リスキリング・リカレント教育を企業視点で考えよう
こんにちは。
パリ五輪を大迫力で見るため、プロジェクターを2カ月レンタルした📺メタップスHDでre:shineと人事労務を担当しているフリーランス・イケダ(@m_ike)です。
これまで、働く人の立場から見たリスキリングやリカレントのお話してきましたが、今回は企業視点でリスキリングやリカレントについて考えてみました。
企業が従業員に対してリスキリングやリカレント教育を行った場合、国などから受けられるさまざまな補助金・助成金がありますので、これから取り組まれる企業の方は、これらの公的支援を活用されることをおススメします。
従業員の方も「自分はこういう学びがしたいのだけど、何か支援はありますか?制度を作ってくれませんか?」と会社に相談・提案するきっかけとして読んでいただけたらうれしいです😊
何のために企業はリスキリング・リカレント教育を取り組んでいるの?
リスキリング・リカレントに対する公的支援の拡大に伴い、リスキリング・リカレント教育制度の導入や拡充をする企業が増えているように感じます。
では、なぜ企業はリスキリングやリカレント教育支援を行うのでしょうか?理由を考えてみると🤔
1. 人材の確保と育成のため
社内外での研修プログラムや、キャリアパスの明確化により、従業員の成長を支援し、人材の育成と定着が図れます。
日々の業務に関連した教育の他にも、3年・5年と経験を重ねるなかで『業務・人・組織・会計・マネジメント』などの研修を行い、広い視野で問題を解決できる人材を育てるといった教育も考えられます。
これらにより、企業内での人材の流動性が高まり、成長分野への人材移行がスムーズに行えるようになるでしょう。
外部からの高度人材の採用に比べて、既存の従業員のリスキリングによる社内異動で人材を充足させることができるため、採用コストの削減にもつながります💰
2. 業務効率化と生産性向上のため
従業員が新たな知識やスキルを習得することで、業務効率化が促進されます。事務作業のDX化や業務効率の取り組み、新しい技術やスキルを活用することで、業務をよりスムーズに行えるようになります。
これにより、従業員が本来の業務や自身の成長に集中できる環境を整備することができるでしょう。ひいては、企業の生産性が向上し、業績アップにつながります💪
3. 従業員のモチベーション向上のため
企業が指定する研修だけでなく、従業員が自ら選んだリカレント教育を受講できる制度がある場合は、仕事に対するモチベーションも向上します。
これにより、従業員の定着率が高まり、離職率の低下にも寄与するでしょう。また、採用の際のアピールポイントにもなるでしょう✨
4. イノベーションの促進のため
新しいスキルを持った従業員が増えることで、企業内でのイノベーションが生まれる可能性が高まります。社内に新しいアイデアが生まれやすくなることで、時代の変化に対応できる組織になります。
特にデジタル技術の進展に対応するためのリスキリングは、企業の競争力を維持・強化するために重要と考えられます💪
では、制度が有効に活用されるように『従業員が使いたい・使いやすい、使って良かった』と思うリスキリング・リカレント教育制度とはどんなものなのでしょうか🤔
どんな制度だったら従業員は使いたいと思うの?
リスキリング・リカレント教育が企業にとってさまざまなメリットをもたらすものと理解ができ、せっかく制度を作ったとしても、利用する従業員がいなかったら・利用する従業員に偏りがあるなどして有効に活用されていなかったとしたら……😢
どんな制度だったら、従業員は使いたい!と思うのでしょうか?自発的に参加したくなるリスキリング・リカレント教育制度とは、どんなものでしょうか?
費用・時間・リターン・その他の各ポイントから考えてみました。
1. 費用
金銭的サポート
学習にかかる費用の全額または一部負担、初期費用補助や奨学金制度、従業員の費用負担がない社内研修の充実。
2. 時間
業務時間内の学習や柔軟な勤務制度
業務時間内に学習が行えることで、業務や私生活への影響を最小限に抑えて学習に取り組める。
時短勤務やフレックスタイム制度の利用により、仕事と学習の両立ができる。柔軟なスケジュール
自分自身のペースで学習できるように、オンラインやハイブリッド形式、オンデマンド学習などが選べる。
柔軟な学習環境により仕事と学習のバランスが取りやすくなる。短期間でのスキル習得
マイクロラーニングや集中講座を活用し、短期間で効果的にスキルを習得できるコースがある。長期的な学習支援
休職制度などを利用した長期的な学び直しの機会がある。
3. リターン
業績評価・手当との連動
教育プログラムの修了や資格取得を、個人の業績評価や報酬・昇格と連動させるなど、学習に対するインセンティブがある。キャリアの向上
スキルギャップ分析などによる、個々の従業員に最適化されたカリキュラムが受けられる。成長の実感
学習の成果が実際の業務に直結していて、即戦力として活用できることを実感できる。
習得したスキルを即座に実践できる『社内インターンシップ』や『お試し配属』の機会がある。
4. その他(モチベーション維持や継続支援)
インテリジェンスツールなどによって、進捗状況や次の学びの計画を自分自身で確認・作成できる。
学習成果を公式に認定するプログラム(マイクロ・クレデンシャルなど)があり、成果を可視化できる。
社内でのスキル共有会や成果発表の場があり、学びの価値を実感できる機会が設けられている。
学習コミュニティがあり、従業員同士が情報を共有できる環境がある。
社内の経験豊富な従業員がメンターとなり、新しいスキルを学ぶ従業員をサポートする制度がある。
従業員が積極的に参加したくなるリスキリング・リカレント教育制度作りのため、社内アンケートを実施するなど、利用者の声をくみ上げるのも一つの手ですね✋
企業によるリスキリングの取り組み事例
さまざまな企業がリスキリングに取り組んでいます。具体的な取り組み事例を参考に見てみると👀
富士通:学びのプラットフォーム『FUJITSU Learning Experience(FLX)』を提供
住友生命:キャリアプランガイドBOOKの策定・自律的なキャリアプランニングを実施
ソニーグループ:『キャリアプラス制度』グループ内兼業でキャリアアップ。日立製作所との副業相互受入の取り組みも開始
大企業だけでなく、中小企業もさまざまな取り組みを行っています。厚生労働省の企業事例一覧も参考に!
以上のように、従業員に対してリスキリング・リカレント教育を実施することは、企業にとってもメリットがあります。ただ、その結果が目に見える形となるまでには時間がかかりますし、先行投資が必ずしもリターンとなって現れるとは限りません。
企業の負担軽減のためにも、国や自治体による支援制度を積極的に活用して、従業員のスキルアップを図ってみませんか?
企業が利用できる補助金・助成金💰
最後に、企業がリスキリングやリカレント教育を実施する際に利用できる補助金・助成金について、主なものを見てみましょう👀
厚生労働省の制度では『人材開発支援助成金』があります。その中にもいくつかコースがありますので、自社で取り組む制度がどのコースに該当、どんな支援が受けられるかチェックしましょう。
人材育成支援コース
教育訓練休暇等付与コース
人への投資促進コース
事業展開等リスキリング支援コース 他
その他『特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)』も利用できます。
経済産業省の制度では『事業再構築補助金』があり、研修費(教育訓練費、講座受講等)が補助対象の経費となります。
地方自治体による支援制度、東京都のDXリスキリング助成金やオンラインスキルアップ助成金は昨年度で終了となっているようです。金沢市は継続中👀
名称が変わったり新たな制度を設けられたりする場合もありますので、各自治体に確認・相談をされた方がよいでしょう。
また、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)のポリテクセンターやポリテクカレッジに生産性向上人材育成支援センターが設置されていて、在籍者への訓練を行った場合にも各種支援が受けられます。
同法人の東京支部の情報はこちらから👀
厚労省の『職場における学び・学び直し促進ガイドライン』では、基本的な考え方や、労使が取り組むべき事項、公的な支援策等が体系的に書かれています。金銭的な支援以外にも活用できるツールやシステムについても書かれていますので、ぜひチェックしてください。
制度導入や申請をサポートするコンサルタントなどの活用も一つの手ですが、まずは管轄省庁に相談してみましょう。
厚生労働省・・・助成金に関する問い合わせ先
経済産業省の事業再構築補助金・・・よくあるご質問を参照のうえコールバック予約システムを利用
厚生労働省の労働局などであれば、窓口でじっくり・しっかり相談することもできますよ😊
企業が行うリスキリング・リカレント教育制度は、従業員が利用しスキルアップを図り・その成果を企業の成長に寄与してくれることで、Win-Winな制度となって継続していくものになります。
制度の定着や活発な利用のために、制度の周知を定期的に行ったり、個人目標に学びの項目を盛り込むのもよいでしょう。また、利用者に対して時間の配慮を行っていることなど、上司や部署内での情報共有をしておくことも、気兼ねなく学べるようにするための社内施策の一つですね。
せっかく、時間やお金をかけて取り組むのですから、多くの従業員がより多くのことを学べる制度となることを願っています✨
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