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東京にはまだ、訪れたことのない名曲喫茶がたくさんある。うっかりしているうちになくなってしまった場所もある。さみしい。 けれども金田アツ子さんの出してくれる昔ながらのデザート菓子は、いつまでたってもなくならない。遅くなってもいつも出迎えてくれる、わたしが来るより少し前の街の記憶。 * まるで塔のようにそびえ立つ色とりどりの花々。しかしそれは花器ではなく、デザートプレートに載せられてやってきた。 終わりもなく始まりもない純白の円形に、いつまでも褪せることのない菫色