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基準点を変えても変わらないこととは

基準点を変えてみた

前回の最後に示した表である。赤、緑、黄、紫、青のそれぞれのテストの得点を、0点基準、満点基準、合格基準、平均規準のものさしで測ったものである。ものさしによって「0点」の位置が違うので、測定された得点も異なっている。が、変わらないことがある。それは何だろう。

変わらないのは何?

変わらないのは互いの距離

特に難しいことでもないだろうが、変わらないのは、赤と緑、緑と黄などの、互いの測定値同士の「距離」である。基準点がどのように動こうと、赤と緑の測定値の差は「7」だし、黄と紫の測定値の差は「5」である。表にするとこうなる。

測定値同士の「距離」は同じ

プロットの方が見やすいかもしれない。

測定値同士の「距離」は同じ

データの本質は

ものさしの基準点をどのように変えても、測定値同士の距離は変わらない。これは、言葉を換えていうと、その「測定値同士の距離」(「距離」がどのような大きさを持っているか、という様子)に、データの本質があると言える。

ただし、この「測定値同士の距離」を、そのまま使うことは難しい。上の図では、「たまたま最も近くにあった測定値同士」の距離だけを示しているが、なぜその他の測定値との距離を取り入れないのか、は説明できない。といって、すべての測定値から、他の測定値への距離をすべて考えることにすれば、「測定値同士の距離」は、測定値そのものよりもはるかに多くなってしまい、収拾がつかない。

そこで、ある「基準点」を決めて、その「基準点」からの距離だけを考えることにする。これは、「偏差」の考え方と同じである。こうすれば、「偏差」は測定値の数とちょうど同じ数だけあることになる。

それでは、「基準点」として、どのような値を選ぶとよいのだろうか。そして、得られた「偏差」を、どのように整理すればよいのだろうか。これが、次からの課題になる。