【石原慎太郎追悼】父は最期まで「我」を貫いた 四男・石原延啓
看取った四男が明かす、父・慎太郎が遺した言葉/文・石原延啓(画家)
石原氏
生と死を書いてきた
「最後まで足掻いて、オレは思いっきり女々しく死んでいくんだ」
昨年12月半ば頃、病床の父はいつもより強い調子で言いました。
その日、親友の高橋宏さん(日本郵船元副社長、2021年6月逝去)の思い出話をしていたときのことです。高橋さんは幕末の剣豪で禅に通じた山岡鉄舟が大好きでした。そこで私は、こういう人もいるんだねえ、と山岡の最期について父に話を振ってみました。
胃がんを患った山岡は自分の死期を正確に予期し、最期の日に弟子や家族を呼んで座敷の真ん中で座禅を組んだまま絶命したといいます。
ところが、父にこの話は響かなかったようで、乗ってはきません。そして「オレは女々しく死んでいく」と。正直な気持ちであったと思います。いつでも本心を語りつつ、格好つけているのかいないのか。今振り返れば、最後の最後まで親父は石原慎太郎でした。
石原慎太郎
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