景気についてここだけの話。
景気の減速に溜息が漏れる。理由は言うまでもないが、賃金は増えず、急速な物価高によって、大きく家計を圧迫し、個人消費は極度に低下した。労働者や年金生活者は生活必需品を切り詰めなければならなくなった。
個人消費はGDP(国内総生産)の6割を占める。わが国の賃金は他の主要国より低いだけに、インフレ率は低めでも家計へのインパクトは極めて大きい。これまで30年間経済は低迷し、この3年間はコロナ禍によって、さらに痛めつけられ、2月のロシアのウクライナ侵攻以後急激な「悪いインフレ」が加わり、一段と景気は悪化した。
こうなったら、「分配なくして次の成長なし」で、国民への分配を図り、消費を高めるために物価高をきれいさっぱり解消し、個人消費を増やす。これがなかなか難しく、簡単にはできない。
というのは、この10年間超金融緩和をとり続け、これ以上の金融緩和を継続すると、国の借金が増大する。それにも構わず、国民救済のために続けるのも一考だという意見もある。一方、金融の引き締めは利子が増え、企業の倒産を招き、国民の生活は一段と悪化する。
いずれにしても救いようがなく、にっちもさっちもいかない。しかし、物価は上昇し続ける。そうなると、このまま手をこまねいていては、大恐慌に陥る可能性が高く、テレビ出演などお呼びがかからない思慮分別のある専門家や見識者はこのその現実の到来を警告する。
来年には円安が是正され、物価は下がる、そういう楽観論もある。円安になる根拠が分からないが、一度上昇した物価は元の水準には戻らない。むしろ、わが国の衰退した経済状態を考えると、長期の視点では1ドル200円とか300円になる可能性がある。
またわが国の輸出依存度は13.7%である。海外需要を取り込むのではなく、国内需要を高めることが重要で、円安とか円高などと騒ぐよりも、外国の影響をなるべく少なくし、今後は鎖国をするくらいの勢いで、輸出依存度を低める覚悟でいく。
現実的には金融を引き締め加減で、利子は据え置き、物価は半額程度まで引き下げる。今のところ成長はあり得ず、分配に徹する時期で、それでは金が足りなくなる。そのためには516兆円の企業の内部留保と1072兆円の個人の預金額を利用して、不足分を補う。
公的年金の支給額は、物価や賃金の動きに応じて毎年度改定される。来年度の公的年金額の改定で、3年ぶりに給付を抑制する対応(マクロ経済スライド)が実施される公算が高い。物価の上昇を受け、年金額と賃金は引き上げられても、物価上昇ほどは伸びず、実質的な価値は目減りする見通しだ。物価高騰が続く中、さらに厳しい家計になりそうだ。
言いたい放題になったが、経済など番外地の素人の無駄話にすぎない。