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kiyofico
勇気を出してカレー
カレー食べた。
1辛だったのに辛かった。
勇気を出して普段行かない店で食べたのに辛かった。
辛すぎて口から火が出た…。まずい。消防署に行かないと。
消防署の方達は優しかった。
私の口から出る火とともに踊ってくれたのだ。
「うちの炎がすみません…」
消防署の方達は言う。
「いいんですよ。炎と通じ合うその時が1番生きている心地がするんです。」
どうやら消防士さんは火と話せるらしい。
私は今まで勘違いをしていた。
消防士さんは消化器と話すものだと思っていたので、とても驚いた。
「ところで、どうして口から火が出たんです?」
私は慌てて口を開く。
まだ口から火が出ているので、火文字で会話をする。
火が文字を描く。
「カレーを食べたらこうなった」
消防士さんは少し不機嫌になりながらも、私の口に油を注ぎ、その上で炒飯を作り始めた。
「この火を粗末に扱うことはできない。最後まで看取らせてもらう。」
そうだ…そうだった。消防士さんは、炎と話せるのだ。火の気持ちが分かるので粗末には扱えないはずだ。
作った炒飯を私の口に流し込むと火文字で
「ありがとう」と描かれ、そして火は消えた。
「消防士さん、ありがとう。」
こうして私も夜の街に消えた。
消防士さんはニッコリと笑っていたはずだ。
私はまたカレーを食べる。
口から火が出る前に水を流し込む。
「火、ありがとう。」