「同様に確からしい」って何さ
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中学2年生(2)数学的確率
中学1年生に続いて、中学2年生でも確率が扱われます。この平成29年度告示指導要領改訂では、もともと中学2年生で扱っていた「確率」の内容のうち、経験的確率の部分だけを中学1年生に移行した、と説明があります。2回に分けた方がわかりやすいのかどうかは微妙ですが、2年間かけて、中学1年生の復習もかねて、よほどしっかり理解させたいという思惑があったのでしょうか。実際、たとえばコインを何度も投げて表の出る確率を経験的に求めた時、それは数学的確率である2分の1に近づきます。同じような内容を2年間かけて習っているともいえるわけです。
「同様に確からしい」
数学的確率についての「解説」に記述の中で(おそらく教科書の記述の中でも)、見落としがちなのが「同様に確からしい」という記述です。
この「同様に確からしい」とは、たとえばコインを投げたとき、とくに表が出やすいとか、裏が出やすいとか、そういう「偏りがない」ことを意味しています。試験問題などでは、「偏りがないコインを」などと表記することがあります。
コインが実際に偏りがない(つまり表が出る確率が正確に0.5である)ことを証明することはおそらく不可能でしょう。コインの裏と表では刻まれている絵図や文字が違いますから、どちらかがわずかに出やすいのかもしれませんし、もしかしたら、万が一、縦に立って着地するかもしれません!
とはいえ、そういうことを考えだしたらきりがありませんし、「こういう理由で表の方が出やすい」という根拠のある主張もできそうにありません。なので、「偏りがない」ということにして議論を進める、ということでしょう。
ギャンブラーの誤謬
中学校でこの言葉を習うとは思いませんが、「サイコロのどの目も、出る確率が6分の1なのだから、6回サイコロを振ったらどの目も1回ずつ出ると思う」のような誤解をしてしまう生徒はもしかしたら一定数いるかもしれません。あるいは、「コインを4回投げたら、表が2回、裏が2回出るってことですか?」みたいな。
これは、ギャンブラーの誤謬の一例です。
「同様に確からしい」場合を正しく数え上げる
「同様に確からしい」については、次のような誤解もあります。2枚のコインを投げたときに、2枚とも表が出る確率を「3分の1」と考えてしまう誤解です。どうしてこう考えてしまうのでしょう。
(1)表・表 (2)ウラ・ウラ (3)表・ウラ
どうでしょう。2枚のコインの裏表の出方は3通りしかありません。だから、「表・表」は3分の1の確率で起こるのです。
というのはもちろん誤りです。ご存知のように、次のように考えますね。
(1)1枚目:表、2枚目:表
(2)1枚目:表、2枚目:ウラ
(3)1枚目:ウラ、2枚目:表
(4)1枚目:ウラ、2枚目:ウラ
「解説」の小学校6年生のところに、観点を決めて数えるよう指導するとよいことが書かれていました。観点を決めるとは、「あるものを固定して考える」ということです。ここでは、1枚目のコインが表だった場合はどうか、と、1枚目のコインを固定して考える、次に、1枚目のコインがウラだった場合を考える、というようにです。
順序良く考える、とか、重なりやもれがないように数える、と言うスキルは、子どもにとってはそれなりに難しいことのように思います。