
絶望女の自己紹介、婚約に至る経緯
それは彼と初めて会う日に降りかかった。
でも、それがきっかけになり全てが変わったのだから
運命とはかくもおもしろい。
Ⅰ女友だちとシェア解消
1.ある事件
深夜。若干の空き時間に
私は彼に返信をした。
その時私達は恋人ではなかった。
どうがんばっても明るい話題にはならないのだが
状況を端的に伝える。
秒で返信が来た。
「今電話できる?」
声を聞いた時、私はほっとした。
彼はいくつか質問した後、具体的なアドバイスをした。
ひとつひとつ、手順を明らかにして。
私は、なんていい人なんだろうと思ったので
それをそのまま伝えた。
「見ず知らずの人のために、こんな夜中にありがとう。」
彼は沈黙した後答えた。
「誰だって、そんな状況の人を放っておかないよ。」
そんなことはない。
「大丈夫?」とは聞くが、
会ってもいない人のために
わざわざ面倒ごとに首をつっこむ人は多くない。
「もしあれだったら。」
彼は言った。
「バイクでそこまで行くよ。」
大雨の日だった。信じられないくらいの。
日にちをまたいでしまっているし、
私は病院にいた。
東京ではあるけれど、時間を潰せるような店もないような
そんな住宅地の病院。
「えっ」
私は何を言われているのか理解できなかった。
「でもこの後、何時になるか分からないの。」
「いいよ。待ってるよ。」
迷わず言う彼に、私は驚きを隠せなかった。
2.引っ越し、新たな暮らし
その件があって、私は引っ越しを余儀なくされた。
金銭的な事情から自力で何往復もして荷物を運び
本業をやりつつ副業をして、休む暇もなかった。
新たな生活が始まった。
引っ越しの間、隙を見ては彼と電話をした。
彼は有給消化中で時間があった。
何度も言った。
「車借りて引っ越し手伝うよ。」と。
「お金貸すよ。君になら。返してくれなくていいから。」
とさえ言った。付き合ってもないのに。
手伝ってくれる人がいる、とルームメイトに言った。
引っ越し業者を使わず、私が10割の荷物を運んでいた。
ごみの処分や分別も。ルームメイトは体が丈夫でなかった。
3.親友の豹変
「ウチを出会いの場にすんの、やめてくんない?」
と彼女は言い放った。
車代はいらない、と彼が言っているのにも関わらず。
「その人に会いたいだけでしょ?」
半笑いのその顔を見た時
彼女の背景や、私達のこれまでの友情の軌跡を差し引きしても
私はもう、縁を切るほかないと確信した。
彼とやりとりをしていることも、
ずっと相談に乗ってくれていたことも
何も伝えて居なかったけれど
その日から彼女の態度は180度変わってしまった。
私は親友だと思っていた。
けれど、違ったのだ。
彼は彼女とのシェア生活をそれとなく聞き出していた。
気付いたら、彼はよき相談相手であり友人になっていた。
4.スピード同棲
何度も足しげく私のもとへ通った。
会社から家までの距離を送り届けたり、
隙間時間に顔を見るためだけに会いに来ては
ごはんを御馳走したり、私を抱きしめた。
私は彼を愛していた。
だから言った。
「世界一幸せにしてやる。」と。
こんな時だからこそ、にこやかに。
恋人になってから、彼は忠言した。
「君のルームメイトは、よくない。」
「俺のところに来い。お金の心配はいらない。
猫たちも連れておいで。」
私は激しく抵抗した。
同棲なんて嫌だからだ。結婚が遠のく。
でも、彼は理論派だった。
見事に私を納得させて同棲をスタートさせたのだった。
その話をした2日後にレンタカーを手配して迎えに来た。
猫たちは車でにゃあにゃあ言っていたが、
すぐに彼の家と彼になじんだ。
Ⅱ出会いと別れ
1.さようなら
家を出て行く時、私はこれまでの礼を伝えるために
菓子折りを用意していた。
彼女の部屋の前に立って呼びかけたが、反応がなかった。
私の予定では、引っ越してからも
しばらくは様子を見るために会いに来る手筈だったけれど
状況を鑑みて合鍵も菓子折と共にテーブルに置いた。
「もしそのルームメイトと今後も付き合いを続けるなら許さない」
「君を傷つけていい理由は誰にもない。その人は勘違いをしている。」
と彼は言い、引っ越し先も転職先も教えてはならないと続けた。
「それで文句を言ってくるようなら、俺の名を出せばいい。男が出てきたら
そういう人間は引くから。」
彼は矢面に立とうとしていた。
引っ越しの時も、いいと言っても部屋の中にずかずか入って
私に危険がないか確かめていた。最初から最後まで。
今思えば、元ルームメイトは
俗にいう毒友というやつだった。
私は洗脳状態だったのだ。
共依存。
彼はそれを見抜き、
「早く離さなければ」と思ったようだった。
2.はじめまして
彼との出会いは、電光石火のように突然だった。
初デートから交際、引っ越し、婚約と
振り返れば「トントン拍子」で迷うひまがなかった。
暮らしが落ち着いたタイミングでnoteを始めた。
私は夢を追って挫折していた。
時間を要する割に金にはならない。金を稼ぐためには数をこなす必要があり、
私は不安定な経済状況に置かれていたのだ。
3.ど本命彼氏と婚約
私は経済基盤についてコンプレックスを抱えていた。
それで恋愛もうまくいっていなかった。
でもだってが口癖で。
時間があればいいものが作れるわけではない。
どんな暮らしでも、自分には書きたいものがある。
そう一念発起して、手放した。さまざまな執着を。
新しい私を始めたのだ。
一般ピープルの私も悪くない。
やりたかったことをしながら、
経済基盤をかためることが出来たから。
それは、結婚しなくても生きていけるようになったと同義である。
片手間でできる仕事ではないけれど
勤続してさえいれば
無双できる職業である。
だから私は、この同棲の期間を一年と決めた。
そしたら、なぜか婚約することになったのだ。
Ⅲ絶望女とメス力
1.メス力ぶちあげる
この意思決定の裏には
神崎メリ様の「メス力」があり
その背景には「幸せを諦めない」ド根性があった。
私は非正規労働者で、売れない夢追い人で、
恋愛を拗らせていた。
ばか正直に愛情をぶつけて、
なんとかかじりついて荒波をこえてきた。
それでも愛を諦めなかった。
夢を手放したが、諦めた訳ではない。
本当にしつこいと自分で思うが、そんなところが抜きんでていると自己評価している。
ばかでいい。ばかがいい。
普段いろいろなことを書き散らしているが、
あれはすべて本当のこと。
一般ピープルで、取柄のない絶望女の記録である。
2.絶望してたが諦めない
奇特な若いお嬢さんが、先日
私のnoteを取り上げてくださって
身に余るお言葉を記してくれていた。
私はそれを読み、テンパったあと
スキすることしかできなかった。
コメントするよりも、
自分の場所で
好き勝手書き連ねるのが
私のnoteでのあり方かなと
不器用なりに思ったのである。
ここまで読んでくれたあなたにも
幸せが沢山舞い込みますように。
不格好にもがいて、諦めない仲間になって欲しいと切に願う。