22年11月18日の話
秋
暖かい日差し
心地良い揺れ
イヤホンから流れる抑揚のない音楽
手の中にある文庫本
お行儀良く並ぶ活字
やっぱり秋
学生時代、1時間半かけて大学に通っていた
私の電車のおともは本と睡眠で
大抵は寝て過ごして、眠くない時は読書をしていた
就職して電車に乗っている時間がたったの3分になってからは電車で本を読む事が殆どなかったけど、ここ最近の病院通いで久し振りに電車で読書をした
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秋、揺れる電車、暖かい日差し
読書をするなら電車が一番好きかもしれない
いや、秋という季節に走る電車でする読書が一番好きなのかも
カラッとしていて、抜けるような空の青さが
背中を温める太陽が
首を掠める冷たい風が
紙と、インクの香りが
全てがうまくいくような気さえしてくる
小説の中の男は、夢と家族と仕事を失ったけど
私とは関係のない事
そうはっきりと思えてしまうほどの
気持ちの良い秋
この瞬間を忘れずにいたい