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睦
2016年2月23日 17:06
絵里ちゃんは泣きながらぼくを見た。 もう嫌、もう嫌って言いながら、首をぶんぶんと振る。かわいそうな絵里ちゃん。 ももいろのほっぺを涙でぬらし、雫はぽたりと毛布へ落ちる。やわらかい髪にも白い指にも、絵里ちゃんのそれがべったりとついていた。 ぼくは何もできず、そのきれいな泣き顔をながめるだけ。 ああ、かわいい。世界でいちばん、絵里ちゃんはかわいそうでかわいい。 窓の外は騒がしかった。