱は、一人では絶対にできない」。
一人で多重録音をすれば、聞く分には合唱と変わらないのかもしれないけれど、四方八方に誰かが立っている空間で、リアルタイムに全身で音の圧力を感じながら歌う感覚とは、全く違う。
それはまるで、音の渦に飲み込まれるような感覚。
多くの人と歌うと、その渦は人数に比例してどんどん大きくなる。
好きなところで息継ぎをする。私の音は途絶えるけれど、周囲の誰かが奏でる音楽は止まらない。
音の渦は止まらず、ただひたすらにその空間を揺らし続ける。
大人数になればなるほど、少しくらい間違えて違う音を出しても、誰も気には止めない。もっと大きな波が、そんな間違いなんてあっという間に飲み込んでしまう。
音楽は、動じることなく大きな川のように流れ続ける。
指揮者が舵をとり、横に並ぶ仲間と大きな船のようになって、その流れに乗る心地よさ。
先に挙げた動画は、そういったあれこれを、一気に思い出させるような動画だった。
この人すごいな、音楽の海の泳ぎ方を知っていて、それに人を巻き込める人だ。素敵すぎる。
いいのよ、細かいことは。
まずは声を上げたらいい、そして流れに身を任せたらいい。
ミスは無かったことにはならないけれど、それに拘り続けていては溺れるのよ。
何もかもを包み込んで、まるっと受け入れて抱きしめて泳いでいくの。
例えば実生活も、それくらいの大らかさで生きられればいいなと、思うのです。
また、彼が作る「緻密に音を積み重ねるパターンの音楽」もとてもいい。
この動画の何が面白いって、和音の移行に合わせて和音の色を緑色に変えてくれているから、視覚的にも楽しめるところ。
楽譜が読めなくても、「わあ、何か音がいっぱい使われてるんだな」とか「臨時記号がついてて、よくわかんないけど複雑そうだな」とか、そういうことを見ることができる。
一見、わけのわからない音符の積み重ねに見えるのに、きちんと和音として成立していて、さらにそれの連続で音楽になっている。
それを、実感できる。音楽の楽しさに、久々にがっつり触れることができた気がして、本当に心が躍る。
この人、ハーモニーを楽しむのが本当にうまい人だ。
ちなみに個人的には、64小節あたりからクライマックスにかけての、勢いを感じる音の波が好きだ。
今更かもだが、せっかくなのでWikiからだけど人物紹介をば。
音楽の基盤に、クラシックやゴスペルがあるということはとても感じる。
不勉強ゆえ詳しくはわからないのだが、西洋界隈の宗教音楽を聴いたとき、触れた感動に近いものを覚えたからだ。
いやあ、ジェイコブ・コリアー、すごい!
勢い任せの気まま人間なので、とりあえずライブの予定なんて調べてみる。
めちゃくちゃタイムリーに、世界中を飛び回ってた!やるなあ、ジェイコブ。
あわよくば、また日本にも来てくれないかなあ…。彼のライブ、いつか行ってみたいライブの一つに加わった!