高齢社会対策大綱について。

 2024年9月13日に閣議決定された新しい大綱の基本的な考え方は以下の三点である。1.年齢に関わりなく希望に応じて活躍し続けられる経済社会の構築、2.一人暮らしの高齢者の増加等の環境変化に適切に対応し、多世代が共に安心して暮らせる社会の構築、3. 加齢に伴う身体機能・認知機能の変化に対応したきめ細かな施策展開・社会システムの構築である。
 わが国は上記の状況から遙かに遠く、大綱の細部には多くの問題が存在し、そんな社会が実現するとは思えない。例えば、75歳以上の後期高齢者の医療費に関して、年齢にかかわらず能力に応じて制度を支え合う視点から、窓口負担を3割とする対象範囲の拡大が検討された。
 政府は高齢者いじめと思われるほど、窓口負担金を値上げすることに躍起になっているが、医療や介護、調剤、製薬業界などには無駄が多く、整理、節減を要する点も多々ある。また人口が減少したために、医師数や病床数など過剰となった体制や施設もあり、国民皆保険料の未納者に対する支払いも促進する。
 医療費などいくらでも支払える能力のある富裕層の高齢者は3割負担でも構わない。しかし、75歳ともなれば、これまで国に対して十分に税金や保険料の支払い、国民として十分な責任を果たしてきた点から、「国の宝」として扱い、医療も介護も保険料は免除にし、負担金も無料にするのが、高齢者に対する報いる待遇である。
 政府は財政が厳しいと言うが、公共事業、都市の再開発、地方の活性化、五輪大会、万国博覧会、カジノ施設の設置などの無駄が多い中で、一方で全世代型社会保障などの謳い文句で高齢者に重い負担を課している。
 歴史は順送りで、若い世代の今があるのは、現在の高齢世代が国の貧しい時代に重い労働と負担に耐えてきたことによる。為政者はこの点を良く考量し、若い世代に対して希望のある体制を構築する必要がある。
  現在、75歳以上の窓口負担は原則1割で、一定の所得があれば2割、現役並みの所得があれば3割となっているが、いちいち細分化する必要はない。官僚はよほど暇と見えて、こんなちまちました規則を作って、高齢者にとっても大変息苦しい世の中を作った。
 高齢化の進展により、一人暮らしの高齢者の増加が見込まれている。望まない孤独や社会的孤立に陥ることを防ぐため、居場所づくりやコミュニティ活動の推進が必要で、また身元保証サービスを提供する事業者とのトラブル防止のため、適正な事業運営を促すことも重要であるという。この程度のことはわざわざ新しい施設や体制を作る必要はなく、地域の保健福祉センターが対応すれば済む話である。

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