パチンコ・パチスロモチーフのオリジナルゲームを作ってきて感じていることをツラツラと
■はじめに
こんにちは、ゲーム制作サークル「ほんわかふわふわ」代表、花倉みだれと申します。
最新作は『リプレイベルスイカスロットライクゲーム』1個前は『リアルタイムアシストリプレイタイム~閉店までの1分間~』というゲームを制作していました。
1つは今セール中で197円、もう1つは無料ゲームなのでぜひダウンロードしてほしいと思っています。
この2つのゲームのストアページをご覧いただけましたでしょうか。
見ていない方向けにPVを置いてもおきましょう。
さて、見てわかる通りこれらのゲームはいわゆる「パチスロ」をモチーフとしています。
といってもあくまで「モチーフ」止まりで「知ってればくすっとできる小ネタ」があったり「メロンからスイカって言われるよりリプレイからベルって言われたほうが直観的だよね」という一部ユーザーにとってのユーザビリティが上がっている効果があるくらいで、基本的にはオリジナルのゲームです。
そんな「パチスロをモチーフとしたゲームをリリースした」人間としての所感をツラツラと残しておこう、というのがこの記事です。
■ポジティブなこと
まずはポジティブなことをまとめていこうかなと思います。
●売り込みやすい、想定の客層をイメージしやすい
端的に言って「パチスロのことをなんとなく以上に理解している人」を第一のターゲットにして動くことができます。これは多分「ドラクエみたいな剣と魔法のRPGが好きな人」とか「岸田メルみたいな淡い絵柄のノベルゲーが好きな人」とか、ましてや「12か国語の"2"の間違い探し2択クイズが刺さる人」を探すより明示的な属性ですし、意外と結構広い対象なんじゃないかなぁと感じています。
ゲームは実際のところパチスロ関係なく誰でも遊べるものではあるんですが「自分を対象にしたものだ」と感じてもらいやすいモチーフであることは間違いないと感じていますし、これはポジティブなんじゃないかなと思います。
いわゆる公開クローズドベータテストみたいなことを実施した際、こちらからお声がけさせていただいた方の多くにご快諾・ご協力いただけました。「リリース前タイトル」のバリュー効果や単にタイミングなど多角的な理由も多いにあるだろうという前提のうえで、とくに序盤にこちらからお声がけした方は過去何かしらパチンコ・パチスロに言及していた方を中心としていました。
結果として、結構高確率で快諾いただけたうえで、フィードバックも有意義なものを頂けて改善できたと感じていますし、これは本当にやりやすくてよかったなぁと思っています。
ゲーム性を「ATとかボーナス中の状態をウェイトなしで1分間スコアタするゲームです」「スロットモチーフのスイカゲームです。スイカ作ったらST7回入ります」といった感じでわかる人には短縮的に伝えられるのもやりやすかったです。
●競合が(現状)少なく感じる
「パチンコ・パチスロをモチーフとしたゲーム」ないし「スロットをメインギミックにしたゲーム」」などは探せば意外と結構あります。
とはいえ、絶対数はそう多くない、というのが他のモチーフとの比較として直感的には感じるところです。エビデンスないのはゴメンなさい。
減っているとはいえ、依然として700万人超の成人の参加人口(しかも1000円札をホイホイ使えるくらいの購買力を持つ層)を持つ属性、他にそう多くはなかろうと思います。
その中でさらにゲームもやる人……となると絞られてもきそうではありますが、国内で見たら結構なボリュームだと思います。
その割には、ここを対象としたゲームの絶対数はそこまで多くないんじゃないかな~って気がするんですよねぇ。自分もこのど真ん中なわけですが、そこまで刺されまくって大変~!! という感覚はないので…。
"「スロッター(パチンカー)」向けのゲーム"という、いわばそれだけの情報で「RTART」の15秒動画がめちゃくちゃ数多くのタイトルが紹介される「IndieLiveExpo」の中でも一定存在感を出せたあたり「競合がそこまで多くなくチャンスのあるモチーフ」なのだという手ごたえがあります。
もちろん、最大の競合は実機だったりシミュレーターだったりメーカーだったりだよねとか、目立ったらそっちに刺されちゃうかもねとか色々あるかもですけど…。
それこそ、今自分が平和なべのイラストで作る正統派学園ギャルゲーを売るよりイージーな戦いをさせてもらっているんだろうな、という気がします。
無責任なこと言いますがチャンス! もっと萌えパチ・萌えスロ好き向けの、でも実機っぽくないなんかいい感じのライトなゲーム出て! 出して!! 自分の存在感がなくなるくらい!!!
直近の売上とかはこのnoteを見るとわかりますわ。
●一定の理不尽に対する許容が生まれる(気がする)
パチンコやスロットが乱数の戦いでしかないことはユーザーも非ユーザーもさすがに知っていることと思うので、ネガティブなフィードバックになりやすい「ランダムの偏り」「やや雑なインフレ」などに対して一定「これがモチーフならしゃあないな」と下駄を履かせてもらってると感じることがあります。
ゲーム性的にそういうものを作りたい場合に、逆にギャンブルをモチーフにする、というのは普通に妥当なアプローチだよなぁと思いました。
●破滅的なユーザーじゃないがファンだと主張できる
自分は新卒の頃平和とかSANYOとかSANKYOとかサミーとか概ね名のあるパチンコメーカー全部を受けて全部落ちているんですが、説明会とか面接で「どれくらい(パチンコやパチスロが)好きなのか」ということをよく聞かれました。
ただ「普通にユーザーとして好き」なエピソードの多くは社会人候補としてはろくでもないエピソードだったりする問題があり、歯切れ悪い回答になってしまったことを今でもわりと後悔しています。上野のショールームストリートみたいなところ通る度、もしかしたらこっちで働いてた未来もあったのかな…とか思いをはせることがあるくらいには未練もあります。
健全にエンタメとしての遊技機の要素を分解して自分なりに再構築できるというアピール、余暇を使って作るゲームのモチーフにするという愛着、一定小ネタを理解しているくらいにはユーザーであること……など、15年くらい前の自分にこのゲームを渡してやりたい気持ちがすごくあります(笑)足りないのはこれだったな~!!! と。それで受かっていたかというのはまた別でしょうけど、少なくとも当時の手札に加えてこれがあったらやりやすかったよな~~~とも思うんですよねぇ。
これはシンプルなたられば話です。とはいえ、平和とかサミーとかの人が今これを読んでてスカウトしたいみたいな話があったらぜひお伺いしますよ(笑)
■ネガティブなこと
●広告が通らない
Googleくんの広告を『リプレイベルスイカスロットライクゲーム』で一切通せませんでした。
この動画ですよ~? 普通にゲームのPVじゃないですか~!!
と「実際の通貨を使用するようなものではない」「Steamでリリースするゲームで、ゲーム内で全てが完結するものだ」「ギャンブルはあくまでモチーフにとどまって、それを賭けて何かするといった機能もない」と若干悲しくなるような事実も交えて主張するのですが一切通らず、ギャンブルじゃないから「責任あるギャンブル事業を行っている」という証明をするルートも結構難しそうで泣き寝入りしてしまいました。
PV段階で「それっぽく」見えているんだな、ってことは一定手ごたえを感じつつも、困りますよね~。
もちろん、これの解消を仕事として全力前回で挑めばどうにか着地はおそらくできるんでしょうけど、ゲームを開発・リリースするにあたって自分はそこまで粘ることはできませんでした。
Youtubeの広告が出せないほか、多分この問題は街中でも景観など、ビラとかでも内容が……と都度都度厳しめのチェックに晒されることになることは想定されます。
これは知らずに進めて、かつ計画に組み込んでしまっている場合は結構なリスクだなと思いましたね。
●ネガティブなイメージとして敬遠される要因にはなる
「あくまでモチーフで、実際は誰でも遊べる」ゲームなんですが「パチスロのことよくわからんからな~……」で敬遠されてしまう現象も当然発生します。何かしらのブランディングの棄損に繋がりかねないネガティブなモチーフである、ということはそれはそれとして事実であると受け止める必要はありますね。まぁ自分も、面白そうなゲームだけどべつにケモ属性でもないしな~とかで買ってないゲームとかあるので、ネガポジ関係なくターゲットを特定する文脈が強いとある程度致し方ないのかもしれませんが。
●国際的な訴求力は(おそらく)微妙
「スロットマシン」くらいのイメージなら世界各国のカジノにあるので通ずるところはあると思いますが、いわゆる「遊技」の世界は完全なジャパンカルチャーなんですよね。
日本人的なスロットのイメージだと「回転するリールをボタンで停止させる」くらいはドラクエとかポケモンから刷り込まれた常識として通ずるかと思うんですが、純粋なスロットで言うとそもそもなんで自動で止まらないんだよ、になりかねないみたいなカルチャーギャップもあったり、小ネタという小ネタがおそらく通じないであろうとか、そういうところは否めないと思っています。
システムとしても「確変 / 継続」より「ジャックポット」とかのほうをフィーチャーしたほうが丸いんでしょうね~。
だからこその「ローカル感」みたいなのをお楽しみいただければいいんですが、最初からそれを狙うのはちょっと難しいんかな~どうかな~どちらかというとネガティブな要素かな~と思っています。
もっとJAPAN! スロット! みたいな感じで装飾したら国際的な感じになるかもですけど、それだと国内ユーザーが~みたいなことになりそう(笑
●陳腐だと思われやすい
『リアルタイムアシストリプレイタイム~閉店までの1分間~』は「uinity1week」に参加したタイトルでした
全体的に高評価をいただけたと思っているのですが「斬新さ」の指標が抜群に低かったんですね。
「ボーナスだけをノンウェイトで遊べるスロット風ゲーム」結構新しいかな~と思ったんですが、モチーフの段階でチープだと思われるもんなんだなぁというのは1つの事実だなとは思いました。
■終わりに
べつに「カジュアルゲーム*女の子*パチンコパチスロ」は「ほんわかふわふわ」の専売特許でもないですし、今後作るものがそういう毛色とは全然違う可能性も高いです。
一方で、1人のユーザー的に「なんとな~くパチンコ・スロットっぽいけど実機とかオンカジとかソシャゲではない、ツインエンジェルとか戦国乙女な風を感じられるゲームが遊びたいな~~~」というニーズを持っています。
うまく活かせてるかはともかく、手ごたえは結構感じているので、誰か頑張って色々作って楽しませてくれ~!!! というのが言いたいことでした! 頼むぜ!