チームの化学反応と「内省」の力~役割の枠を超えて、最高のパフォーマンスを~
こんにちは、脱臼骨折ホヤホヤで、キーボード入力がつらいFunakoshiです。
この記事は、Fusic Advent Calendar 2024 17日目の記事です。
昨日の Gaussian Splatting 改善のアイデアをまとめてみた もよろしくおねがいします。
はじめに
私は、Fusicのプロダクト( 360(さんろくまる)、sigfy )の責任者をしているプロダクトマネージャーです。また、人事領域の仕事も兼任しており、最近ずっと考えいることがあります。それは、「会社のみんながどうすれば本当に最高のパフォーマンスを発揮できるのか」という問いです。そして、結論として「内省」のパワーはものすごいんじゃないかと感じています。
さて、先日とある研修で教えていただいた以下の式をご覧ください。
成果(≒個の成長)=(能力 + スキル知識)✕ モチベーション
能力やスキル知識にモチベーションを掛け算することで、成果につながる。
例えば、採用では「能力(地頭とか)」や「スキル・知識(経験とかスキルセット)」がみられがちですが、同じ会社にいる人の能力で何倍も差があるということは中々ありません。
実を言うと、成果に大きく影響を及ぼすものは、この式のモチベーションの部分なのです。モチベーションは、低い人と高い人で何倍もの差があるということが全然ありえます。なので、このモチベーションの理解は、最高のパフォーマンスを考える上で無視できない要素だと考えています。
で、モチベーションのような自分の内側にあるものを理解するのに、実は「内省」がとても大きな役割を果たします。内省とは、自分の行動や感情を見つめ直し、そこから新しい気づきを得ること。
たとえば、「最近、なぜこの人とうまくいかないんだろう?」とか、「自分は本当にやりたいことをできているんだろうか?」と自分に問いかけてみる。そんなシンプルな一歩が、大きな変化を引き起こす可能性を秘めています。
「内省」から始まる相互理解と信頼関係
人間関係でイラッとしたり、うまくいかなかったりする原因のひとつは、わりと自分自身の思い込みだったり、先入観だったりします。だからこそ、内省を通じて「どこからその感情がくるんだろう?」と考え直すことが大事です。
これまで、チーム等では内省や相互理解できる場を作ってきました。
定期的な1on1ミーティング:個人的な気づきを共有・内省支援
360度フィードバック:お互いを多面的に見て、新しい気づきを得る
チーム合宿(対話):日常を離れて腹を割って話せる環境づくり
こうした場を通じて、もともと遠慮し合っていたメンバー同士が自分たちの思考のクセや背景を理解し合うようになり、自然と助け合う関係へと変わっていったこともあります。また、不思議と湧き上がるエネルギーに包まれ大きく行動がかわった経験をしたこともあります。
相互が信頼し強いチームになっていくファーストステップは、相互の理解がかかせません。
お互いの背景や考え方を知ることができたあとは、チーム全体に「この人たちなら信頼できる」という空気が広がっていくような気がしています。
自律的な行動とモチベーションアップも「内省」から
内省は、ただ不満や悩みを見つめるだけではありません。「自分がチームにどう貢献できるか?」を考え直すきっかけにもなります。「今、自分がやるべきことは何だろう?」と問いかけることで、メンバー自身が進むべき道を切り拓いていく。自発的に動いているメンバーほど活き活きして、成果も上がっていく感覚があります。
「●●が悪い」のように他者をとらえるのは簡単ですが、あまり発展もなくモチベーションも下げやすい思考です。「●●が悪い…と感じたけれど、そのきっかけをつくったのは私かもしれない→私がこう動けばもっとよくなるかも…」みたいな思考の流れができてくると、個人もチームもポジティブに動きはじめます。
ここに添え物として、チームで共通の目標とか、大事にするものの目線が共有されていると、自律的にメンバーが助け合うような世界がうまれやすいような気がします。
他者の視点で深まる「内省」
内省は自分ひとりでもできるけれど、限界もあります。だからこそ、1on1や対話、360度フィードバックなど、他者の存在が欠かせません。自分にとって当然の考え方が、他人から見ると「なんでそうなるの?」だったり、逆に「そこが強みだね!」と言われて初めて気づくこともあります。また、「そんなところまでみてくれてたんだ」と、相手への信頼につながることも多いです。
チーム全体でこうした内省のサイクルを回していくと、お互いが新しいアイデアや発想を受け入れやすくなり、結果として「化学反応」が起こりやすい雰囲気が生まれます。
役割を超えるきっかけも「内省」から
内省によって、自分が勝手に決めていた「役割の枠」に気づくこともあります。実は、「自分の仕事はここまで」と決めつけてしまうことで、成長やチャレンジのチャンスを逃しているかもしれません。
家庭での「理想の父親」のパラダイム
少し私の話をします。日々、内省や自分の感情に向き合おうとしていてもな状況により思考の癖に囚われてしまうという例です。
私は、「よい父親でありたい」ということにとらわれがちです。「よい父親」であるためには、何よりも家族と長い時間を過ごし、娘の遊び相手になり、常に家事で動く…。「父親としての役割」を自分に厳しく課し、「自分の好きなことをやる時間を減らしてでも、家族のために動くべき」と漠然ととらわれます。一方で、好きなことで輝いている父親というのを娘に魅せたい気持ちもあり、なんとも矛盾する心の状態をつくりだします。
家族との時間は確かに楽しいし、娘の笑顔を見ることは最高です。でも、「自分がやりたいことをガマンしている…」とイラだちのような、苦しみのような…そんな感覚が増えていきます。たとえば、会社の軽音ライブがあっても、「妻に負担をかけるかも」「家族との時間が減ってしまう」といった不安から、一歩踏み出せずにいました。
今年は同僚からの誘いというきっかけもありましたが、「軽音ライブにでたい」と湧き上がるものがあり、「家族のためにすべてを我慢する父親だけが正解ではない」と内省的に思い込みから離れ、出演する決断をします。
思い込みをほどき、楽しんだ軽音部のライブ。演奏する姿を娘に見せることができました。そのとき、娘が喜んでくれるのを見て、これが私の思い描く「よい父親」かもしれないと感じたのです。これは中々に最高の体験でした。思い込みの世界にはいなかった私です。
この家庭での気づきは、そのまま職場にも当てはまります。「自分の役割はここまで」と決めつけず、ちょっとでも「これ、やってみたら面白いかも?」と思うことに手を伸ばしてみる。そうすることで、チーム全体あるいはチームを超えて会社全体に新しいアイデアや価値をもたらせるかもしれません。(周りから、そういう場をつくってあげる支援も大事ですね。)
おわりに:内省がもたらす化学反応
内省は、一見地味で手間のかかるプロセスかもしれません。でも、その小さな問いかけや気づきが、チームメンバー同士の理解を深め、信頼を育み、役割を超えたコラボレーションを生み出します。つまり、内省が「化学反応」の起点となり、チームを驚くほどパワフルな存在にしてくれるのです。
内省のためには、自分の感情にも向き合う習慣が必要です。内省は、筋トレのようにじわじわと影響がでてくるものです。
私たちは、この「内省→対話→行動」のサイクルを続ける中で、今までにない成果や発見を手に入れることができます。地道な取り組みではありますが、その先にこそ、枠組みを超えたパフォーマンスアップが待っていると信じています。
この可能性を信じ、今後のこといっぱい考えていきたいです。
結論:自分もチームも「内省」から「最高」は始まる!!