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神とお産と人の営みと…③

梅干し効果…???

たっつんが鼓膜が破れるんじゃないかとばかりに『買って!!!』と主張された梅干しが届きました。

種まで食べられるというその梅干しを種までばりばり食べながら2日、3日ほど経った頃。
みのりんはお腹の異変に気付く。

それはお腹でお腹を何気なくもにもにした時だった。

ん?んん?んんんん???
なんかお腹柔らかくね?

これは脂肪なのか?
それともまさかの梅干し効果で子宮が柔らかくなっているのか指がもにーんとお腹にめり込むくらいに柔らかい。

『これは…脂肪???』
『脂肪がつくような食べ方してないでしょ。』

そう言ってたっつんがお腹をもにもに触って確認。
やっぱり柔らかくなっているようで、『うん!つるすっぽんお産へ快調!』とニコニコしていた。

梅干しの酸味が効果を発揮したのか、それとも他の食材との相乗効果か。
もにもにになってきた子宮の中でお腹の人も動きやすくなったのか、意思表示をお腹をぎゅーーーーーんとして示すことが多くなった。

うーん。
元気だな、この人。

ぽいん!とお腹を叩けば振動が伝わってお腹が震える。
面白くてぽいん!ぽいん!とやっていたらお腹の人から『やー!』と言われた。

ごめんごめん。
もうしない。

お腹の人の言うことにゃ。

実はみのりん。
お腹に人がいると分かった瞬間にお腹の人の声は聞こえていたんだよね。
今となってはお話しできるけど、マタニティブルー真っ最中の時はその声を認めたくなかった。

それはお腹に人がいると分かってすぐのこと。
みのりんはお風呂の中でしくしくしくしく泣いていた。
涙は止まらないし、鼻血は出てくるし、鼻水で呼吸はとても苦しい。

そんな時に聞こえて来たのがお腹の人の声だった。

(大丈夫だよ。
ちゃんとお母さん、守りに行くよ。)

そんなこと言われても、もうどうしようもなくてもっと泣いたし(笑)
お腹の人はもっと困っていた。

お腹の人がお腹にやってきた2ヶ月とちょっと。
少し体調はいつもと違うかな?と感じてはいても、お腹に人がいると感じることが出来ないくらいにお腹の人は息を潜めていた。

つわりもなく、ずっと静かだった。

ただ夜中に全部の服を取り替えなければならないくらいに体が熱くなって汗が止まらない。
そんな夜が3日ほどあった。
きっとあの頃にお腹の人はやってきたんだろうと思う。

お腹の人は私がすごく怖がりだと言うことを知っていた。
だからこそ、とっても気を遣っていたと思う。

noteに既に記してある通り、私はこれまでの自分の人生の経験から自分が子供を産んで母になれば、自分自身や周囲の人はおろか、産まれてくる子供さえ不幸になると無意識レベルで思い込んでいた。

だから、お腹の人に言ったの。
私は自分の不幸にしたくないから人生を諦めたくないから、あなたが自分の人生を諦めてって。

(それは嫌だ。
もう僕はお父さんとたくさん遊ぶって決めてるし、お母さんをたくさん守ると決めてるし、たくさん色んな所に行くって決めている。)

私が自分の人生を譲らなかったように、お腹の人も自分の人生を譲らなかった。
だから、自分の人生を譲らなかったお腹の人だからお腹の人は何があっても大丈夫だと無条件に信じられる。

『お前さんにそっくりじゃのぉ。…自分の人生を譲らんとことか諦めんとことか特にのぉ。』

デレデレじゃねぇか!!

イザナギのおじいちゃんがそう言うからなんとなくむー…と思うし、お腹の人はやっぱりコロコロ笑っていた。

モニター越しのやり取り

お腹の人はたっつんにもみのりんにも話しかけてくるけれど、モニター越しにもコミュニケーションを積極的に取る子だった。

産院でモニターに映る時は絶対に動く(笑)

『今日は顔隠してるね~。
まぁ、これは赤ちゃん次第だから仕方ないね~。』

2回目くらいにまだ複雑な心境でモニターを見つめているみのりんの前でお腹の人はまたピヨピヨしていた。
でも、顔は腕で隠れている。

先生は顔を諦めて他の部位の確認を始めた。
顔を隠してるという先生の言葉にもそりゃそうだよねそんな時もあるとお腹の人もそういう気分なんだろうなーと思って見てた。

でも。

お腹の人が先生の声を聞こえていたかは知らないけれど、また顔をモニターに映された瞬間すっと手を下げたのだ。
モニターに映る顔立ち。

『お、見せてくれたねぇ。』

すかさず顔を映す先生の前で私は絶句していた。
こいつ、空気読みよった。
そして私は確信する。
すごく空気も読むし気遣いしいで、今は私の心の荒れ模様にじっと息を潜めているんだ。

(なんか…ちっちゃい頃の自分みたいだなぁ。)

妊娠って不思議。
自分以外の人間が自分の体の中にいる。
それだけで自分の人生の棚卸しが始まって、なんか色々と向き合うことになる。

正直、胎内記憶系の話は敬遠していた。
信じたい人が信じればいい。
そんなスタンス。
産まれてくる子達のことそっちのけで、生きている人間側が勝手に解釈して勝手に盛り上がるなよ…そんな状況もあるにはあったから。
もちろんそうじゃない場面もたくさん知っている。

そんなこんなな私が今は胎内記憶すれすれの話題をnoteに書いている。
全くもって人生ってよく分からない。

それぞれが自分の妊娠や出産や…早く言えば存在にその都度向き合って、それぞれが自由な答えを出していける世の中であればと思う。
きっとそれどころではない人も、それ以前の人もたくさんいるだろうから。

(お散歩楽しいっ!)
(辛いの面白い♪)
(お父さんみたいに髪を伸ばすの。)

今日もお腹の人は元気。

『なんで君はここに来たのかねぇ。』
もっとすんなり受け入れてくれる所はたくさんあっただろうに。
やさぐれ妊婦はそう思った。
(2人が旅している所を見て自分も行きたいって思ったの。たつみのりキャラバン!僕も行く!)
『それはそれは…。』

たっつんとみのりん。
車1台で日本を巡る不思議旅たつみのりキャラバン。

君って実はたつみのりのファンだったんだね。
『そりゃあここ来ちゃうかぁ~…。』
神とお産と人の営みが交わる不思議なやさぐれ妊婦の日々は続く。

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見えない世界の媒介人みのりん
リアルな見えない世界の体験を綴ろうと思っています。自分が感じた感覚をそのままに。私の大切にしたい世界が伝わることを願って。見えない世界も大切にしたいと思う方はサポートしてくれると嬉しいです。

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