ガザの停戦協議について。

 2024年8月15日、ガザの保健当局は一連の衝突が始まった昨年10月以降、死者が4万5人に上ったと発表した。そのうち約70%は女性や子供であり、無差別攻撃による民族浄化とみなされる。
 同日は停戦についての協議が再開され、79回目のわが国の終戦記念日と重なった。これまで保健当局の発表に対して、イスラエル側は誇大発表だと主張しているが、ガザ地区でパレスチナ難民を支援する国際連合からは異論はなく、諸国も大筋でこれらの発表を認めている。
 1週間前の8日米国、エジプト、カタールは、イスラエルとハマスとの停戦や人質解放の交渉について、すべての当事者の期待に沿う形で交渉の最終案を提示する用意があると共同声明を出した。
 双方に対して協議再開を呼び掛け、カタールのドーハで15日から16日まで交渉が続けられた。しかし、ハマスは協議に参加せず、後で仲介国の担当者と交渉を行う予定である。
 米国は今回の協議は順調なスタートを切ったとしている。停戦合意がまとまれば、10カ月にわたるガザでの紛争がイランを巻き込んだ全面的な地域戦争に発展するのを阻止する鍵になるが、実際には停戦の突破口にならないという予想が強かった。今回も双方の言い分の溝が少し埋められた程度であり、来週にエジプトの首都カイロで改めて協議が行われる予定である。
 米国が本気で仲介すれば停戦は成立するが、本当にまとめる気があるかどうか疑わしい。米国は歴史的な経緯から中東諸国の信用が低く、さらに信頼が薄まっている。米国はガザ問題についてどう対処すべきか分からず、これまでに何度も停戦を提案してきたが、口先だけで一向にまとめようとする様子がなかった。
 これは政治的な事情によるものであるが、議会において常に軍産複合体はロビー活動を活発に展開しており、国民の意思とは関係なく、政権は戦争を仕掛けたり、継続を余儀なくされる。そのため、あらゆる紛争や戦争では米国の兵器が使用される。
 これらの事例の一部を挙げると、ベトナム戦争、イラク戦争、アフガニスタン紛争、シリア内戦があり、ウクライナ戦争を含めてガザ戦争も同様である。イスラエルロビーの活動は最も強力で、ユダヤ社会からの献金も多額に上る。
 したがって、米国とイスラエルは極めて密接な関係にあり、米国はイスラエルを守る必要性がある。中東においても、何事につけイスラエルに味方し、有利に運ぼうとする。このため、民族意識の強い中東諸国の同意を取り付けるのは難しい。

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