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夕立が降るたびに|桜林直子

◆桜林 直子(サクラバヤシ ナオコ) 
株式会社サクアバウト代表。クッキー屋の運営・企業のアドバイザー業務などを行う。noteにてコラム、エッセイなどを投稿。cakesにて作家の土門蘭さんと『そもそも交換日記』を連載中。2020年よりマンツーマン雑談企画「サクちゃん聞いて」を開始。2017年カンテレ(フジテレビ系列)TV『セブンルール』出演。2020年3月にダイヤモンド社より著書『世界は夢組と叶え組でできている』発売。

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Twitter:@sac_ring

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深く掘りすぎてヘンなガスでも出ているんじゃないかと心配になるほど地下深くを大江戸線は走る。仕事を終え、自宅の近所の保育園に向かう25分間は、仕事モードから家モードに切り替えるのに必要な時間だった。地下鉄の窓から見えるのが暗闇だけなのも、ワープ感があって、頭を切り替えるのに都合がよかった。

といっても、スピードモードからリラックスモードへの切り替えができるわけではなく、考える内容が変わるだけだ。保育園のお迎えの後にスーパーに寄って買うべきものがあるかどうか。帰宅してからつくる夕飯の手順。その他家事の同時進行のシミュレーション。頭を休めるわけにはいかない。

18時半のお迎えから21時の子どもの就寝までの2時間半のあいだに、ごはんをつくって食べさせ、洗濯をしながらちょっと掃除をして、お風呂に入れて寝かしつける。子どもが寝たらまた支度をして、片道小1時間をかけて職場に戻ることも少なくなかった(母が同居していたので問題はなかった)。

その日も、閉店後に各店のスタッフが集まるミーティングに参加するため、もういちど職場に戻らなければならなかった。

最寄駅から早足で(歩くのが速いのでほぼ駆け足の速さで)保育園に到着すると、時間内に間に合ったことと、娘のあーちんの顔を見たことで、ひとまず安堵する。保育士さんからその日の出来事などの報告を聞きながら帰り支度をし、あーちんは絵本を読みながらそれを待っていた。支度が終わっても、絵本を読み終わるまで「あとちょっと」「ちょっとまってね」と言うマイペースな彼女をしばらく待っていた。

キリがいいところで絵本を閉じて帰ろうとすると、わずかな間に外はものすごい勢いで雨が降っていた。雨粒が見えず視界がまっ白くなるほどの量で、雨は線ではなくカーテンのような面で降り、さながら滝の中のようだった。

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