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起こりうる場合を数え上げる

Cover Photo by Алекс Арцибашев on Unsplash

6年生のD領域には、もう一つ、とても重要な内容が含まれています。起こりうる場合をもれなく重なりなく数え上げる、です。言葉で書くと難しいのですが、順列や組合せの数を数え上げることです。

6年生D領域(2)

(2) 起こり得る場合に関わる数学的活動を通して,次の事項を身に付ける
 ア:知識及び技能
  (ア)起こり得る場合を順序よく整理するための図や表などの用い方を知ること。
 イ:思考力,判断力,表現力等
  (ア)事象の特徴に着目し,順序よく整理する観点を決めて,落ちや重なりなく調べる方法を考察すること。

「解説」より

「順列」としては、たとえばA、B、C、Dの4人が一列に並ぶ時に、どんな並び方が考えられるか、のような問題です。大人の皆さんには簡単な問題でしょうか。まず1人目を決め、次に2人目の可能性をすべて列挙し、次に3人目の可能性を列挙すると、次のような図が完成します。「樹形図」と呼ばれます。

樹形図の例「解説」p.313

また、「組合せ」としては、A、B、C、Dの4チームで総当たりの試合をするとき、どの組み合わせがあるかを列挙するものです。チーム数が多くなっても対応できるように、次のような2次元表を使うことが多いと思います。

2次元表の例「解説」p.313

小学校6年生では、これ以上複雑なものは出てきませんし、計算式も出てきません。これらは、中学校2年生の「確率」単元で学習するようです。

もれなく、重なりなく数え上げることは、それなりに難しいことです。4チームの総当たりならなんとか理解できても、5チームになるととたんに混乱する子どもはいるはずです。
「解説」には、「起こり得る場合を考える際に,落ちや重なりなく調べるには,観点を決めて考えていく。観点を決めるとは,あるものを固定して考えるなどのことである。」(p.314、太字は引用者)と書かれています。
さきほどの例で言うと、まず片方のチームをAチームに固定して、もう一方のチームを変えていく。次に固定するチームをBチームにする。このとき、Aチームはすでに全部のチームと対戦を組んだので、Aチームを除外して考える。のようになります。言葉で書くとややこしいですね。

さて、ここまでで小学校の統計関連の指導内容を一通り見てきたことになります。次回以降、4~6年生で求められている統計スキルをまとめること、1~6年生で身につけるスキルの系統を図示すること、などいくつかの整理をしたあとに、中学校の指導にないように進みたいと思います。
単純な数え上げ(単純集計)から始まって、2次元表への数え上げ、そして「起こりうる場合」の数え上げと、小学校の統計関連の授業は、数え上げにはじまって数え上げに終わる構成になっているようです。「正しく数え上げる」ことが、統計の基本であることがよくわかるように思います。

演習問題

赤いサイコロと青いサイコロが1個ずつあります。2つのサイコロを振ったとき、出た目の数を合わせると6になる場合をすべてあげてください。