普通のふりして生きてきた~ちょっと病気がちな奴が健康なふりをしている回想録⑨~
~前回のあらすじ~
アジフライは食っても食われるな
血が足りなくなってきた
※生々しい月経についての話題を含みます。苦手な人はご注意ください。
抗がん剤治療が終わり、二日に一回、朝に採血をして、血液の数値を見る生活に入ります。
それならば、先生に言わなければなるまい、この事実を……。
先生「おはようございますー。調子はどうですか?」
私「おはようございます。調子はいいんですが、生理が全然終わらないです」
そう、入院した四月七日から、月経は終わりを見せなかった。
生理の周期に個人差はあるものの、大体の健康な人であれば一週間で終わると思う。私は大人になるにつれてちょっと早くなって、三日目にはもうほとんど経血は出ない。それが、抗がん剤を始めてから、ぶり返した様に経血が途端に増えた。ナプキンから漏らしてベッドシーツを替えてもらったのも、一度や二度ではない。あんまりにも漏らすから、防水シーツとおむつを装備した。
先生「血液の血小板の値が低いので、それで止まらないのもあるかと思います。赤血球の値も低いので、今日から血小板と赤血球の輸血を始めていきますね」
血小板ちゃんと赤血球さんかあ……。(『はたらく細胞』の一巻を差し入れてもらって読んだばかり)
そういうわけで、血小板と赤血球の輸血を交互にしていく事になりました。
先に血小板到着。
看護師さん「たまにアレルギー反応が出る人がいます。どこかかゆくなったりしたら、すぐに教えて下さい」
私「はーい」
血小板ってこんな色してるんだなあ、と、黄色になっている点滴パックを見て思う私。
……15分経過……
看護師さん「問題ないですか?」
私「ないでーす」
看護師さん「じゃあ、落ちるのをちょっと早めますね。何かあったら呼んでくださーい」
……30分経過……
……ポリポリ
……ポリポリ
……ポリポリポリポリ…………ハッ!!
無意識で頭とか体とか掻いてたけど、これってもしかして、かゆい(=アレルギー反応)のでは!?
落ち着け! 本当に痒いだけなのかもしれない……。もうちょっと様子を見てみよう。
……ポリポリポリポリ……
……駄目だ、背中まで痒くなってきた! 輸血いつ終わるのかな。
あー……もうすぐ終わりそう……。もうちょっと我慢して、かゆみ以上の症状が出てきたらナースコールしよう。
……10分経過……
……スーッ、ヒューッ……
ん? なんか呼吸が喘息っぽくなってきた。こりゃあ、ナースコールだな。
落ち着いてナースコールを押した時の私の脚には、湿疹が。
背中は多分、これより酷かった。見えなくて良かった。
その後看護師さんが来てくれて、点滴を一旦中止して、おちついてからまた再開。そんなことを何日か繰り返していたある日。
看護師さん「今日も血小板輸血を始めます。前みたいに、アレルギーが出たらすぐ教えて下さい」
私は油断してた。輸血を初めて看護師さんが出て行ってから、あ、トイレ行きたい、と思い立って、トイレに立ってナプキンを替えて、洗面台に行って手を洗った。この時にちょっと動いたのも原因の一つだと思う。素人目だけど。
気づくと、湿疹が顔にまで広がり、鼻腔が狭まって呼吸が難しくなってきた。これはナースコール連打。
一人目の看護師さんが入って来てから、先生を呼んでくるまでの騒ぎになり、ちょっとバタバタし始めた。
『バタバタしていた』という事しか分からなかったのは、湿疹が広がって瞼が開かなくなったからである。
「落ち着いてー、口で呼吸してー」
鼻で呼吸が出来なくなっただけで、えらいパニックになった。普段口呼吸なんてしない私は、絶対に海に入ってはいけない人種だと思う。
その後お医者さんや看護師さんが入ってきて、鎮静剤(多分)を打って一応酸素マスクをしたところで、一瞬意識が途絶えた。再び気が付いた時には、呼吸が少し楽になっていました。
アレルギー反応って初めての経験!!こいつぁ怖いな!!
これがあってから、血小板輸血の時はアレルギーリスクの少ない洗浄血小板を使う事になりました。今度は白い血小板だ。それを使ってから、アレルギー反応は出なくなりました。
次回、「ハゲの洗礼」にご期待ください!
神からの投げ銭受け付けてます。主に私の治療費や本を買うお金、あと納豆を買うお金に変わります。