産後太りかと思ったら、臍ヘルニアを発症していた話。

産後は、ふくらんだ子宮が元に戻るまでお腹がぽっこりするものだ。私の場合、産後3ヶ月後の傷の確認で「子宮はきれい」と医者に言われ、よかったよかったと安心していた。ただ明らかに、その時点でもぽっこりお腹が出ていた。

心当たりはあった。深夜の授乳や細切れ睡眠の日々を乗り切るべく、ハイチュウやキャラメル、一本満足バーのような栄養食品(ほとんどお菓子だが……)をけっこう消費していたのだ。加えて夫が、東日本では手に入らない「カール チーズ味」をわざわざ箱で取り寄せてくれた。これはテンションが上がった。

妊娠中と違い、もう食事制限はしなくていい。どうせ今だけだしと状況に甘え食べていたら、明らかに出産直後より太ってきた。外に出るのは娘を連れてのお散歩程度。運動もしていないのだから、そりゃ太るのは当然だ。

お菓子の消費量は減らしつつも、わりと自分に甘い生活を送っていたら、おヘソがデベソになってきた。妊娠中はデベソにはならなかったので「ここまで太っちゃったか……」と反省していた。お腹を触ると、もちろん肉も付いているのだが、なんというか臓器があるのを感じる。そして痛いとまではいかないが、少し違和感がある。

あとから思えば、このタイミングで一度病院に行っておけばよかったのだ。しかし娘中心の生活、さらに単なる産後太りだと思っていたため、病院に行くという発想はなかった。

産後1年が経過した頃。寝っ転がっていると娘がよじ登ってくるのだが、お腹に登られると「あいててて……」と感じるようになった。そしてある日、夜中に強めの痛みを感じたが、ちょうど翌日に生理がきたため生理痛だったかと思い込んでしまった。

そして産後1年1ヶ月を目前に控えたある日の夜。お腹がジクリジクリと痛く、そして吐き気もある。前回痛みを感じた際は横になっていれば治ったが、30分ほど経っても楽になる気配がない。スマホで調べたところ「臍(さい)ヘルニア」という症状がヒットした。そこで深夜だったが夫に娘を預け、タクシーで緊急受診。看護師さんに「痛みの程度は10のうちどれくらい?」と聞かれ、産後に血腫できたときが10だったな……と思いつつ、「7〜8くらい」と顔を歪めて答えた。

診断の結果、臍ヘルニアと確定。CT画像を見せてもらったら臍の部分がぷっくり出ていて、いわゆる「嵌頓(かんとん)」という症状を起こしていたそうだ。処置を受け、その晩は帰宅。そして翌朝に改めて診断を受けるのだが、朝くしゃみをしたら再発したらしく、もう緊急入院して翌日手術したほうがいいとの話に。入院準備の心電図計測で横になり、起き上がろうとしたら再再発。これは確かに日常生活が不安すぎる。この日はたまたま夫が休みだったため、無理を言って勤務調整してもらい、どうしても休めない日は義両親の力を借りることに決定。一旦家に帰って荷物を準備し、即日入院することになった。

ここで妊娠中に使っていた骨盤ベルトの存在を思い出し、お腹にキツめに巻いてみたら大正解。手術まで再発することなく過ごすことができた。持っててよかったトコちゃんベルト。

手術は1時間半程度で、全身麻酔(+硬膜外麻酔)だったため全く覚えていない。いまは快復に向けて療養中の段階だ。帝王切開もこんな感じの痛みなのかな、と想像している。

振り返り。
・産後太りとはいえ、デベソになった時点で普通ではない
・痛みを感じたことがあるというだけで受診の理由になる
・もし夫がいない時間帯に強い痛みがきていたら……と思うとゾッとする。たぶん娘を連れて救急を受診する発想はなかっただろう
・小さい子供がいるなど、自分を後回しにしがちな人ほど身体の状態には気をつけたほうがいい。倒れてしまったら家族が倒れることになる(実際、夫と義両親には相当な負担をかけた)

いまは自治体で健康診断をやっているところもある。そういうサービスを積極的に活用し、「気になる点」として医者に相談するのもいいだろう。その結果、なにもなければそれでいい。家族を守るためにはまず自分を守る必要があるのだ、と痛感させられた出来事だった。

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