経験的確率:とりあえず何度もやってみよう!
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中学1年生(2)不確定な事象の起こりやすさ
中学1年生の2つ目の内容は、不確定な事象の起こりやすさについてです。わかりにくい書き方ですが、要するに確率です。確率の定義は何種類かあるうえに、難しい定義はとても難しくて(当たり前だ)とっつきにくいのですが、ここでは「多数回の試行」をもとに考える、いわゆる「経験的確率」が取り上げられています。
多数回の試行とは、要するに「何度もやってみる」ということです。
「解説」で例示されているのは、ペットボトルのふたを投げてみて、どちらが出るか、という試行を、何度もやってみるわけです。一人で黙々とやるのは退屈ですが、そこはクラスで行う授業ですから、数人のグループに分かれて試行し、結果を集計すると、わりに簡単に数百回の試行結果が得られるというわけです。
この場合、グループごとに使っている「ふた」に偏りがないこと、誰がふたを投げても同じような確からしさで表になったり裏になったりすること、などが仮定されていますが、実際の授業でどこまで厳密に話をするかはわかりません。
今、仮に、ペットボトルのふたの閉じている方(ボトルにふたをはめたときに上になる方)を、ふたの「表」とし、「ふたを投げたときに表が出る」という事象に注目することにします。このとき、「表が出た」回数を「全ての試行」の回数で割り算した(つまり、試行回数に対する「表が出た」試行の割合を算出した)結果が、「表が出る」という事象の起こり易さであることになります。
そのうえで、こうした試行をもっとたくさんたくさん繰り返していくと、ある事象の起こり易さは一定の値に近づいていくことが予想されます。この値を、「表が出る」確率と考えます。このような意味での確率を、「経験的確率」または「統計的確率」と言います。
念のために、放送大学科目「身近な統計」で紹介されている、「マルチメディア統計百科事典」の説明を引用しておきます。
Wikipedia にも同様の説明があります。(残念ながら日本語版では「経験的確率」「統計的確率」などが独立の見出しになっていません)
最後に付け加えると、「解説」では、度数分布表から計算された相対度数を、事象の起こり易さを予測するために、確率と見なして用いる場合があるとしています。
上に引用したWikipediaの説明でも、「経験や観測から確率を推定する」という表現がされていて、同じ趣旨であると考えられます。
演習問題
何度も同じことを淡々と繰り返すのは、コンピュータの得意技です。ということで、「サイコロをふって、出た目の数を記録する」という、心からわくわくするような作業を、できれば1万回ほど試行して、それぞれの目が出る経験的確率を求めてください。
コンピュータには手がありませんから、乱数を使って1~6の数をランダムに出力させ、それでサイコロをふったことにします。
もちろん、サイコロをふるロボットを作って、実験しても構いません。楽しそうですね。