ミズノ ケイスケ

引退した医療関係者です。医学・医療の話題を中心に取り上げ、微力ながら社会に貢献していく…

ミズノ ケイスケ

引退した医療関係者です。医学・医療の話題を中心に取り上げ、微力ながら社会に貢献していくつもりです。誤った記述、誤字、拙劣な文章表現などご教示、ご指導を賜れば幸甚に存じます。

最近の記事

医学部の入学定員について。

 わが国の公共サービスへのニーズは増大し、多様化している。このような社会状況の変化を背景に、複雑かつ高度化した行政に対して、単純で明快な透明性の高い運営が求められる。  税制、保険、医療などはじめ諸制度は、IT化の進歩によって書類の作成や資料の検索、解析が効率的になり、外部に発注する仕事も多くなった。その結果、書類の分量は増え、行政システムも複雑化した。  本来、行政機関が公表する文書や資料は、義務教育のレベルでは理解できるものでなくてはならないが、しばしば高等教育を受けた人

    • 衆議院選挙の官僚への影響。

       自由民主党の総裁交代と解散により、2024年10月27日に投開票が行われた今回の選挙で、自民・公明両党の連立与党は大敗し、過半数を割った。  その瞬間、官僚たちの顔色が一変した。少数与党では政権運営が困難となり、野党の影響力が増大し、政治が不安定化し、法案成立にも支障が出るようになる。官僚の負担が増え、政策実行に時間がかかり、迅速な対応が求められる場面での遅滞が懸念される。  これまでのメディア報道は氷山の一角に過ぎなかったが、それ以上に政官財の癒着、縁故主義、旧統一教会、

      • 選挙結果に対する経済三団体の反応。

         2024年10月27日に行われた衆議院選挙で、自由民主党と公明党の連立与党は過半数割れの惨敗を喫したが、政権交代までには至らないようだ。この状況を見た経済界からはまるで他人事のように、政治空白を生まず、安定した政権運営を求める声が相次いだ。  今回の与党が敗退した理由の一つには、パーティ券による裏金問題を含めた企業献金の問題があり、経済界や業界にも大きな責任があった。企業献金は政治と経済界の癒着を象徴する問題で、国民の信頼を大きく損なっている。とくに選挙前に明るみに出た一連

        • 食品の値上げとその影響。

           2024年10月には、今年最多の2900品目に及ぶ食品の値上げが実施された。これは原材料費の高騰や輸送コストの増加が主な原因とされる。しかし、現在の状況を考えると、価格転嫁は終了しており、為替相場も安定しているため、値上げの理由は見当たらない。  22年から度々行われてきた一斉値上げの背景には、景気が悪い中で消費税の増税を持ち出す訳にはいかなかった。この10年間に14年4月と19年10月の2回消費税の増税を行った上に、さらに増税を行うと、低支持率に喘ぎ続けた岸田政権はたちま

        医学部の入学定員について。

          わが国の住宅市場の一端について。

           住宅問題は賃金上昇の停滞と賃貸料を含めて住宅価格の高価格という二つの主要な課題に直面してきた。この状況は都市部と地方の双方で異なる形で表れているが、少子化による人口減少の一因と言える。  全国の都市部、とくに東京23区では新築分譲マンションの価格が飛躍的に上昇しつつある。不動産経済研究所のデータによれば、2023年の平均価格は1億1483万円に達し、高給の共働き夫婦でも容易に手が出ない。  この背景には土地の供給不足や建築コストの上昇、投資需要の高まりなどがあり、また住宅ロ

          わが国の住宅市場の一端について。

          街中の公園のベンチで。

           そこには話し相手だった高齢の知人たちの面影が残っている。今夏の3ヶ月に及んだ連日、連夜の猛暑による異常な暑さは、仲間10名ほどのうち3人の命を奪い、将棋グループを解散させた。  元々、10人に一度に集まることはなく、入れ代わり立ち代わり、毎日6、7人が集まった。左官屋や襖屋などの職人もいなくなり、酷暑を切っ掛けに来なくなった人もいて、グループは解散となった。80歳を超えると、急速に死亡する人が増えるという印象を強めた。  彼らは80歳前後だったが、この年代の生活状況をみると

          街中の公園のベンチで。

          ODAの実態。

           政府開発援助(ODA)は、表向きには発展途上国のインフラの整備や経済発展、福祉の向上を目的としているが、その実態は援助国が経済的、政治的利益を追求する手段として利用する場合も少なくない。  2022年の実績は2兆2968億円に上り、経済協力開発機構(OECD)30カ国中、米国、ドイツに次ぐ3位を占めた。この数字は我が国が国際社会において果たしている役割の大きさを示すが、その背後には援助依存の醸成や透明性の欠如などの課題がある。  ODAは大きく二国間援助と多国間援助に分けら

          ノーベル平和賞と核兵器廃絶の意義。

           1956年(昭和31年)、長崎で開催された第2回原水爆禁止世界大会で、被爆者の全国組織として結成された日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)は、2024年にノーベル平和賞を受賞した。これは核兵器廃絶という人類共通の課題に対する取り組みが国際的に評価された結果である。  第二次世界大戦終結後、病苦と貧困、そして差別に耐えながら静かに生きていた原子爆弾の被爆者は、1954年のマーシャル諸島ビキニ環礁の水爆実験による第五福竜丸(静岡県焼津市)の被災をきっかけに、本格的な運動を立

          ノーベル平和賞と核兵器廃絶の意義。

          道路工事の謎。

           現代社会においても解決されない問題の一つである。公共事業、とりわけ道路工事に対する批判は根強く、その必要性や効果について多くの議論を呼んでいる。現代ではインフラが整備され、人口減少が急速に進む中で、道路の建設や整備が地域経済にとって無駄であると考える人が多い。  地方都市では同じ場所での繰り返しの補修工事や道路拡張、実際には使用されていない歩道や橋の建設が行われている。これらの工事は税金の浪費として見なされることが多く、愛知県瀬戸市や秋田県能代市、島根県太田市など全国のあち

          物産展について。

           秋の物産展は、地域の特色を活かした食材や商品を提供し、新しい発見や楽しみを提供する。現地に出かけなくても、実際に旅行に来たかのような雰囲気を催し、多くの客が集まる。最近のトレンドとしてイートインスペースが設けられ、ラーメンや寿司など出来たての地元の味を楽しむこともできる。  最も多く対象となるのは北海道で、経済振興の意味もあるだろうが、北海道物産展は全国の80%の百貨店で行われている。次いで沖縄県、鹿児島県の順で人気がある。近年は自然災害からの復興支援イベントとして企画され

          物産展について。

          危機に直面する飲食店。

           2020年に新型コロナウイルス感染症のパンデミックのため、世界は未曽有の経済的打撃を受けた。国内においても、その影響は甚大であり、とくに飲食業界は大きな痛手を被った。  24年に入って、経済は回復基調にあるが、飲食業界は依然として厳しい状況に直面している。1~9月の倒産件数の650件で、前年同期比で16.5%増加した。このままのペースで推移すると、通年の件数は過去最多の20年の780件を上回って870件前後となる。  そのため業界では緊張感や不安感が高まっている。これには新

          危機に直面する飲食店。

          物価高騰と消費者行動の変化。

           2022年以降、世界的なインフレーションの波が押し寄せる中、そこへとんでもないことに、わが国はデフレ脱却の御旗を掲げた。しかし、これが予想外にインフレを加速させ、国内では物価の異常な高騰が続いている。  すでに何回も一斉値上げを行ったことから、とくに価格を引き上げる理由は見当たらないにもかかわらず、24年10月は災害と言える最大の規模の値上げとなった。多くの家庭はさらに節約と賢い消費を強いられ、それには相応のエネルギーと時間が必要となった。  今月27日に解散による衆議院選

          物価高騰と消費者行動の変化。

          袴田事件について。

           1966年に静岡県で起きた一家4人の殺害事件は、わが国の司法史において重要な節目となった。袴田氏が犯人として逮捕され、死刑判決を受けたが、その後の再審で無罪が確定した。  この事件は冤罪が疑われる中での長期拘禁と、それに対処する法的手続きの重要性を明らかにした。その過程で、刑事司法制度の改革の必要性を示し、公正さと透明性と精度を高める議論を盛り上げた。  事件の概要は66年6月30日未明、静岡県清水市(現 静岡市清水区)で、味噌製造会社の専務である男性と家族が殺害され、自宅

          袴田事件について。

          イランの核関連施設への攻撃の可能性。

           中東地域は複雑な歴史と政治的緊張により、長年にわたって世界の注目を集めてきた。とくにイスラエルとパレスチナ間の紛争は、国際連合はじめ国際社会における重要な焦点となっており、この地域の安定と平和を目指した取り組みが続けられているが、一向に出口が見えない。  2023年10月7日、ガザでのイスラム武装集団ハマス派に対する大規模戦闘が始まってから1年が経過した現在、イスラエルはレバノンのヒズボラ派やイエメンからのフーシー派の攻撃に直面している。またイラン、エジプト、シリアとの小競

          イランの核関連施設への攻撃の可能性。

          石破氏の首相就任。

           2024年10月1日、第214回臨時国会で衆議院と参議院の両院で首班指名選挙が行われ、自由民主党の石破総裁が第102代内閣総理大臣に選出された。当日、新内閣は皇居での総理大臣の親任式と閣僚の認証式を経て、午後8時すぎ正式に発足した。  総裁選後の同氏の言動の変化は、政治的な波紋を広げた。当初は早期解散に慎重な姿勢を見せていたが、9月30日には10月15日の公示と10月27日の投開票で解散総選挙を行う意向を示した。  野党は臨時国会の会期を巡って反発し、本会議の開始が30分近

          石破氏の首相就任。

          江藤新市長の挑戦。

           福岡県大川市と言えば、木工業の一大生産地で、デザイン性が高い「家具のまち」として知られる。人口は一時5万人を数えたが、現在は約3万人で、一般予算は190億円程度で、佐賀市に隣接し、独立した経済圏を形成するが、近年、家具の生産は縮小しつつある。  2024年9月29日に行われた市長選挙では、政治の経験のない77歳の新顔の江藤氏が、3期目を目指した47歳の現職市長の倉重氏を破った。当日の有権者数は2万6848人で、投票率は60.8%で、江藤氏は8380票、倉重氏は7801票を獲

          江藤新市長の挑戦。