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2024年の年末調整と定額減税の影響は?🤔

こんにちは。
メタップスHDでre:shineと人事労務を担当しているフリーランス・イケダ(@m_ike)です。

今年も後2カ月を切りました📅
人事労務にとって1年で一番の大仕事、年末調整の時期に突入しています。

今年の年末調整は、定額減税の影響により申告書類が変わったり、6月以降に扶養親族の増減があった方は、年末調整で減税額の再計算が行われたりと、例年にない対応が発生します💦

今回は、定額減税の年末調整への影響と、書式変更になった申告書についても見ていきたいと思います。


定額減税の影響

今年の6月から行われた定額減税ですが、次のような減税が行われました。

  • 所得税(2024年6月1日時点の扶養者数で判定)
    納税者本人3万円、同一生計配偶者または扶養親族1人につき3万円

  • 住民税(2023年12月31日時点の扶養者数で判定)
    納税者本人1万円、同一生計配偶者または扶養親族1人につき1万円

6月2日以降に扶養親族の増減が発生した場合

年末調整では所得税の確定計算を行います。扶養親族の増減があると、次のような処理が行われます。

例えば……
6月2日以降に扶養親族が増えた場合(配偶者が扶養対象外から扶養対象になった場合も含みます)は、所得税では増えた人数×3万円の『年調減税』が追加で受けられます💴

逆に、6月2日以降に扶養親族が減った場合は、減った人数×3万円の『年調減税』で精算(マイナス)が発生します。他の控除額を反映した結果、年末調整で追加徴収になる可能性があります💸

なお、住民税の定額減税は2023年12月31日時点の扶養親族の状況で確定しますので、2024年に扶養親族の増減があったとしても、住民税に対する定額減税額の変動はありません。

社会保険適用拡大の定額減税への影響

今年10月1日に社会保険の適用拡大がありました。この影響により配偶者の社会保険上の扶養から抜けられた方もいらっしゃると思います。

税法上の扶養からも外れた場合は、次のような処理が年末調整で行われることになります。

給与収入が2000万円を超える人

ちょっとイレギュラーなのが、給与収入が2000万円を超える場合です。

給与収入が2000万円を超える人は定額減税の対象とはなりませんが、実務では6月時点で定額減税処理を行っています。年末時点で「この人は定額減税の対象外!」と確定されるわけです。

ただ、2000万円を超えると年末調整も対象外ですので精算は行えず、改めてご本人が確定申告することで精算が行われることになります。

令和6年分所得税の定額減税Q&A

いったん減税されたものの、最終的には返す(納税)しなければならない仕組みとなっています😢

定額減税の二重取りが発生?

レアケースではありますが、定額減税が一人の納税者に対して二回行われる事態が発生しているようです。

どんなケースがあるかというと👀

  1. 配偶者と納税者本人の二重取り
    配偶者の年収が100万超から103万円以下の場合に、両方で減税が行われる場合がある。

  2. 扶養親族と納税者本人の二重取り
    扶養親族が他の市区町村に住んでいる場合に起こりやすい。
    ‐ 納税者本人の給与計算で扶養親族分を減税
    ‐ 扶養親族の住んでいる自治体で、扶養親族本人分の減税

結果、納税者本人が本人と扶養親族で計6万円の定額減税を受け、かつ扶養親族本人が3万円の定額減税を受けるような二重取りが発生😲

その他にも、年金と給与収入がある場合や、副業や複数の職場での定額減税が発生してしまうケースも発生しているようです。

給与から控除される所得税や住民税の減税だけでなく、納税をしていない方に対しては自治体からの給付金の支給制度もあり、複雑な制度となっています。

このように、定額減税額や給付金額に過支給があった場合でも、制度公表時の財務大臣が「企業や地方自治体の事務負担に配慮することも必要だ」として返金を求めないとなりましたので、レアケースでもありそのまま!となっています💴

ただし、納税者本人が確定申告をした場合、1の『配偶者と納税者本人の二重取り』のケースですと、同じ自治体内ですから容易に確認が取れるので、確定申告の結果、還付額との相殺などが本当に行われないのか?🤔
イケダとしては予断を許さないな……と思っています。

定額減税額が控除しきれなかった場合がある!源泉徴収票を要チェック👀

年末調整では1年間の所得税年税額が計算し直されます。

定額減税は、再計算された後の所得税年税額から最終的な控除計算を行いますので、年税額が定額減税額より少ない場合は、引ききれない事態が発生します。

全額引ききれているかどうかは源泉徴収票を見れば分かります👀

特に住宅ローン控除を受ける方には発生しやすいですが、心配ご無用です!控除しきれなかった定額減税額は、源泉徴収票の摘要欄に記載し、お住いの市区町村に企業から提出します。

控除しきれなかった金額は、源泉徴収票の摘要欄に『控除外額 円』と記載され、控除しきれた場合は0円と書かれています。

国税庁_令和6年分所得税の定額減税のしかた(P14)

該当者には、不足額給付として市区町村から支給されることになります。次年度の住民税が確定する2025年5月以降になると思われますので、市区町村から案内が届くまで、しばらく待ちましょう📨

年末調整関係書類の様式変更があります

法改正により年末調整書類の様式が変更になり、省略になる項目や書類が増えて簡略化が進みました。

ただし、ご自身の状況によっては今まで通りの対応が必要となりますので、ご注意ください👇

扶養控除(異動)申告書(令和7年分)の簡易化

前年と異動がない場合、簡易な申告書での提出が可能になりました。

国税庁_《記載例》令和7年分扶養控除等申告書(簡易な申告書)

人事システムを利用して年末調整を行っている企業の場合は、あまり変化がないかもしれませんが、年末調整書類を紙で提出する場合は『前年から異動なし』と記載やチェックをするだけで済むようになった企業もあると思います✅

ただし、次のような変更(異動)があると、いつも通りR6年とR7年の両年度の扶養控除の申告書の提出が必要になります。

Money Forward 年末調整とは?【2024年最新】

例えば、扶養親族が一つ年を重ねただけでも異動となるケースがありますので、ご注意を👇 

保険料控除申告書の続柄欄の削除

次の保険料については、受取人と『あなたとの続柄』の欄が削除されました。

  • 生命保険料控除(一般、介護医療、個人年金)

  • 地震保険料控除(地震保険、旧長期損害保険)

  • 社会保険料控除(国民年金、国民健康保険、介護保険など)

ただし、続柄欄がなくなっても、誰の保険料を支払ったか・誰が住んでいる家の保険料を支払ったかなど、保険料控除の対象になる・ならないのルールには変更はありませんので、ご注意を👆

基礎控除申告書・配偶者控除等申告書の変更点

この申告書は年々書類の名称が長くなっていくのが特徴です😅

令和6年の正式名称は『給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書』で、4つの申告書が1枚にまとまっています……。

今年は定額減税に関する記載欄が追加されました。

R6年(上段)とR5年(下段)基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書

昨年の申告書(下段)と比較すると、黄色の枠内の判定の区分が一つ増えて7つに、赤色の枠は定額減税の対象であれば✅をつける必要があります。

納税者本人の所得額が1000万円を超えると配偶者の所得が48万円以下であっても、配偶者控除配偶者特別控除が受けられないのは前年と同じです。

1805万円(給与収入のみで2000万円)以下であれば、納税者本人も配偶者も定額減税の対象となるので、その判定のための項目が追加されています。

かなり分かりにくいですよね……😢

定額減税の来年度以降の継続は、詳細が公表された5月時点では「想定していない」と政府発表がありますので、令和7年の年末調整書類は元に戻ると思われます。

年末調整の基本的を知りたい!

今年の年末調整のnoteは、定額減税の影響について重点的に書きましたが、年末調整の基本を知りたい!と思われる方は、昨年の年末調整のnoteを是非ご覧ください😊

さらに「副業」をしている場合でも、年末調整は必須!ですので、いつかは「副業!」と考えている方も、こちらも参考にしてくださいね。 


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