小学校で学ぶデータ処理スキルまとめ
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小学校学習指導要領から、算数D領域の内容を読み解いてきました。そこで扱われているスキルを系統別にまとめたものが次の図です。主なスキルは次の4つに分類できそうです。(1)データの集計(2)データの可視化(3)代表値(4)確率。順に整理します。
データの集計
種類別、観点別に数え上げることからはじまって、2次元表への数え上げ、最後は度数分布表の作成と相対度数(合計度数や累積度数、累積相対度数も含む)へと進みます。統計学の教科書でも、最初の方でかならず扱われている内容ですね。
相対度数の理解には、割合の考えが使われています。また、相対度数(全体に対する部分の割合)の算出は、帯グラフや円グラフの作成に必要なスキルです。
データの可視化
3年生までに棒グラフを学びます。グラフの縦軸横軸の書き方、目盛りの取り方、表題の付け方などもここで学びます。これらの理解をもとに、4年生では折れ線グラフ、5年生では帯グラフと円グラフ、6年生では柱状グラフ(ヒストグラムのこと)、というようにグラフの種類が増えていきます。それぞれ使いどころが異なるので、どういう場面で有効なグラフであるかも同時に学びます。
一方、ドットプロットは、1・2年生の簡易グラフの延長にある表現ですが、代表値との関係で扱われています。ドットプロットでは平均値や中央値や最頻値はどこにあるかを考えるのですね。統計学の教科書ではヒストグラムで同じことを議論していますが、ヒストグラムの詳細については中学校で学ぶので、そこへの伏線と言うか、より具体的な個別データのとの関連を失わないようにしていると思われます。
これらも、統計学の教科書のごく最初の方で扱われている内容です。
代表値
代表値として、6年生で、平均値・中央値・最頻値が扱われています。平均値の計算は5年生で扱っているのですが、それをデータの代表値としても使えるのだということを指導するということです。
多くの場合、平均値は割り切れませんから、概数の指導(小数何桁までの概数で表せ、みたいな)とも関連しています。また、3つの代表値がデータ全体のどの位置にあるのかを視覚的に理解するために、度数分布表やヒストグラム、ドットプロットなどと関連づけて指導されています。
確率
小学校段階で、確率について指導されるわけではありません。その基礎となる2つの事柄、すなわち「割合」と「順列・組合せ」について指導しています。
たとえば、2つのサイコロを同時にふったときに、目の合計が6になる確率を考える時、サイコロの目の合計の全事象を考える時に順列・組合せの考えが必要になりますし、前述の確率は、全事象に対する「目の合計が6になる事象」の割合を考えていることになります。
ベシスタとの関係
最後に、ベシスタとの関係を確かめておきます。
小学校での学習内容は、ほぼすべてが、「記述・可視化」の内容です。ただし、「記述・可視化」の1コマ目「データとは」の議論と「尺度水準」については扱われていませんし、2コマ目の「散布度」「標準化」、3コマ目の「クロス集計表」以外の内容は扱われていません。
とはいっても、小学校でここまでの内容が盛り込まれてきたことは、私の子どもの頃のことを考えると驚きです。ほんとに小学生からやる必要があるのか? という素朴な疑問も残しつつ、小学校のまとめを終えておきます。