東京バレエ団「ザ・カブキ」 10月14日感想
出演
男性主役が魅せる、日本バレエの新境地「ザ・カブキ」
男性主役のザ・日本バレエ! ストーリーが難しいとのことでしたが、初めは現代人の視点から入り込んでいくので感情移入しやすく、現代人と忠臣蔵事件の人物は服装や化粧、髪型も違うので登場人物の対比もわかりやすかったです‼️
現代人がタイムスリップして 忠臣蔵事件を目撃し、 塩冶判官の切腹のシーンを目の当たりにし 仇討ちのリーダーである家臣の由良之助として生きる決心をするというネットフリックスにもありそうなドラマティックストーリーに斬新な音楽、ダイナミックな振り付けのバレエ!
迫力と繊細さが交錯する群舞と宮川新大の圧巻ソロ
1幕最後の塩冶判官の切腹のシーンと主人公が仇討ちのリーダーである家臣の由良之助として生きる決心する場面は主演の宮川新大さんの7分30秒ものソロのvaがあるのですがあっという間に終わってしまい、終わった瞬間の拍手と歓声がすごかったです。インタビューで7分ですべての感情を出し切って一人で踊り切らないといけないとおっしゃっていたのだけど、切腹への憤り、失われた命への悲しみ、仇討ちへの葛藤や決意など凝縮された踊りでした。
2幕の義士たちが一斉に連判状に血判を押すシーンと雪の降りしきる中、四十七士の仇討ちシーン⚔️がこの演目の最大の見せ場でしたが、男性主役のバレエがまず珍しいのにこの男性群舞は本当に27名で踊られ、迫力と切れ味のある郡部が続き、新体操を思わせるような身体能力の高さ、配列の動きにも面白みがありとても素晴らしくて鳥肌がたっていました。
ベジャール作品の苦手な理由としてバレエでなく体操っぽくて内容の難しさにあるのだが、この四十七士の仇討ちの振付は本当に素晴らしかった!食わず嫌いですいませんでした🙇♀️
武士道と自己犠牲を描く、心揺さぶるクライマックスシーン
最後の夕日の中での三角形に並んでの一堂切腹は、実際の切腹シーンの流血云々のすさまじさを表現する演出はなくぐっと腹を刺し、静かに死を受け入れる様子は武士道の忠義と自己犠牲の物語として完結させる演出なのではと思いました。 宮川さんの由良之助は自分の腹の中に溜めこんだ多様な感情を昇華させたときの感無量のような感情を表現しているような死にざまでした。 カーテンコールでも涙ぐまれていたし、難しい役を踊り上げた感情ともリンクしているのかなと。
この時代の「仇討ち」単に復讐や仕返しというだけでなく、不合理を正す行いとして認められていたのでこの仇討ちが武士道の美談として描かれることが多いのだが最後の夕日に照らされた切腹姿シーンはやはり悲しかった。顔世御前が由良之助に仇討ちを辞めるように説得するPDDも金子さん演じる顔世御前の出す手足にも悲しみが表れているようでした。
東京バレエ団の皆さん、本当にブラボー👏🙌
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