オシャレをすることは自分を守る手段だった

私はメイクやヘアカラーが好き。オシャレをすることが好き。

自分の機嫌は自分でとる、というのはオシャレを楽しむ人たちの間では結構よく聞く合言葉である。

私は自分の見た目と性格が合っていないタイプ。

私はタレ目で鼻は低く唇はキュッとしている。曲線的なパーツや輪郭をしている私のような顔はたぬき顔と呼ばれ、女の子らしく柔らかい印象の顔に分類される。ちなみに顔タイプ診断ではキュート顔ド真ん中と言われた。骨格ストレートなのでフェミニンで体のラインがハッキリした女性的なデザインの服がよく似合うと言われるし、PCはというとこれもまた所謂透明感、柔和といった印象を持つブルベ夏。

とにかく女性らしさ・可愛らしさに振り切ったスペックなのである。

しかし実際の性格や、憧れているコンセプトはそれらの自分のスペックとは到底合わない。クラスで自分を孤立させた女子に水をぶっかけたことあるし、ナンパしてきた男の人と喧嘩になり店員さんに警察を呼ばれそうになったこともある。

とにかく私は気に入らない相手に対して性格がキツいらしい。中学生高校生の頃は制服でノーメイクだったので、芋っぽさもプラスされとにかくよく痴漢をされた。学校に遅れたくなかった私は触ってきた手を思い切りつねるくらいしか抵抗はしなかった。あまりにも同じ人に続けてやられた時はさすがに注意をしたが、自分は舐められているんだなと感じて家で悔しくて泣いていた。学校生活でも、人見知りだったのでただニコニコしている最初のうちはなんとなくモテたが、素を出すと可愛げがないと気づいたらしくモテ期は一瞬で終わった。「性格がキツすぎる」とか「もっと可愛げがあったら」とか言う超余計なお世話キショ男子がなぜか私の通っていた高校はよくいた。「てめえに可愛いって思われたくねえからだよ気づけ」って返したら狼狽えながら「そういうとこだよ」と言ってきた。きも。

可愛げがあると思われやすい見た目→実際は性格キツい、というギャップは本当に不便。勝手に期待値上げられて勝手にガッカリされて。そもそも好きでこんな見た目になったわけではないのに…。私はアイリーンとかジスとか、かっこよくも可愛くもなれる顔になりたいのに…。

大学生になったらメイクを頑張ろうと思っていた。高校生になってからもやってはいたが、ヘアカラーをしてもっと自分の見た目を変えたい、印象を変えたい、という変身願望が強くなっていった。

派手な見た目になって変わったことは舐められなくはなったけれど、尻軽だと思われるようになったこと。舐められ方が変わった、という言い方が正しいのだろうけど、昔に比べ、他人から弱い立場に見られていないことが分かるだけで嬉しかった。髪をブリーチしメイクをしカラコンを入れると、タバコを吸っていないだけで驚かれる。セフレがいないだけで驚かれるし、性交渉の経験がないまで言うとめちゃくちゃ食いつかれる。今の私は恋愛に全く興味がないか奔放かのどちらかに見えるらしい。

人って見た目で判断する割に人の顔よく見ないんだな、と気づいた。

最初は自分の見た目へのコンプレックスから脱却する手段だったのだが、それに気づいた頃にはオシャレそのものの楽しさを知り、今では目的になった。

なりたい顔や自分自身にしっくり合う格好はやはり変わらず強い女性、自立した美しい女性というイメージに近いものだ。だったらなればいい。たまにモテファッションもいいな、なんて思ったら自分の似合う服を着ればいいのだ。簡単なことだった。

もう誰にどう思われるかなど考えず、なりたい自分可愛い自分になれることが楽しい。

オシャレが楽しい。