国家公務員の給与について。
かつて、国家公務員は国民に奉仕する立場として、民間企業と比べると非常に低かった。現在では給与は大幅に改善され、民間企業と比較しても好待遇を受けるようになった。人事院が2023年8月に発表した「国家公務員給与等実態調査」によると、全職員の平均給与月額は約41万3千円であった。
これには残業手当を含まないため、実際の平均給与はさらに高額となる。また内閣官房内閣人事局の「国家公務員の給与(22年版)」によると、年間賞与は4.4カ月分とされ、これらを加えて単純に計算すると、平均年収は約677万円に跳ね上がる。
民間企業と比べると、国税庁の「民間給与実態統計調査」(22年)によれば、民間の平均年収は389万6千円であった。このデータを基にすると、国家公務員の平均年収は民間の平均年収よりも74%も高いことが分かる。これは非常に大きな差であり、国家公務員の待遇がいかに恵まれているかを示す。
また国家公務員の給与によると、本省課長(50歳)のモデル年収は、1260万円となっている。一方、厚生労働省「賃金構造基本統計調査(22年)」によると、民間企業の課長の平均年収は784万円、部長でも913万円である。本省の課長を務める官僚は、民間企業の部長より年収が38%も高額である。
国税庁の年収統計には非正社員が含まれており、非正社員の比率が高まるとともに、平均年収は1996年の411万8千円がピークで、直近では5.3%も減少している。国家公務員の月給はこの間の人事院勧告の給与改定率を積み上げると+0.27%で、全く減っていない。
ここまでは2025年1月28日原発不明がんで亡くなった経済アナリストの森永卓郎氏(67歳)の著書の一つ「官僚生態図鑑」(三五館シンシャ)からの引用である。同氏は東京大学経済学部の出身で、1980年に大蔵省(現 財務省)が管轄する日本専売公社に入社し、元経済企画庁を歴任したが、88年に国家公務員を退職した。
その後獨協大学の教授を務めながら、エコノミストとして活躍し、森喜朗政権の頃から、日本銀行および財務省の政策を一貫して批判した。亡くなる直前までメディアに出演し続け、経済の行方に多くの警鐘を鳴らし続けたフル回転の人だった。
優秀な人材を集めるには高給が必要かもしれないが、結果に対する評価も同時に必要である。第一に国民に不親切で、わが国の国力の低下を考えると、給料が低くなるのは当然である。
国も地方も公務員の大半は、怠惰で能力も並の平凡な人で、それだけに彼らはやたらと権力を振るいたがり、威張りたがり、恣意を振る舞いたがり、定年後は天下りをしたがる。その証拠に災害時や緊急事態でも、公務員が忙しく働く姿を見たことがなく、目につくのは協会やNPOやボランティアの人々ばかりである。近年は災害予報などが早く察知できても、待機はしていても。事前に防止対策を打つ様子は乏しい。
公務員のコネ入職などもってのほかで、働く意欲がないなら退職してもらい、優秀な人材に入れ替える。また霞が関の官僚たちは大した給料でもなく、長時間働いていると言いたいかもしれないが、その中には省益や私益、あるいは自分たちの老後のご褒美である天下りの整備も含まれている。
とくに天下りは政府の基金団体だけでなく、民間にも社外取締役としての兼任が広がっており、そういった企業にも多額な税金が投入されている。退職後に威張って顔を利かせるだけで、年間数億円の報酬を得ている者もいる。
公務員は国を不当に運営してきたと主張し、縮減にまい進するトランプ大統領は、連邦職員約230万人のうち最大10%の削減を目指している。わが国の行政にも英断が必要と思われる。