二人展《空はシトリン》|影山多栄子|白く、やさしい幻想
日常を生きていて、ふと「ここにはいない誰かさん」を思うことがある。
その「誰かさん」がほんとうに存在するのか、何者なのか——そういった問いはたぶん、あまり意味がない。でも、小さいとき「誰かさん」はいつも側にいて、もっと身近に実感していた気がする。
宮沢賢治『小岩井農場 パート9』は、こうした精神世界の友だちを唄った詩ではないかとわたしは思う。
影山多栄子氏はこの詩に現れる「ともだち」ユリアとペムペルを、人形作品としてみごとに表現されている。初夏に差し掛かる頃に降る